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不妊治療しながら、転職をきめました

だいぶ前の記事に、仕事に行けなくなった話を書きました。
ぱた子の妊活記録#10~11の頃の話です。
 
その当時の自分自身がどんな状態だったかというと、ほとんど不妊うつ状態でした。
当時、お医者さんから言われていたのは、検査結果次第では、どんなに体外受精をしたところで、流産したり障害をもって生まれたりする確率が高い可能性が否定できないということ。
結果が思わしくなければ、体外受精を受けるかどうかもよく相談してくださいと言われていました。
 
自然妊娠は厳しいと言われている私たちにとって、体外受精に進めないということは、それはそのまま子どもを諦めるということです。
もちろん、まだ検査結果が悪いと決まったわけではなかったので、そこまで落ち込まなくてもよかったかもしれません。
でも、こんな家族になりたいね、とたくさん夢を思い描いてきた私たちにとっては、検査結果が出るまでの約1か月ほどの間、幸せの絶頂から奈落の底に突き落とされたような気持ちになり、今振り返っても本当に生きた心地がしませんでした。
 
これからもう一生、自分たちのところに赤ちゃんは来てくれないのかもしれない。

そんな絶望感を抱えながら検査結果を待っているという折にも折、同期の子の妊娠報告がありました。
 
今振り返っても、どん底の時期に友人の妊娠報告が重なり、もうこればっかりは運が悪かったんだと思うしかないのですが、その日を境に仕事にいくことは、どれだけ時間が過ぎても、いくら頑張っても叶わなくなりました。
 
来る日も来る日も、仕事どうしよう…どうしよう…と悩みつづけました。
 
妊娠したその子がいる間は無理でも、せめてその子が産休に入ったら、仕事に復帰しようと思った時期もありました。体外受精に無事進むことができたので、少し気持ちに余裕もできていたのかもしれません。
しかし、復職に向けて気持ちの整理をつけはじめていた矢先、こんどは採卵後の急性腹膜炎に襲われました。
 
これが私にとっての大きな転機となりました。
 
腹膜炎は、これまで味わったことのない、かなりの激痛でした。
呼吸も苦しく、命の危険すら感じました。
 
命がけでとった6つの卵子は、1週間後、幸いそのうち4つが胚盤胞まで成長してくれました。
ここまできたら、たまごを何としてでも良い環境で迎えてあげたい。
 
そう思うようになり、退院してから胚移植までの間、何か少しでも自分にできることはないだろうかとたくさん調べ、行きついたのが温活と腸活、そして心にも体にもおだやかな生活を送ることでした。
 
温活や腸活をはじめてから、体調が整うとともに心も少しずつ前向きになり、おだやかになるのを感じました。仕事をしながら治療のため病院に通っていた時に比べて、主人と小さなことで喧嘩することもめったに無くなり、心に余裕が出てきたように思いました。
 
前向きな気持ちで、改めて仕事への復帰について考えたとき、やはり戻ることは自分にとってかなりのストレスになることに変わりはありませんでした。
 
「あの時仕事に復帰していなければ、子どもができてたかもしれなかったのに」
 
この先不妊治療を続けていき、もし子どもができなかったとしても、そんな後悔だけは絶対に人生の中に残したくない、と強く思いました。
 
逆に不妊治療がうまくいって、子どもができたとしても、やっぱり仕事辞めなきゃよかった、に私はならない。
それは、あとで少し触れますが、あきらめていたけど、他にやりたい仕事があったから。
でもこの先もし子どもができなかったとき、今の会社に復帰した後悔だけは一生残ると思ったのです。
 
現実的な問題でいうと、特に金銭面ではもちろん、これまで勤めてきた会社に復帰し、育休産休をとって仕事を続けた方が良いのは確かです。
不妊で悩む前は、福利厚生の手厚いいまの会社で、私も職場の先輩みたいに結婚したら出産して、育休をとってずっと働きつづけるんだ、今の女性はバリバリ働きながら子育ても頑張るんだ、夫婦共働きが普通だし自分の将来もそうあるべきだ、と信じて疑いませんでした。
だからこそ、他にやりたい仕事があって、働きながら資格まで取得してもぐっと我慢。
待遇面だけを考えて転職をせず、今の会社で仕事を続けることが一番家族のためになると思って生活していました。極端な言い方をすれば、それしか今の自分が幸せな家庭を築く手段はないと思っていたのです。
 
でも、そうでない立場に立って、今まで自分をひとつの価値観に縛りすぎていたようにも感じました。

人生にはいくつも選択肢があっていいはず。
やりたい仕事をした上で、家族との時間も大切にする。
家族を幸せにするために自分を犠牲にするのではなく、自分が幸せなら家族をもっと幸せにできるということに、遅まきながらようやく気づくことができました。
 
不妊治療をきっかけに、今後の人生やキャリアについて改めて考えることができ、待遇面だけを考えて今の会社にいつづけるよりは、子どもができてもできなくても、やりたいと思っていた仕事に挑戦してみたい、と思うようになりました。
もちろん不妊治療、なければないに越したことはなかったですが、自分のキャリアの上ではマイナスどころか大きくプラスに働きました。
 
長く悩みましたが、これまで勤めていた会社を退職することに決めました。
そして先日、無事面接が通り、週に数回のペースではありますが仕事がスタートできそうです!
ドキドキですががんばります。
 
保険適用の回数もあるので、実際に不妊治療をするのも、長くてあと1年ほどでしょうか。
納得のいくまで不妊治療と向き合える環境をいただくことができたこと、やりたかった仕事をはじめるきっかけが生まれたこと、そしていつもがんばって仕事してくれている夫に感謝して、大事に今の時間を過ごしそうと思います!

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