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タワーオブテラー作ったおじさん

気持ちが晴れないわたしは近所の小山に
散歩に行った。
これは、登って降りてく途中に出会った
おじさんとの話。

寒くなってきた夕方。
わたしの気持ちもだいぶん落ち着き、
家に帰ろうと山を下っていた。

前から歩いてきた自分より小さなおじさんに
「登ってきたの?」と声かけられた。
これは私に話しかけてる?と思い、
周りを見渡す限り私しかいない。
正直、面倒だし、人と話すのはずっと嫌だったから適当に切り上げて帰ろうと思った。 
「あ、はい。」

「お嬢さん、何歳?二十歳?」
「19です」人気の少ない道で知らない
おじさんに年齢を躊躇いなく打ち明けた
自分に驚いた。

「19か…高校生?」
「はい、高校生です」
「僕が十九の頃は東京にいて、、」
おじさんの思い出話が始まった。
今の私はこういう話が苦手だ。
何にもできていない自分と比較して勝手に
苦しくなる。だから、流していた。

「んで社長になって、、」
うん?この人、社長なん?すごいやん。
「タワーオブテラー知っとる?」
???
「タワーオブテラーやん、ディズニーの」
「あ、知ってますよ」
「あれ、作ってん」
「、、そうなんですね!」
え、どゆことやねん。

「また機会あったら乗ってや!」
「あ、はい。」
相変わらず、自分のペースで話し続ける。

「ほな、登ってくるわ!」
「頑張ってください」
そして、私たちは何事もなかったかのように
別々の方向へ歩みを戻した。

呆気ない会話だった。おじさんのペースに
ただ付いていくだけ…
なのに、わたしは笑顔になっていた。

オチなんか全くないこの話。
でも、久しぶりにnoteを更新しなくちゃ、
忘れたくないって思った。

おじさんが私の様子をみて、気を遣って
話しかけてくれたかは定かではないが、
この他愛のない会話で私は元気を貰った。
心が暖かくなった。

真っ暗闇をずっと彷徨っている時に
必要なのは、お金でも気遣いでも優しさでも
なくて、もしかしたら変わらない日常の、
ありふれた人との付き合いなのかもしれない。

私の診断名や現状に囚われることのない
一人の人と人の会話。
それに救われた。

おじさんの作ったタワーオブテラー
乗りにいくわ。
それまで、ちゃんと生きとくな。