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政治とは人間社会における見えないインフラなのです。

あるとき、研究室の教授がこう言った。

「政治とは、人間社会における目に見えないインフラである。」

そう、人間が複数人集まって集団を形成したときには、必ず「政治」が必要になる。その「政治」「政(まつりごと)」という言葉の意味について、私の考えは以前にも書いたことがある。

それは、「価値観の異なる人々と向き合いながら丁寧に信頼関係を築き、集団として幸せになれるような施策を打ったりルール作りをすること」である。

しかし、このような政治による成果は、目の前に具体的なモノとして実在するわけではないから、その恩恵が人々に理解されにくい側面がある。

この構造は、私の専門である「安全」とも大変良く似ている。

ある工場が安全に安定操業しているとき、安全担当者は軽視されがちである。それは、安全担当者がその工場に対して具体的にどのような貢献をしているかが目に見えないからである。しかし、ひとたび事故が起きてしまった場合には、真っ先に安全管理に問題が無かったかどうかに目を向けられる。安全であることの恩恵は、何かトラブルが発生して初めて認識されることが多いのである。

政治についても同様だ。

人々が穏やかで幸せに生活できている社会において、政治は軽視されがちである。それは、人々が政治が普段何をしているかに興味を持つ必要がないからである。しかし実際には、人々には見えにくい小さなトラブルに対して事前に対応したり、意見の違う人たちの主張をうまく調整したり、目立たないが重要な仕事をやっているのが「政治」なのだ。

「大事なものは目に見えないんだよ。」

サンテグジュペリの「星の王子様」に出てくるキツネのセリフだ。確かに、大事なものは目に見えないし、目に見えないものこそ大事なものであることが多いとも思う。

教授は、冒頭の言葉に続けてこう言った。

「安全のマインドを持った、責任を持って大きな意思決定ができるような人にこそ、政治家になってほしいねぇ。」

それを聞いて私は、安全を学んだ人間の荷は重いなぁと思うと共に、人間集団が集団として幸せに生きていくために、そういうことができる人間であらねばならない、と思った。


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