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町の絵描きが子育てを応援することができるか

・・・絵描きのスキルで大きな紙のめいろを作る・・・

大きな紙の『ねこのぼうけんめいろ01 なつのまき』

はじめまして、こんにちは。
絵描きでデザイナーでペレカスブック書店主の新井由木子です。
これは町の絵描きが子どもと、子育てをするひとのために、
大きな紙のめいろを作ったという
小さな話です。

日々のことはこちら。
https://www.instagram.com/pelekasbookwork/?hl=en

・お母さんの『ため息』・

「子どもはほんとうに可愛いのだけれど、毎日一緒にいると、心がしんどい」
ペレカスブックの店頭で呟やかれた、とあるお母さんの少し涙を浮かべた顔が、今でも胸に刺さっていて忘れられません。
子どもが可愛ければかわいい程、そして真面目に頑張ればがんばる程、疲れてしまうことって、あります。
子どもに『子どもの時間』が必要なように、一緒に過ごす大人にもホッとできる、人としての『自分の時間』は、必要です。

子育て中のわたし

この声を聞いた時、子育てを終えた自分が自分のこと(店の経営などなど)だけでめげていてはいけないと思いました。
ペレカスブックに、何かできることはないか、、、。
作れるものは紙製品。
子どもたちが家の中で、夢中になってくれるもの。
子どもがひとり遊びをする間、お母さんがお茶の一杯を飲んでホッとできるもの、、、。
浮かんできたのは『大きな紙のめいろ』でした。

・めいろを作る・

子どもたちに喜んでもらえる楽しいめいろになるように。
絵描きのスキルを生かして、絵が入った物語性のあるめいろを作ることにします。
主人公は猫。

竹ペンとインクで猫を作画

夏のめいろは、夏祭りや海あそび、おばけやしきなど、夏らしい出来事を巡るうちに、だんだんと猫の仲間が増えていく物語。
竹ペンでそれぞれのイラストを描き、配置します。
雪のめいろは、雪あそびをする猫がうさぎの家へ行き、迷いながら家へ帰るお話。
アイパッドで一枚絵にして作画しました。
大きな紙に描がれた雪の坂道を、ソリで一気に滑り降りる工夫も。
どちらも、結構な量の作画があり、時間がかかる作業でした。

イラストを全体に並べます

次はめいろの道順作り。
間違えてゴールに行けない道順でも作ろうものなら、それは複雑なだけで出口の無い袋小路。
こんなにも楽しくないものが、この世にあるでしょうか、、、。
物語の筋道通りに進めるように何度も道を描き直し、イラストの配置を直します。

絵のラフを作りつつ端からめいろを作ります
イラストの位置や大きさの微調整は、意外に大変です

道作りはイラレのグリッド機能を使うと便利。
枝分かれした行き止まりにも、なにかしらモチーフを置いて楽しめるように工夫。
校正には念には念を入れ、何度も出力して確認しました。

A4の紙をつなぎ合わせて実物大で校正

データ完成までには80時間くらいかかっています。

完成データ。涙ぐましい努力の結実です。

・印刷工場へ・

ペレカスブックのある埼玉県草加市の隣、千住地域には紙の工場がたくさんあります。
そしてオリジナル紙製品を作るペレカスブックでは、普段から様々な工場のお世話になっているのでした。
今回協力をお願いしたのは、大きな紙への印刷を得意とする #江北印刷 さん。
訪ねて行くと、恐竜くらいもある巨大な印刷機が、ゴウンゴウンと重厚な音を立てていました。

埃が入らないよう仕切られたカーテンの向こうに・・・
2色印刷の巨大な印刷機械があります
若くてかっこいい職人さん

積み上げられているのは、厚く重ねられた刷り上がった紙の束です。
中でもお菓子店用の包装紙は、2色印刷でここまで多彩な表現ができるのかと思うくらい、綺麗で表情豊かです。

タンク内の翠のインクがロールに移って、鮮やかに綺麗です
全体の微妙な濃淡を細かく調整
機械から次々と出てくるめいろ
できたてほやほやの、めいろ

とうとう、めいろが刷り上がりました!

ペレカスブックに届いためいろ

・めいろを届ける・

めいろの価格は気安く求めていただける300円に設定。
早速待っていてくれた小さなお客さんがお小遣いを握りしめてやってきたり。
ペレカスブックを応援してくれているお客さんが、親戚のお子さん用に買ってくれたり。
ネットでは初めての週に100枚が売れました。
製品を作っていると、届けて喜んでいただく瞬間が一番うれしい!
頑張ってよかったと心から思いました。

ゆきだるま・かまくらなど、雪のあそびを楽しむ(ねこのぼうけんめいろ ゆきのまき)
ぬり絵にする子も
つづきは明日
大人も!
ワンコも?
みんなで!

床に敷いたり壁に貼ったり、クレヨンや色鉛筆でカラフルになっていくめいろ。
最後は裏返して大きなお絵描きをしても良いですね。
ねこのぼうけんめいろ なつのまき
ねこのぼうけんめいろ ゆきのまき

・紙を存分に楽しんで欲しい・

良く聞かれるのが、紙の製品を綺麗なまま使いたいという声。
けれど紙の良さは、自由に色を乗せたり、くしゃくしゃになったり、破けたりしても耐えてくれること、風合いを増していくことにもあります。
是非気取らずに、のびのびと精一杯遊んでいただけたら嬉しいです。

お人形あそび。町に見立てているのかな?

できれば子どもが集中する間に、大人がホッとできたら良いと思って作りました。
でも、お手伝いが必要な子もいたり、中には見ただけで、めげてしまう子もいるかもしれません。
嬉しい声も、もっとこうして欲しいという声も、ペレカスブックに聞かせてくださったら幸いです。

製品つくりはどんなものでも、社会に送る小さな風だと思っています。
ただモノを作るだけでなく、それによって何かに変化があったり、悩みが少し楽になったり、未来へ進むための小さな力になってくれたらと願います。
子育てを応援するための『大きな紙のめいろ』。
お気軽にお求めいただけたら、こんなに嬉しいことはありません。

子育て中のかただけでなく、子育てを応援したいかたは、ポイっと手渡す気取らないプレゼントに。
親戚やお友達に配りたい、学童や保育の場などでご利用なさりたいなど、おまとめでのお求めは、メールにてご相談ください。
pelekasbook@gmail.com

『大きな紙のめいろ』を通して、みなさまと繋がれますように。
どうぞよろしくお願いいたします。

あそびかた
えんぴつで せんを かきながら すすみましょう。
いきどまりになったら わかれみちまでもどって べつの みちをすすんで みましょう。
あそびおわったら おおきな おえかきをしたり
やぶいたりして あそんでもよいと おもいます。

大人のかたへ
紙の端で手を切ったりしないよう、ご配慮ください。
製品の性格上、返品はお受けできませんので、ご了承ください。

四六全版78.8cm×109.1cm
ノート紙
イラスト・構成:新井由木子
印刷制作 江北印刷


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