見出し画像

いくみ奥様ストーリー①

俺の名前は竜二。この前40歳の誕生日を迎えた、独り身で浅黒のおっさんだ。
 俺は都内にある建設会社に勤めていて、そこで内装の仕事をやっている。その道一筋で20年。自分で言うのも何だが、もう立派な職人だ。
 仕事は好きだし、職場にも文句はない。安月給だが自由にやらせてもらってるし、可愛い後輩たちも出来た。だが俺には一つやるせないことがある。彼女が出来ないのだ。
 建設業界はもっぱら男の職場だ。最近では女大工が増えつつあるなんてことも耳にするが、それはどこの話だってくらい俺の周りには男しかいない。可愛い後輩というのも全員野郎だ。
 俺も若い頃から男ばかりに揉まれてやってきた。女っ気の一つもない職場というのは、つまらなく、臭く、虚しいものだ。
 スーツ姿の男と女が仲良く帰っていくのなんかを見ると、男の尻を蹴り上げたくなる衝動に駆られてしまう。
 そんな俺も若い時分には彼女がいたこともあった。しかし例の安月給が災いして、どれも長くは続かなかった。
 男ばかりに揉まれ悶々としたまま時間だけが過ぎ、気づけば40になってしまった。今更恋人なんかできる訳がない。
 可愛い後輩どもはよく互いの彼女を自慢しあっている。どの娘もスレンダーでギャルっ気があってエロい。俺の性癖ど真ん中の女だ。最近の若い女はこんなにエロい身体をしてやがるのか。
 後輩たちはこんなエロい女と毎晩ヤってやがるのか。そう考えると妬まずにはいられない。大の男が情けない。
 後輩たちは俺が不機嫌になるという理由で、いつの間にか俺の前で女の話をしなくなってしまった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?