イマドキの人事
ペルソナの下司(げし)です。
私がこれまでのエージェントとして約10年のキャリアで最も多く支援してきたポジションは「人事職」です。
VUCAの時代と言われるようになったこの10年、人事職を取り巻く環境も大きく変化してきました。昨今のトレンドを踏まえて、情報を整理してみましたので、人事職の皆さんが自身のキャリアを考える思考の整理の一助となれば幸いです。
「人的資本経営」の時代に
経営資源といえば、「ヒト・モノ・カネ」の三要素、近年はそれに「情報」が入って四大資源などと言われています。
その中でも「ヒト」については、消費されていく「資源」ではなく、価値を生み出していく「資本」として捉え、「人的資本経営」などと声高に言われるようになってきました。
2023年3月期決算からは、人的資本の情報開示が義務化されました。
「守りの人事」から「攻めの人事」へ
従来の人事職の役割は、採用や労務管理のようなオペレーション業務が中心でした。 一方で人的資本経営においては、経営戦略と紐づけて施策を実施する「戦略人事」が重要な役割です。 経営戦略を実現するための手段の一つとして、自社にとって適切な人事戦略を考える必要があります。
言い換えれば、「守りの人事」から「攻めの人事」へ、市場ニーズが大きく変化しています。
「戦略人事」は、1990年代に米国ミシガン大学の教授 デイビッド・ウルリッチが提唱した考え方です。彼の著作である『MBAの人材戦略』にまとめられています。
彼はこの本の中で、これからの人事部門が果たすべき役割として、以下の4つを定義しました。
マーケットの現状
実際にクライアント企業から依頼をいただく求人にも変化が見られます。
近年増えてきている募集ポジションのひとつは「CHRO(最高人事責任者)」です。「人事部長」は人事職のスペシャリスト的要素を強く求められますが、そこに「経営視点」を持って、採用・人材育成・人材の活用などに関する経営戦略を策定し、企業価値の向上を図ることを期待されています。
「HRBP(Human Resource Business Partner)」制を導入する企業も増えてきました。
経営者や事業責任者、事業部門のパートナーとして事業成長と戦略の実行を人材・組織の面からサポートする役割を担います。経営や事業部の要望に応えるだけでなく、事業成長に向けて潜在的な課題を引き出し解決していくことを求められます。
CHROが経営的な視点をもって人事戦略を策定し、HRBPがそれを理解し、現場に落とし込んでいく実行部隊というイメージです。
また、従来は若手の登竜門的に捉えらえていた「採用担当」のポジションも、労働人口の減少が追い風となって、専門性や経験値を持っている方を求める傾向が強くなっています。
営業部門から一時的にフットワークの軽いメンバーを借りて新卒採用に対応してもらうのでは、とてもじゃないけど採用がうまくいかないマーケット状況です。
採用・教育組織は戦略人事部門として、社長直轄の組織体制にしている東証プライム上場企業もあります。
やっぱりここからも「ヒト」が重要な経営資源であるということがわかります。
フリーランスという選択肢も
コーポレート職種で最もフリーランスとして仕事をしやすくなった職種も人事職です。コロナ禍でリモートワークや、副業・兼業可の企業が増えたことで、「フリーランス人事」として活躍する方が一気に増えました。
企業視点で言えば、フリーランス人事には、スピード感が重要な「戦略人事」において、即戦力性が高いプロフェッショナルとして活躍してくれることを期待されています。
将来的な独立を見据えて、不足しているスキルを埋めることを目的に、転職の相談をいただくケースもあります。独立を視野に入れるのであれば、労働集約型の業務だけでなく、企画系業務の経験をしっかりと積んでおくことが重要です。残念ながら、正社員時代よりも労働時間が増えて、収入が下がっているという話も少なくありません。
自分のキャリアを客観視する
とはいえ、日本の企業においては、従来型の人事概念に基づく組織構成や人事部門内でのキャリア構築となっているケースがまだまだ多いのが現状です。
マーケットニーズとの乖離を所属する組織で得られる経験で充当するには、能動的に役割を担って自身のスキルを自律的に身に着けていくことが重要です。
社員の為に働く人事職の皆さんは、自分の為の行動が後回しになっていることも多々あります。
この記事を読んでいただいた方は、これを機会に是非自分のキャリアを客観的に見直してみてください。
自分を客観的に把握するというのは意外と難しいものです。ペルソナでは転職ありきではないキャリアの相談も大歓迎です。
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