原田洋志

獣医師。 大学卒業後、動物病院での勤務を経て、某大手ペットフードメーカーに転職。 通算…

原田洋志

獣医師。 大学卒業後、動物病院での勤務を経て、某大手ペットフードメーカーに転職。 通算25年以上ペットフードメーカーに在職し、2022年に退職。 2頭のねこさんと一緒に暮らす。

マガジン

  • ペットフード会社に25年以上勤めた獣医師のペットフード講座

    2頭のねこさんと暮らす、ペットフード会社に25年以上勤めた獣医師が、ねこさん、わんちゃんの健康と栄養学、ペットフードの本当の中身について、わかりやすく解説します。月額600円で、記事は毎週更新します。 ねこさん、わんちゃんの健康に関心がある人、ペットフード選びに悩んでいる人はぜひ、ご購読ください!

  • ペットフード基本の『き』

    ペットと一緒に暮らしはじめて間もない飼い主さんや、ペットフード初心者に、ペットフードの基本についてわかりやすく解説しています。 月に1回くらい更新します。

  • 獣医師のペットフード講座 番外編

    2頭のねこさんと暮らす、ペットフード会社に25年以上勤めた獣医師が、ねこさん、わんちゃんの健康と栄養学、ペットフードの本当の中身について、わかりやすく解説する講座の番外編です。気軽にお読みください。

最近の記事

ねこさんねこさん・わんちゃんのアレルギー その8 痒がっているとアレルギーになる?②

はじめに 前回の記事では、アレルギーと関係が深い「IgE」という抗体と、「マスト細胞(肥満細胞)」について解説しました。 IgEはマスト細胞の表面にくっついていて、マスト細胞はヒスタミンなどの炎症物質を蓄えています。マスト細胞の表面にあるIgEの2つにまたがるよう敵がくっつくと、マスト細胞は脱顆粒をおこして、ヒスタミンなどの炎症物質を放出します。 マスト細胞の脱顆粒によって、炎症反応がおこると同時に好酸球が召喚されます。好酸球は”対寄生虫 決戦兵器”ともいえる細胞で

    • ねこさん・わんちゃんのアレルギー その7 痒がっているとアレルギーになる?①

      はじめに ねこさん・わんちゃんのアレルギーシリーズも7回目になりました。 前回の記事では、いま注目を集めている「腸の免疫」の特別な仕組みについて解説しました。 腸の免疫の特別な仕組みを大まかにまとめると次のようになります。 腸の粘膜から粘液を分泌して「敵」を寄せつけない 粘液が分泌されているおかげで、細菌は粘膜の細胞に接触することが難しくなります。 M細胞・パイエル版という特別な組織から、積極的に「敵」を取り込む M細胞は腸の中にいる細菌などを、パイエル版にいる

      • ペットフード基本の『き』 アレルギーの基本

        はじめに 先月の記事では「低アレルギーフードの基本」について解説しましたが、「アレルギーという病気」についてはほとんど解説しませんでした。 「アレルギーという病気」について解説しようとすると、まず、「免疫」について解説しないわけにいきません。 ところが、「アレルギーという病気」をそこそこちゃんとわかってもらえる程度に「免疫」について解説するだけでも、相当な分量とそれなりにややこしい内容になってしまいます。 そうなるともはや、「基本の『き』」ではなくなってしまいます。

        • ねこさん・わんちゃんのアレルギー その6 いまホットな話題:腸の免疫②

          はじめに 前回の記事では「抗体がどんなものなのか」と「腸粘膜の免疫の概要」についてお話しました。 抗体はタンパク質の一種で「免疫グロブリン( Immunoglobulin )」とも呼ばれ、構造と働きの違いによって5種類に分類されています。 名前を覚える必要はまったくありませんが、IgM、IgD、IgG、IgE、IgA の5種類です。 これらの抗体のうち、IgAについては今回の記事で、IgEについては次回の記事で少しだけ詳しく解説します。残りの3つは、とりあえず気にしない

        ねこさんねこさん・わんちゃんのアレルギー その8 痒がっているとアレルギーになる?②

        • ねこさん・わんちゃんのアレルギー その7 痒がっているとアレルギーになる?①

        • ペットフード基本の『き』 アレルギーの基本

        • ねこさん・わんちゃんのアレルギー その6 いまホットな話題:腸の免疫②

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        記事

          ねこさん・わんちゃんのアレルギー その5 いまホットな話題:腸の免疫①

          はじめに 前回の記事では、「体に敵が侵入すると何がおこるか」と、「抗体ができるまで」について解説しました。 体の中に敵が侵入してくると、まず自然免疫が働いて、マクロファージや好中球が敵をどんどん食べてやっつけます。 この自然免疫の働きで敵を全滅させることができれば、そこで免疫反応は終わります。 ところが敵が手ごわくて、自然免疫だけで全滅させられなかったときには、いよいよ獲得免疫の出番です。 ヘルパーT細胞とB細胞が協力して抗体を作ります。 抗体は敵にくっついて増えら

          ねこさん・わんちゃんのアレルギー その5 いまホットな話題:腸の免疫①

          ねこさん・わんちゃんのアレルギー その4 敵が侵入すると何がおこるか

          はじめに 前回の記事では、免疫細胞たちが「自分」と「敵」をどのようにして見分けているかについて解説しました。 自分の細胞には「自分の名札」がついていて、敵には「敵の種類の札」や「敵の名札」がついています。 自然免疫系の細胞(好中球・マクロファージ・樹状細胞)は「自分の名札」と「敵の種類の札」を読むことができますが、「敵の名札」を読むことはできません。 それに対して獲得免疫系の細胞(T細胞・B細胞)は「敵の名札」を読むことができます。そしてT細胞とB細胞が協力すること

          ねこさん・わんちゃんのアレルギー その4 敵が侵入すると何がおこるか

          ねこさん・わんちゃんのアレルギー その3 どうやって「敵」を見分けるか

          はじめに 前回の記事で免疫についての基本的なことを解説しました。 今回は、前回の記事に出てきた免疫に関わる細胞たちがどのような働きをしているか、とくに、どのように「敵」を見分けているかについて、もう少し具体的に解説します。 今さらですが、そもそも「免疫」とはどういう意味でしょうか? ”疫”を”免れる”と書いて「免疫」です。 「疫」というのは「流行り病」、すなわち病原性のある細菌やウイルスによって引き起こされる「感染症」のことです。 つまり「免疫」というのは病原性の

          ねこさん・わんちゃんのアレルギー その3 どうやって「敵」を見分けるか

          ねこさん・わんちゃんのアレルギー その2 免疫の基本的なお話

          はじめに ケガをしたときに傷口からばい菌が入ると膿んでしまうことがあります。 また、はしか(麻疹)に一度かかると、次からは、はしかにかかりにくくなります。 これらはいずれも免疫の働きによるものです。 ところが、はしかに一度かかると、次からは、はしかにかかりにくくなりますが、ケガをして膿んでしまったとしても、次にケガをしたときに膿みにくくなるなんてことはありません。 はしかの場合とケガの場合では何かが違うのでしょうか? ◾️2つの免疫 免疫反応には大きく分けて、次

          ねこさん・わんちゃんのアレルギー その2 免疫の基本的なお話

          ペットフード基本の『き』 低アレルギーフードの基本

          はじめに 花粉のシーズンになりました。 花粉症に悩んでいる人もたくさんいることでしょう。 ヒトとは症状が違うこともありますが、ねこさん・わんちゃんでも花粉症が起こることがあります(それほど多いわけではありません)。 花粉症がアレルギーによって起こるのはご存知ですよね? また、ねこさん・わんちゃん向けに、多くの「低アレルギーフード」が販売されています。 では、花粉症のねこさん・わんちゃんには「低アレルギーフード」をあげたほうがよいのでしょうか? 「低アレルギーフード

          ペットフード基本の『き』 低アレルギーフードの基本

          ねこさん・わんちゃんのアレルギー その1 アレルギーとは?

          はじめに すでに各地で花粉が飛び始めています。 みなさんの中には、花粉症の症状に悩んでいる人も多いのでもないのでしょうか。 ご存知のように、花粉症はアレルギーのひとつです。 そして、ヒトとは違う症状がでることがありますが、ねこさん・わんちゃんも花粉症を発症することがあります(それほど多いわけではありません)。 ところでアレルギーとはどんなものなのでしょうか? アレルギーをちゃんと理解すると、正しくアレルギー対策をすることができます。 そこで、今回の記事では、まず

          ねこさん・わんちゃんのアレルギー その1 アレルギーとは?

          バカにできない ねこさん・わんちゃんの肥満 その4 ダイエットを成功させるコツ

          はじめに 前回の記事では、ダイエットの基本的な考え方について解説しました。 特に重要なことは以下の3つです。 ダイエットするためには摂取エネルギーを減らす ダイエットの目的は「余分な脂肪を減らす」こと ダイエットするときには必ず減量用のフードで 詳しいことは、前回の記事をお読みください。 今回は 減量用の療法食ってどんなフード? ダイエットを成功させるコツ について解説していきます。 ◾️減量用のフードの基本まず、減量用のフードの基本についておさらいし

          バカにできない ねこさん・わんちゃんの肥満 その4 ダイエットを成功させるコツ

          バカにできない ねこさん・わんちゃんの肥満 その3 どうすればダイエットできる?

          はじめに 今回は、ねこさん・わんちゃんの肥満シリーズの3回目です。 前々回は ・ポッチャリ体型のわんちゃんは長生きできないこと ・ねこさん・わんちゃんの体型の確認のしかた について、 前回は ・ねこさん・わんちゃんが太ってしまう原因 ・肥満になるとリスクが高くなる病気 について解説しました。 今回はいよいよ、どうすればねこさん・わんちゃんがダイエットできるかについて解説します。 ■ダイエットするために必要なこと 前回の記事で解説したように、ねこさん・わんちゃんが太

          バカにできない ねこさん・わんちゃんの肥満 その3 どうすればダイエットできる?

          バカにできない ねこさん・わんちゃんの肥満 その2 なぜ太る?

          はじめに 前回の記事では、わんちゃんが肥満とまでは言えないようなポッチャリ体型になっただけでも長生きできないこと、ねこさん・わんちゃんの体型の確認のしかたなどについて解説しました。 今回は、ねこさん・わんちゃんが太ってしまう原因と、肥満になるとリスクが高くなる病気について解説します。 ■太るか、痩せるか ねこさん・わんちゃんが太るか痩せるかは、とても単純なルールに従っています。 それは次のようなルールです。 摂取したエネルギーと消費したエネルギーが同じであれば、

          バカにできない ねこさん・わんちゃんの肥満 その2 なぜ太る?

          バカにできない ねこさん・わんちゃんの肥満 その1 ポッチャリ体型だと長生きできない!?

          はじめに 前回の記事で、「冬にはねこさん・わんちゃんが太りやすくなる」こと、「太ってしまうと下部尿路疾患などの病気になりやすい」こと、などについて解説しました。 でも、太ってしまったねこさん・わんちゃんがなりやすくなる病気は下部尿路疾患だけではありません。 ですから、できる限り、ねこさん・わんちゃんを太らせないように、普段から適切な体重をキープできるようにしてあげてください。 そうは言っても食いしん坊なねこさん・わんちゃんもいますし、適切な体重をキープするのは簡単では

          バカにできない ねこさん・わんちゃんの肥満 その1 ポッチャリ体型だと長生きできない!?

          ペットフード基本の『き』 ダイエット用フードの基本

          はじめに 冬は、ねこさん・わんちゃんの運動量が少なくなりがちな一方で、食欲が旺盛になります。 ということは、ねこさん・わんちゃんは冬には太りやすくなります。 太ってしまうと下部尿路疾患などのリスクが高くなってしまいますので、ねこさん・わんちゃんを太らせないように気をつけてあげてください。 ※ 「冬に気をつけること」について月額マガジンで詳しく解説していますので、気になった方はぜひお読みください。 今回の記事では、ねこさん・わんちゃんの肥満の予防のために、あるいは、太

          ペットフード基本の『き』 ダイエット用フードの基本

          冬に気をつけること

          はじめに 冬本番となりました。 今回はねこさん・わんちゃんのために、冬に気をつけてもらいたいことを解説します。 もともとネコ・イヌは暑さには弱いものの、寒さには比較的強い動物です。 とくにイヌは、犬種にもよりますが、南極の寒さにも耐えられるほどです。 ほとんどのねこさん・わんちゃんは、全身がモフモフした毛におおわれていますからね。 そのため、冬は寒さそのものへの対策というよりは、寒さにともなうねこさん・わんちゃんの行動の変化への対策が中心になります。 ※ 今回の記

          冬に気をつけること