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ポルトガルの魚と漁師と人生の喪失の歌

こんにちは。
「墓の魚」の作曲家です。

私達
葬送のオーケストラ「墓の魚」
PEZ DE TUMBA
ともいい、
ラテン語スペイン語ポルトガル語
文化圏の視点から、
キリストと、
細菌医学と、
をテーマにした
オペラファドを作曲し、
歌うオーケストラです。

世界で初めての
[死]をテーマにしたオーケストラ

という特徴がありますが、
もっと詳細に語るなら、
ポルトガルの詩でも何度も語られる
[喪失 PÉRDIDA]
こそが、私達「墓の魚」
重要なテーマなのです。

「墓の魚」の作品は、
海の漁師(MARISCADORES)
を題材にした作品が
とても多いです。

ちなみに、
実際のポルトガルや、スペイン作品にも、
漁師を題材にした作品は多いです。

これには理由があって、
一つは、
キリストが昔、
漁師であるペテロを弟子に誘った時に、

「お前を
人間を漁る漁師にしてあげよう」

と言ったという伝説があり、
この伝説によって、
キリスト教のシンボルが
魚(イクトゥス ICHTUS)
であったり、

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【↑↑↑イクトゥス】

キリスト教圏の人達にとって、
漁師という職業や、
そのものが、
それだけで、ある種の
宗教的哲学的
意味を持っているのです。

二つ目は、
南欧ラテン詩の中で
常に語られる
という言葉の、
その本質がやはり
[喪失 PÉRDIDA]
である事。

すなわち日常の中で
意識されずに消費される命
(植物やセミの死骸)
の事や、
我々が意識せずに葬っている骸
(肉や魚)
の事を考える事こそが
世界の本質を突き付ける
ヴァニタス(VANITAS)詩の
特徴の一つだからです。

ヴァニタス(VANITAS)とは、
虚栄と訳され、
繁栄を象徴する
果物財宝の中に、
を象徴する
髑髏砂時計を置く事で、

この世のどんな栄華も、
いずれは朽ち果てる
虚しいものである

というメッセージを表現した
絵画や、芸術テーマです。

要するに、生きている中で、
を意識し、
生きる意味
老いる意味
喪失する意味
を考えろ
という芸術ですね。

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これらの死の芸術
(メメントモリ(MEMENTO MORI)
ヴァニタス(VANITAS))
の表現は、
16世紀のフランドル絵画の中でも
何度も語られてきました。

陳列される魚屋の魚・・
肉屋で叩いて
平らにされる鶏肉・・

それは、
我々が意識せずに周囲に置いている
であり、死体(MUERT)です。

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【↑↑↑港で加工される収穫物。アカアシガメ(Chelonoidis carbonarius)が混ざっているので、南米経路での収穫物である事がわかりますね】
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【↑↑↑画家ヤン・ファン・ケッセルの作品だと思われます。フランドル関連の絵ではあっても、これらの作品が直接ヴァニタス画と紹介される事はありません。ただ、意味としては共通したテーマを持っている可能性があります(西洋人の博物画の中にすら、ヴァニタスの精神は込められていると私は思っています)】
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そういう意味で、
海の漁師程、
に囲まれている者達
はいない訳です。

干された海藻は、
[干からびた死]
であり、
捨てられた食べられないは、
[放置され、腐っていく骸]
です。

海岸には
意識されない死
が溢れているのです。

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南欧人は、そういった
日常の中の死の事を考える事で、
自分達の存在や、
神の作った
虚しいこの世界
の事を思ったのです。

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ポルトガルの音楽であるファドでも
サウダーデ
という感情が歌われますが、
こちらも
喪失
と深い関係があります。

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【↑↑↑私の描いたファドの絵】

ファド
人生の失った時間、恋人、
心の傷を歌います。
それはまさに
喪失の歌
であり、
死の歌
なのです。

フランスシャンソン
「かもめ」
の歌詞である
リシュアン・ポワイエの詩にしても、
メキシコ
ルイス・イグナシオ・エルゲラの詩
「Pollería」
にしても、
常にそこには
[喪失 PÉRDIDA]
が語られています。


こうした感覚を理解すると、
「墓の魚」だけでなく、
フランススペインポルトガル
詩の意味が
より理解できる様になると思います。

この世には
虚しさ(VANITAS)や、
腐敗(CARROÑA)や、
惨めさなどの
[悪霊の微笑む陰り(喪失の先に待ち構える絶望)]
があれど、
キリストは
自ら十字架に架けられる(喪失する)事で、
それらに
救済と浄化と希望
の可能性を与えた・・


宗教的に信じる、信じないは別としても、
そういった哲学の意味を常に考え、
聖書的な言葉で、
世界のバランスを表現する事が
キリスト教圏の詩人
映画人特徴なのです。

さてさて、
本日はそんな
ポルトガル哲学
について語ってみました。

日本では唯一、
そういった
キリスト教作品を創造し、制作する
スペイン風楽団「墓の魚 PEZ DE TUMBA」の事を
これからも
ぜひ、よろしくお願いいたします~♪

「墓の魚」のラテン詩と、
メメントモリ曲の融合した
配信動画
「死んだ珪藻とマキシロポーダのミサ」
こちらで公開中です↓↓↓



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