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81.抽象的な言葉に定義をつけること

先日、妻と一緒にある音楽番組を見ていたときの話です。
 
その音楽番組で、名前は聞いたことがある、というくらいの認識の男性アイドルグループが新曲を披露していました。
 
僕は何も考えず、ぼーっと彼らの歌を聞いていたのですが、隣に座っていた妻がぽつりと言いました。
 

「…なんか、レベル低いね。」

 
かなり酷な言葉ではありましたが、僕にも妻が言わんとしていることがわかりました。
なぜなら、僕も、彼らのことを「なんだかレベルが低い」と思ってしまっていたからです。
 

歌声は、歌を生業にしているアーティストに比べると下手に聞こえる。
踊りは、ダンスを生業にしている人に比べると、揃っていないし、キレもないように思える。
容姿は、イケメン俳優というよりは、身近にいる友人、といった風に見える。

 
明るく、元気なパフォーマンスではあったけれど、技術的にはどうなんだろう、と疑問が残ってしまいました。

 
それからしばらく経ったある日。
ネットを見ていると、地下アイドルをテーマにした記事を見かけました。
 
何気なく読んでみると、その記事の中に、ハッとさせられる言葉を見つけました。
 

「人間的な魅力が技術を上回っていること」がアイドルの定義のひとつだと言われています。

 
確かにその通りだ!と思いました。

男女問わず、「国民的」と呼ばれるアイドルには確かに技術云々ではない、「人間的な魅力」があったからです。歌や踊りが超一流でなくても、「応援したい!」「見ていると元気になる!」といった不思議な魅力を感じたことがある人は、きっと多いでしょう。

 
僕と妻が酷評してしまったアイドルグループに対しても認識を改めなければ、と思いました。僕と妻は、彼らの人となりは一切知らずして、歌や踊り(=技術)のみで、魅力があまりないのでは、と判断してしまったからです。
1度のパフォーマンスを見て、好き嫌いを判断することは、決して悪いことではないように思いますが、彼らがアイドルである以上、彼らの「人間的な魅力」にも触れてみたいと思いました。
 

 
さて、話は少し変わるのですが、僕は小説を読むのが好きです。
ストーリーが面白いというのは、もちろんあるのですが、小説の魅力の1つに「言葉では言い表せそうにない感情を言語化してくれる」というものがあると思います。
 

これに似たような感覚で、僕にはもう一つ好きなことがあります。
それは、「抽象的な言葉に定義をつける」ことです。
 

例えば、前述したような

「アイドル」=「人間的な魅力が技術を上回っている人」

といったようなことです。
 
抽象的な言葉が定義されると、心のどこかにあったモヤモヤが晴れて、とても気分が良くなります。ちなみに妻にアイドルの定義を伝えると、僕が想像していたよりもずっと高いテンションで驚き、納得していました。おそらく妻の心の奥底に沈んでいたモヤモヤが晴れて、随分とすっきりとしたのでしょう。
 

僕はスガシカオさんの「Progress」という歌が好きです。NHKのプロフェッショナルのテーマ曲にもなってるので、広く知れ渡っている歌だと思います。
 
僕が「Progress」を好きな理由は歌詞がカッコいい、と思うからです。
僕が好きな歌詞の一部を抜粋してみます。

 

「ぼくが歩いてきた日々と道のりをほんとは“ジブン”というらしい」

 

「誰も知らない世界へ向かっていく勇気を“ミライ”っていうらしい」

 
どうしてこの歌詞が好きなのか。
 
これもやはり、抽象的な言葉に定義をつけているからだと、気づきました。
少しわかりやすく、言葉を置き換えてみます。
 

「自分」=「僕が歩いてきた日々と道のり」

 
最高です。
 

「未来」=「誰も知らない世界へ向かっていく勇気」

 
痺れます。

詩的で、少しキザな表現が、僕にはグッときます。
 
実はこうした「抽象的な言葉に定義を定める」っぽい表現を集めることは、僕の趣味の1つでもあります。自分で考えられたらすごく気持ちがいいのでしょうが、なかなかそこまでのセンスがないので、小説や雑誌などで気に入った言葉があれば、都度メモを取るようにしています。
 

せっかくなので、今回はその一部を記載させて頂きます。
 
 

「夜景」=「人々の営みの尊さや輝き」


 

「学校教育」=「常にどこかに正解が用意されている訓練」

 

「科学」=「この世の真理にゆったりと近づいていくが、決して真理には到着できないもの」

 

「心配」=「まだ起きてもいない問題を頭の中で創りだし、ストレスを抱えること」

 

「恐怖心」=「生命維持のための本能的な防御メカニズム」

 

「愛」=「究極の概念であり、規定できない何かをかろうじて単語に詰め込んだもの」

 
 
どうでしょうか。
僕にとってはかなり、心地の良い文章の羅列です。
 
分かって下さる方がいたら、嬉しい限りです。

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