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こんにちは!People Treesです。
人事に関わる情報をお伝えする「人事のツボ」コラム第7弾です(・ω・)♪

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経営者・人事担当者の方はぜひご一読ください!


大人の学びを考える

昨今、リカレントやリスキリングなど、「大人の学び直し」をテーマにした話題を耳にする機会が多くなってきたように感じます。必要性が叫ばれる一方、具体的な方策は?となると、やはり「研修」となることも多いようです。しかし、会社主導の研修では全員がやる気満々……とはなかなかいかず、いかに効果的に学んでもらうか、頭を悩ませている人事の方も多いのではないでしょうか。今回、「大人の学習」という観点から、企業の研修を考えてみたいと思います。

People Treees合同会社 パートナー 諏訪 雅子

【コラム筆者プロフィール】
諏訪 雅子
【略歴】
大阪大学卒業後、電機メーカーの人事にて、組織・要員管理を担当。その後、スペシャリティファーマに転職、営業部門の人事を経た後、全社の組織風土改革、採用、人材開発に従事。マネージャーとしてチームを率いつつ、リーダー育成施策の立ち上げ・推進、グローバルでの理念浸透施策、国内研修体系の刷新などを実施。2022年に独立、現在は人事コンサルタントとして人事制度企画、人材開発のコンサルティングに携わる。

大人の学習とは:ペタゴジ-とアンドラゴジー

大人と子どもの学習の仕方は違うという考え方があります。米国の教育学者マルカム・ノウルズが体系化・発展させた成人学習理論は『アンドラゴジー』と呼ばれ、従来の『ペタゴジ-』(教育学、一般的に子どもの教育を指します)と対比され論じられてきました。その中でノウルズは、大人の学習者の特徴を大きく5つ指摘しています。ざっくりお示しすると、

  1. 自己概念(主体):大人は自主的で、自己管理する (一方、子どもは他者依存的)

  2. 経験:大人は自らの経験を活用する(子どもは経験の量も少なくあまり活用しない)、

  3. レディネス(準備):自分の社会的役割のもと学ぶ必要を感じる(子どもは「何を学ぶべきか」も教えられる必要がある)

  4. 方向づけ:大人は課題解決に利用したいと考え取り組む(子どもは指示されたことに取り組む)、

  5. 動機づけ:大人は自分のニーズに基づき内発的に動機づけられている(子どもは成績の競争など外からの要因に動機づけられる)

というものです。
要は、大人は自発的に、自分の課題を解決したいという目的・動機をもって、経験を活かして学ぶ、ということです。


一見当たり前に思えるが

さて、皆さん「そんなのあたり前だろ」と思われたかもしれません。しかし“会社の研修”を一度振り返ってみてください。

・指示された研修に問答無用に参加させられ
・何を学ぶかはすでに決められており
・参加者がそれについて既にどの程度知っているかはお構いなしで
・長時間座って話を聞いて、指示通りにワークをこなす

という、“子どもの学習”スタイルも、まだまだ多いのではないでしょうか。
「研修」としてある程度致し方ない面もありますが、そのままでは「大人の学び」として着地するのはなかなか難しい。なぜか?大人の場合は覚えること、理解することがゴールではなく、課題解決、つまり使えること、何らかの役に立つことがゴールになるからです。そして、会社のゴールもそこにあるはずです。

よりよい学びに昇華させるために

本当の学びは、仕事や人生の「経験」から得るものが多いと皆さん肌でご存知だと思います。新しく学んだ知識やスキルも、やはり実際に使う中で磨かれていくものです。研修や実習など、“お膳立てされた”学習は、どちらかといえば、学びの「促進剤」と言えるかもしれません。

しかし研修でも、「大人の学習」として工夫できることは色々あります。
例えば「コンプライアンス研修」や「キャリア研修」。必要性は判るだろう、と雑に参加者を招集していませんか? 「(何するか具体的にはよくわからないけど)来いって言われたからとりあえず行ってくるわ~」という言葉が、職場で出ているかもしれません。これではなかなか自発的に取り組んで頂くのは難しいですよね。

ポイントとして

  • 目的や内容を事前にしっかりと伝えているか?特に、「本人にとって」どんな利益があるか(どう活用できるか)の視点で伝えられているか?

  • 研修テーマに関して、受講者の現在の「問題・解決したい課題」をちゃんと把握しているか? それが解決できる内容になっているか?

  • 過去の類似経験や失敗経験などを思い起こしつつ習得・応用していく構成にできているか?

こうしたことをおさえておくと、研修への興味や、真剣な取り組み姿勢をぐんと引き出しやすくなります。

また、これらは研修だけではなく、仕事を通じて誰かに何かを教えたい、習得してもらいたいとき全般に役立つポイントです。実は、自分自身をやる気にさせる際にも有効です。自分のことなのに?と思われるかもしれませんが、学ぶ目的や活用イメージをぼんやりとしか持てていないために学習が続かない、ということも意外に多いのです。
この大人の学習ポイント、色々な場面でぜひ、活用してみてください。


本コラム「人事のツボ」は東京経済株式会社さんが発行されている「東経情報(九州版)」にて掲載中です。

第8弾もお楽しみにお待ちください(・ω・)♪

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