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自分の葬式を歌った曲(古楽とファドのキリスト哲学)

こんにちは。
葬送のオーケストラ「墓の魚 PEZ DE TUMBA」
作曲家です♪

今回、
またまた「墓の魚」
新作動画をアップしました♪

「私の葬儀」という
自分の葬式を見つめている
奇妙な夢の様な場面を歌っている
シュールな作品です。

この曲は
私のオリジナル曲ですが、
随所に有名な古楽のメロディー
(十七世紀イタリア作曲家
Alessandro Piccininiのパッサカリアの旋律)
パラフレーズして使用しています
(出だしのオルガンソロなど)

ポルタティフ・オルガン

(ちなみに、
パラフレーズとは、
クラシックの世界で
例えば、有名な古い曲の旋律を
自分の曲の中に
潜り込ませる作曲技法です)。

なので、今回の作品は
ポルトガルスペイン舞台の
重厚なファドの雰囲気に、
古楽の旋律を混ぜている訳ですね。

そもそも、
ポルトガルとは、
中世の様な古都の姿が
残っている国であり、
その精神は、
近代の音楽であるファドにも
しっかり受け継がれています。

そして、その精神の軸の一つは
やはりキリスト教でしょう。

だから、
そんなポルトガルの音楽である
ファドというジャンルと、
中世の古楽は、
[キリスト教的喪失の哲学]を挟んで、
とても相性が良いと感じます。

そこに、
ラテン映画の影響を受けた
キリスト教詩人である私が、
自作の詩の朗読と映像を加えた!!(笑)
文学映画の様な作品が
今回のこの動画になります。

「人生とは、一生をかけて
自分を墓場まで導いていく
壮大な葬儀なのだ・・」

というテーマで作られたこの曲は、
冒頭でも説明した様に
自分の葬儀を見ている
葬送行進の印象

進行していきます。

南欧のキリスト教信仰・・
厳粛な葬儀のミサ・・
古めかしいポルタティーフオルガン・・
喪服の男達の奏でるポルトガルギター・・

ポルトガルギター奏者

全てが、この厳粛な
[人生]という葬儀
執り行う小道具なのです。

「失ったものは戻らない・・・
そして、人生とは、
喪失し続けながら
自分を葬り去る儀式である・・」

この重い教会ミサの様な
ラテン文学的作品を歌うのは、
歌い手・赤足亀(JABUTI)
重厚なラテン音楽を歌う歌い手です。

赤足亀(JABUTI)

余談ですが、
この作品は、スペイン文学作家の
レオポルド・アラス(クラリン)の小説
「ぼくの葬儀(Mi entierro)」
という短編を読んでいて
思いついたものです♪

赤足亀(JABUTI)

以下、詩(歌詞)を掲載しますね。

「逆さまのミサ」より
私の葬儀 
〜ピッチニーニによるパラフレーズ〜

作詞作曲・黒実 音子

◆◆◆

参列者達が淡いカンデヤを灯し、
行列する。
あの火は遠い港の明かりだ。

港には、
私の知らない人ばかりが住んでいる。
だから私の葬儀には、
見知らぬ人ばかりが参列する。

私はもう、うんざりするほど
葬儀をくり返してきたのだ。
通夜のような顔で
悲愴という名の税を払い続けながら・・

人生とは葬儀なのだから。
欲望の、見栄の、偽りの・・・
それらを埋葬する事ができたら
ようやく
片方の玄関を開け放てるのだ!!

私の事を何も知らない人達が
泣き、花びらを落としてくれる。
私の知らない私の生前を語っている・・

ふと、私は気づく。
誰の事も知らなかったのだ!!
知らない者の為に泣き、
知らない者の為に歌う。
それが人生なのだ!!
この葬儀のように・・・

私の事を知っているのは、
欲望、見栄、偽りのみ。
そして、それらを埋葬する事が葬儀なのだ。
誰にも知られないように土の中に
掛け物を逆さまにして、
それは神聖なる秘密の儀式なのだ。

さて、今日も、
続きは生きている者の為に
くり返される。
皆、欲望、見栄、偽りと杯を交わす。
それが、生きるという事なのだから・・・

人生とは葬儀なのだ!!
そして、私は相変わらず
税を払い続けている・・
キリストが払い損なった税金、
悲愴という名の税を・・・

◆◆◆



という訳で、
本日は「墓の魚」
新作動画のご紹介でした♪

こんな作品を日本で制作していく
私や、私のオーケストラ
「墓の魚」

これからも
よろしくお願いいたします~。




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