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【“ガラス化した世界”を体現】生田目礼一 インタビュー

2023年7月に開催された「GLAS展」。6名のアーティストが「文法、修辞、弁証、算術、幾何、天文、音楽」をテーマに制作したガラス作品を出展する企画展でした。
本記事では、ご出展された生田目礼一さんにインタビューした様子をお届けいたします。

ガラスの向こうを透かして見るかのように浮かび上がる、生田目さんの美しい世界。
ぜひじっくりとお楽しみください!


ー読者の皆様に、簡単な自己紹介をお願いいたします。

生田目礼一(以下、生田目):ガラスを主素材としたインスタレーション作品を、野外音楽フェスティバルや商業施設内など、屋内外を問わない展示スタイルで活動し、環境問題や多様性をテーマにガラス化した世界の体現を試みています。

ー現在用いている素材や、表現ジャンルに行きついた理由を教えていただきたいです。

生田目:“ガラス化した世界”を体現するにはガラスが一番適した素材と考えます。また、インスタレーションという表現手段につきましては、環境問題というテーマは自然の中での展示の方がよりメッセージが伝わるのではないか?と考える為です。

ー普段作品を制作する際、参考にするものやインスピレーションを受けているものはありますか?

生田目:生活における全てが参考書です。

ー影響を受けたアーティストや、作品はありますか?

生田目:宮崎駿/今敏/エミール・ガレ/デイル・チフーリ/バスキア/バンクシー/ブロンド・レッドヘッド/菅野よう子

ー作品を制作する際に心掛けていることや、作品に込める想いをお聞かせください。

生田目:個体の立体作品は、現在の表現ジャンルに行きついた理由により、全て小さなインスタレーションの様な作品に仕上げたいと心掛けています。

ーGLAS展にご出展いただいた作品、それぞれのコンセプトを教えていただけますか?

生田目:
①「文法学」

配列された言語や文の構成を視覚化。
管の長短は言語や構成の違いなど様々な事柄に当てはめられる。
管の整列した配置はその規則性から文法である事を比喩。
知的なイメージの作品として仕上がった。

②「修辞学」

文法学と弁証法を使い操り、広く表現している瞬間。
スピーチなど自分の考えを相手に伝えている場面を切り取って作品にした。
とても動きのある、観ていて元気になる様な作品となった。

③「弁証法」

対立・矛盾した方向性も俯瞰してみると数珠つなぎになっている事を暗喩。
どちらでも無い状態、「シュレディンガーの猫」の様な状況を再現しようと試みた作品。
結果、対立するモノを繋ぎ合わせると1つの【波】となった事が大変興味深い。

④「算術」

数が様々な方法によって展開されていく事を表現。
数を使った計算方法が様々あり、それ自体がまた加速度的に連なっていく様を作品化した。
際限なく造形できるデザインに少し恐怖を感じた。

⑤「幾何学」

幾何学模様を立体的に表した。
幾層にも重なった模様の層は、側面よりも天面からが最も幾何学的な模様となっており、この作品 を複数個製作し全面を天面にすればどこから鑑賞しても幾何学模様の球体となるので、想像を膨らませながら制作できて非常に有意義な展開となった。

⑥「天文学」

天体の運行の様子、宇宙の一部を凝縮した姿を描いた作品。
算術の作品同様、制作中享楽的な感覚に陥る形態をしていると感じた。
ただ、1つ1つの球体毎に 制作方法・工程が異なるため、意識が削がれて、ある程度それは妨げられた様に感じた。

⑦「音楽」

命がポツポツとリズミカルに音を立てて生まれてくる様な情景を表したいと思って制作した作品。
日常生活の雑音が聞こえない様に、音は自らが選択する事によって認知できる事象であるので、植物の産声を視覚的に表現できると思い試みた。

ー作品のポイントや、こだわりはなんですか?

生田目:今回の作品全てに“一輪挿し(フラワーベース)”としての用途を持たせました。それぞれのベース(学問)から様々な種(思考)が育って行き、色々な花を咲かせる(成果を生む)という成長過程が類似するので、概念の重ね合わせが出来るからです。

また、今回、土台に使用している天然石宮城県産・玄昌石が約2億5,000万年もの歳月をかけて刻む石肌模様と、人工物であるガラスとのコントラストが、まだまだ浅い人間との歴史の差の様に炙り出される事で、改めて“自然”を感じる事が出来るのではないだろうか?と考えたからです。

ー読者の皆様に向けて一言、メッセージをお願いいたします。

生田目:思考を巡らせ想いを馳せる優雅な楽しみの一時を、ご共有頂けましたら幸いです。



皆様はどのエピソードが印象的でしたか?

ピカレスクスタッフは、ガラスという人工物を通して、自然や環境問題を表現するという、生田目さんの二面性のあるコンセプトが非常に印象に残りました。
また、「全て小さなインスタレーションの様な作品に仕上げたい」とおっしゃっているように、生田目さんの作品を拝見していると、止まっているはずの作品たちが自ら意志を持ち、表現し、訴えかけてくるような、そんな圧倒的なパワーを感じます。

生田目さんの今後の作品も楽しみですね!本記事で、生田目さんの作品に興味を持たれた方は、「今後の展示情報」をチェック!ぜひ足をお運びください!


今後の展示情報

アクアリウム宇宙旅行 UNDER WATER SPACE

〈展示会期〉
開催中~2024年1月15日まで

〈会場〉
横浜ワールドポーターズ

〈詳細〉
https://under-water-space.com

SHIRAKAMI

〈展示会期〉
2023年12月7日(木)〜2024年1月31日(水)

〈会場〉
アクアシティお台場

〈詳細〉
https://uws-gakyo.com

生田目礼一 公式SNS

Instagram https://www.instagram.com/reiichinamatame
HP https://www.reiichinamatame.com



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