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動物病院どうするか問題


はじめに

ねこさん・わんちゃんと一緒に暮らしていると、少なからず動物病院のお世話になります。

普段から、ねこさん・わんちゃんの体調で気になることがあったときには、気軽にかかりつけの動物病院に相談できる、という飼い主さんはとくに心配はありません。

そのいっぽうで、ねこさん・わんちゃんの体調が悪くなったときに、いつも、「動物病院に連れて行ったほうがいいのだろうか?」と迷ってしまう飼い主さんや、「いま動物病院で病気の治療をしてもらっているけど経過があまり良くないから、他の病院に行ったほうがいいのだろうか?」と悩んでいる飼い主さんもいらっしゃると思います。

今回は、「どんなときにはねこさん・わんちゃんを動物病院に連れて行ったほうがいいか」とか、「他の動物病院に行ったほうがいいか」など、動物病院との付き合いかたや動物病院の選び方などについて、僕なりの考えかたをお伝えします。


◾️ 動物病院につれて行ったほうがいいか問題

ねこさん・わんちゃんが下痢をしたり吐いたりなどして、体調が普段と違うときには飼い主さんはさぞ心配になることでしょう。とは言っても他にこれといった症状がなく、元気も食欲もある場合、「動物病院に連れて行ったほうがいいの?」と迷ったり、「どうなったら動物病院に連れて行かないといけないの?」と悩んだりする飼い主さんが多いのではないでしょうか。

獣医師の立場からすると、「可能な限り、早めに動物病院に連れて行ってあげてください」としか言いようがないのですが、飼い主さんからしたら、「そんな建前はいいから、ホントのところどうなのよ」というのを聞きたいところでしょう。

下痢または嘔吐おうとだけで他に症状がなく、元気も食欲も普段と変わらない場合に、ねこさん・わんちゃんを動物病院に連れて行ったほうがいいかどうかの目安は次のとおりです(しつこいようですが、あくまでも、下痢または嘔吐だけで、元気も食欲も普段と変わらない場合の目安です)。

  • 1日に複数回嘔吐がある(🚨🚨緊急性:高🚨🚨)

  • 下痢や嘔吐したものに血が混じっている(🚨🚨緊急性:高🚨🚨)

  • 下痢と嘔吐の両方の症状がある

  • 症状が3日以上続いている

  • いままであった同じようなときと、なんか違う

とくに最後にあげた「なんか違う」という、飼い主さんだからこそ覚える違和感は無視しないでください。僕自身もねこさんの飼い主だから言えるのですが、日々、ねこさん・わんちゃんを見ている飼い主さんにしか感じることのできない違和感は信用するべきです。

これは、ある種の「職人の勘」みたいなものです。

この「職人の勘」をもっともらしく説明すると、「数えきれない経験から導き出される言語化できない何か」です。少し言いかたを変えると「ビッグデータを元にして導き出される一定の傾向」のことです。

これはまさにAIが行なっていることそのものです。


◾️ 嫌がられるんじゃないか問題

「動物病院に連れて行ったほうがいいの?」で迷う飼い主さんの中には、「動物病院に連れて行ったものの、大したことがなかったら何となく居心地が悪い」と気後れしてしまう人も少なからずいらっしゃいます。

でも、そんなことを気にする必要はありません

獣医師の立場からすると、結果的に大したことがないときのほうが嬉しいものです。「こんなくらいで連れてこられても…」という動物病院は、まず、ありません。それよりも、動物病院に連れて行くかどうかで迷っているうちに、病気が進んでしまうことのほうが、はるかに辛いです。

それでもどうしても気になってしまうという人は、もしかしたら他の動物病院に行ってみたほうがいいかもしれません。なぜなら、その動物病院は「結果的に大したことがなかったときに嫌がられるんじゃないか」と思わせてしまっている何かがある可能性が高いからです。結果的に大したことがなかったときでも、「連れてきてもらってよかったね」という雰囲気を感じさせてくれる動物病院が必ずあります。


◾️ 健康診断を受けさせるべきか問題

これは獣医師としての立場というよりも、ねこさんたちの飼い主としての立場で言うのですが、やっぱり定期的に健康診断を受けさせてあげることを、本心からおすすめします
実際に、毎年の健康診断でポン次郎に思わぬ異常が見つかりました。そのおかげでポン次郎は、万全とは言えないものの、いまも年齢のわりに元気でいてくれてます。

通常のネコハラをするポン次郎

健康診断には、いくつかの意義があります。これを詳しく説明すると、かなり長いお話になってしまいますので、できれば下の記事をお読みになってもらえるとありがたいです。


◾️ 他の動物病院に行ったほうがいいのかも問題

これに関しては、獣医師としては迂闊うかつなことを言えないのですが、飼い主の立場として、僕が思っていることをお話します。

飼い主さんが、「他の動物病院に行ったほうがいいのかもしれない」と感じているのだとしたら、それは、「いま行なっている治療などに対して完全には納得できていない」ということです。そんなときには、遠慮なく質問してください。それでも納得できないのだとしたら、目指すゴールが飼い主さんと動物病院で食い違ってしまっています。

飼い主としての僕が、信頼できる獣医さんを見つけるための目安にしていることの一つが、「躊躇ちゅうちょなく、専門の動物病院や設備の整っている動物病院を紹介してくれる」ということです。違う言いかたをすると、積極的にセカンドオピニオンを勧めてくれる獣医さんです。

もしも「いま、この動物病院で○○の治療をしてもらっているけど経過があまり良くないから、他の病院に行ったほうがいいのかもしれない」と感じることがあったら、こんな相談のしかたをしてみてください。

この子のために、できるだけのことをしてあげたいので、ご存じでしたら○○の専門の先生を紹介してもらえませんか?

万一、この相談に対して嫌な顔をする獣医さんだったときには、不本意ながら、この相談を真摯に受け止めてくれる他の動物病院を見つけることをおすすめします。


最後に

最後までお読みいただきましてありがとうございます。
何かしら役に立ったと感じてもらえたら、スキ♡してください。
筆者が喜びます。


他にもいろいろな記事を書いていますので、興味がわいた方は下の記事一覧も見てみてください。


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