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辛いラーメン

2024.08.13
ペぎんの日記#130
「辛いラーメン」


どうしてだか、泣きながら食事をすることにどうしようもない美しさを感じるようになった。

別に、誰かが泣きながら食事をしている姿を見たとか、小説で読んだとかじゃない気がする。
いつの間にか漠然と、夜中に泣きながら食事をする姿って美しいよなと思うようになった。

そんなこんなで最近私は、からくて熱いラーメンを、鼻水と涙を流しながら食べるということをしている。

からくて熱い、要するに「辛い(つらい)ラーメン」を、ボロボロになりながら食べる。

汗もかくし、唇は痛いし、舌は白湯を飲んだだけで激痛が走るような状態になる。

そもそも私は、からいのも熱いのも苦手なのだ。

それなのに、何度も辛いラーメンを口に運んでは、涙を流して噛み、飲み込む。
そうしているとだんだん、自分がひとつの芸術品になれたような気分になってくる。涙を流しながらご飯を押し込むという、ひとつの物語を持った存在になれているような気がして。

多分、自惚れですね。

もしかすると涙を流しながらご飯を食べることに憧れたんじゃなくて、涙を流しながら辛いものを食べる自分が好きになってしまったのかも知れない。

でも、それでもいいかなって思います。

汗を流して、涙を流して、一人前を食べ切るその時間。食べ終わったあとの妙な達成感。それは私にとって間違いなく意味のあることだから。

何年後かに「辛いラーメンを泣きながら食べることに美しさと達成感を感じていた」という私の幼さを、私が笑って受け止めてくれれば、それで。

いや、どうだろう。この話を受け止めるときに私は笑うだろうか。案外、また泣きながらラーメンを食べてるときにこの日記を開いたりして。

泣きながらラーメンを食べている私は美しいという、自惚れとともに!


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