見出し画像

「アイデアはあるのに行動できない人」が身につけるべき、たったひとつのスキル

「行動」の価値が高まっています。

これから知的生産はAIにどんどん代替されていくでしょう。そうなったとき最後に残る仕事は「やりたいことを、仲間を集めて実行し、実現していくこと」だと思います。

既出の情報を組み合わせるだけなら、もはや人がやる必要はない。でも「行動によって、新しい情報や価値を生み出す」ことは、AIにはできません。

「アイデアを実現する力」が、ますます重要になっていく。逆に「ただの物知り」で終わってしまって行動しない人は、けっこうヤバいと思います。

では「アイデアを実現できる人」と「知識や構想はあるけど、結局なにもしない人」は、一体なにが違うのか? 今回はそんな話をしてみます。

ただの行動力ではない「”フッ軽”力」

僕は大学2年のときに、たまたまビジネススクールで出会った仲間と学生起業をしました。それがうまくいって、どんどん事業を拡大し、クライアント数は5年で約600社になりました。

今は最初の会社だけでなく、いろんな業界でスタートアップを量産する「スタートアップファクトリー」をやっています。

これだけいうと「すごい行動力がある人」みたいに思われることがあるのですが、僕はかなりのインドア派です。なるべく家から出たくないし、コミュ力が高いわけでもありません。

しかも起業する前は、いろんなことをちょっと調べては、7割ぐらい理解したところで「あーなるほど、こんな感じね」となって、興味を失ってしまうタイプでした。行動に移すほどの熱をなかなか持てなかったのです。

いまもリサーチや事業構想をつくるのは好きですが、営業や交渉、人脈作りみたいなことはちょっと苦手です。

そんな僕がなぜ起業することになったのか?

それは、ここぞというときの「”フッ軽”力」があったからだと思っています。

「フッ軽力」は、単なる「行動力」とはちょっと違います。なんでもかんでもやるのではなく、自分の興味にもとづいて情報収集し、「ここだ!」というタイミングでバッと動く。

そうすると、いい人やいいきっかけに出会える確率がグッと上がります。

その出会いによって、熱がもてるまで対象を深掘りできたり、苦手なことを補いあえる仲間ができたりした。結果的に、事業もうまくいったのです。

たまたまセミナーで出会った仲間と起業

起業までの経緯を少しお話しします。

僕はもともとプログラミングやAIに興味がありました。ちゃんと体系的に学びたくて、大学はコンピューターサイエンス系の学科に入りました。でも、大学の授業は進みが遅くてつまらないし、周りにもそんなに真剣に勉強してる人はいなかったんですよね。

なんかやる気出ないなー、どうしよっかなーと思っていて。

そんなとき、たまたまFacebookでAIセミナーのお知らせが流れてきて。「おもしろそうだし行ってみよっかなあ」ぐらいの感じでひょいと参加したんです。「ディープラーニング」について初めてきちんと知り「こんなにすごい技術があるんだ」と感動しました。

それ以来、家にこもって独学でAIの勉強をするようになりました。

そうしてるうちに「ビジネスもおもしろそうやなあ」と思い始めて。「じゃあビジネススクール行ってみようかな」と思って行ってみました。よくわからない、怪しい大学生向けビジネススクールだったんですけどね。笑

そこで、今の創業メンバーと出会いました。

彼らは僕と同じく、AIや機械学習に興味があって。仲間と出会えてから、僕もどんどんのめり込んでいけました。その人たちと「じゃあ、AIの学生団体を作ろう」「ビジネスも一緒にやろうよ」という感じになって、AI人材育成の会社を立ち上げることになりました。

創業者の3人はいい感じに得意分野がバラバラだったんです。一人は営業が得意で、一人はコンテンツづくりが得意。僕はe-Learningシステム開発や受講者サポートみたいなところを担当していました。

だんだん仲間も増えていって、気づいたら創業から5期目で、大手600社以上から相談を受けるまでに成長できていたんです。

「おもしろそう」のセンサーを磨く

振り返ってみると、僕が行動のきっかけや、熱を共有できる仲間に出会えたのは、この2つの条件がそろっていたからだと思います。

・自分の「興味の軸」がはっきりしていたこと
・「おもしろそう」と思ったら、とりあえずフットワーク軽くやってみたこと

当時は「あ、なんかおもしろそう」と思えるセミナーやビジネススクールをみつけたら、その場ですぐに申し込んでいました。いまでも、気になったものやサービスはとにかくすぐに試しています。

僕は比較的いろんなことに「なんかおもしろそう」と思えるほうです。それは、自分の「興味の軸」がはっきりしているから。さらに「興味の抽象度」が高いからだと思います。

「興味を持つ」とは、自分と対象とのあいだに何かしらの関連性を見つけて「自分ごと」にすることです。だからなにかに興味を持つには、まず「自分はどんなものに興味があるのか?」を自覚する必要があります。

いきなり考えるのが難しければ、まずは自分のこれまでの人生を振り返ってみるといいかもしれません。ずっと続けていることや考えていること、自分と切り離せないことはなにか。逆に、絶対に避けてきたことや、嫌いなことはなにか。

ゲームや運動、食べ歩きや恋愛、得意科目や嫌いな科目など、なんでもいいんです。

それを自覚して「なんでこれが好き/嫌いなんだろう?」と深掘りしていくと、興味の軸に気づいていけると思います。

そうしたら、あとは興味の「抽象度」をだんだん高めていくといいです。

僕にとっての興味の軸は「この世の真理を知りたい!」とか「新しい技術がどんな未来をつくっていくのか知りたい!」みたいなこと。SF的な思考や物事が好きです。これってかなり抽象度が高いので、いろんなことを紐づけて「自分ごと」にしやすいんですよね。

AI、ブロックチェーン、再生医療のようなディープテック。稲盛和夫さんのような経営思想や、自然科学、仏教、アートなど……。

興味の抽象度が高いほど、いろんなものを自分ごとにしやすくなって、興味の幅は広がっていきます。

「ただフッ軽なだけ」じゃダメ

僕はふだん、特にテーマのない飲み会や「起業家交流会」みたいな集まりにはあまり行きません。なんでもかんでも行くのではなく、ピンときたものだけ行くようにしています。

「とにかく行動しまくろう!」と、行動すること自体が目的化してしまうと、あまりよくないのです。

名刺交換会ばかり行っても、無駄な名刺がめっちゃ増えてしまうだけ。興味もないセミナーに参加しまくっても、何にも繋がりません。やっぱり、自分のなかに芽生えた興味にしたがって、そのなかで生まれる縁が大事なんです。

ふだんは家にいて、情報収集をしたり、整理したりする。そうやって自分の感性に敏感になっておくことで「ここぞ!」というときにフッ軽になれるんだと思います。

そういう意味で、いまは「フッ軽力」を高めやすい時代です。

AIやWeb3など、いろんな新しい技術や情報が出てきているので、フッ軽ポイントはたくさんある。ちょっとでも興味を持ったら調べて、詳しい人に会いに行ってみたりしたら、めちゃめちゃチャンスがあると思います。

「チャンスを見つける」までは、すごく手軽にできるようになりつつある。大事なのは、そのあとです。

仲間をつくったり、自分より詳しい人に教えてもらったりして、興味分野を深掘っていく。

今ならChatGPTやBingAI、論文検索AIなんかを「壁打ち相手」として活用してもいいと思います。興味のあるテーマについて論文を探してもらって、それを翻訳・要約してもらったり、論点を10個ぐらい出してもらったりする。

「何を考えればいいかわからない状態」が一番つらいです。だからまずは、AIに興味の軸を深掘りしてもらって、考えるきっかけを手に入れるといいと思います。

そうすれば、あとはけっこう楽に思考できるはずです。

情報はみんな平等につかめる時代

おもしろいと思えるテーマを探すには、情報収集が必要です。

僕の場合、情報収集はTwitterですることが多いです。カテゴリーごとにリストを作って、気になった人はとりあえずフォローしています。

「いいな」と思った情報は全部ブックマークしておいて、定期的に振り返るようにしています。ブックマークした情報を眺めると、自分の興味の軸もなんとなく見えてくるんです。集めた情報は、notionなどにまとめることもあります。

Twitterのブックマークはこんな感じ
最近は自社ファンドを立ち上げたいと思っているので、金融の仕組みについて勉強してます

「Twitterの情報って、あんまり質が良くないんじゃないの?」と思うかもしれません。確かに、いわゆる「バズっている」ツイートは、あんまり意味がないことが多いです。

僕のTwitterの使い方はこんな感じです。

1.信頼できそうなおもしろい人を何人かフォローする
2.その人たちがフォローしている人や、おもしろいと言っている人をさらにフォローする

リアルの世界でもそうですが、おもしろい人は他のおもしろい人を知っています。そうすると「いいね」の数は少ないけど有益な記事や、フォロワー1000人ぐらいだけどすごく面白い人を見つけられます。

このご時世、触れている情報源はみんなだいたい一緒です。

うまくいってる人が、特別いい情報網や人脈をもっているわけではありません。そこからどう掘っていくかとか、何を感じるか、何を考えるかが違うんだと思います。

同じ情報でも、なんにも思わない人と「おもしろい」と思う人がいる。それは「興味の軸」が違うからです。軸がどこにあるか次第で、情報の解釈は全然変わってきます。

たとえば同じ「ChatGPT」について知ったとします。「仕事が面倒くさいなあ」とふだんから思っている人なら「ChatGPTで自分の仕事をどれだけ楽にできるか?」ということを、最初に考えるかもしれない。

ビジネスチャンスを探している人なら「ChatGPT活用ノウハウ」を売って稼ごうと思うかもしれない。はたまた「ChatGPTがどうやって動いているかの原理」に興味が湧く人もいるかもしれない。

自分の興味の軸によって、情報の捉え方はよくも悪くも変わります。だからこそ、そこに自覚的になるのが重要だと思います。

定期的に「振り返る」習慣をつくる

もうひとつ大切なのが「振り返る」習慣です。

僕は別に、ふだんから「チャンスを掴むぞ!!」と思って行動しているわけではありません。なんかおもしろそうだから行くだけなんです。「あれ、やっといてよかったな」と思えるのは、行動したあとに「振り返り」をしたときです。

「あの出会いは重要だったな」と、自分なりに過去の行動に意味づけをする。そうやって振り返ることもすごく大切です。

本当はチャンスを掴めたはずなのに、気づかずにスルーしていることってめちゃめちゃあると思います。

振り返りをすることで「どういうことをすると、自分は良い感じになるのか」を自覚できる。すると、次に似たような出会いがあったとき、スルーせずにつかまえることができます。結果的に、いい出会いのサイクルがまわり始めるんです。

どんどん面白いことができるようになる

「フッ軽力」が高い人のところには、おもしろいものやチャンスがどんどん集まってきます。興味の軸にそって行動していると、周りに興味関心やワクワクポイントが似ている人が多くなってくるんです。

だから結果的に、ビジネススクールで出会った彼らとも、一緒に創業するぐらいの仲になれました。その後も、立ち上げた学生団体から、優秀なエンジニアが新卒で入ってきてくれたりしています。

昔の僕は、大きな目標や夢をもつことが苦手でした。失敗するのが怖いから「いけそうなライン」の目標しか立てていなかった。挫折することを避けてきたんです。

でも最近は、かなり大きな目標を持てるようになりました。ビジネスの世界だけでなく、地球、もっといえば宇宙規模で、この世界をよりよくしていきたいと本気で思っています。

いまやっている「スタートアップファクトリー」事業は、その第一歩です。

おもしろいことをやっていれば、自然とおもしろい人も集まってきます。

僕らはまだ若くて無名な会社です。それにも関わらず、元キーエンスやリクルートなど、すごく優秀な人たちが参加してくれています。

7割ぐらいで「うまくやっていた」あの頃よりも、興味対象に全力でのめり込めてからのほうが、やっぱり人生おもしろいんですよね。

僕はこれからも自分の好奇心に対して正直に、フッ軽に行動していきたいです。そのなかで生まれたものが結果的に、人や社会の役に立っていけば、こんなに楽しいことはないなと思っています。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

最後まで読んで頂いて、ありがとうございます!(^^) Twitterでも事業開発のコツをつぶやいてます。フォローしていただけるとうれしいです!https://twitter.com/tsuru___chan