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カフェインと運動パフォーマンス

▼ 文献情報 と 抄録和訳

国際スポーツ栄養学会のポジションスタンド:カフェインと運動パフォーマンス

Guest NS, VanDusseldorp TA, Nelson MT, Grgic J, et al. International society of sports nutrition position stand: caffeine and exercise performance. J Int Soc Sports Nutr. 2021 Jan 2;18(1):1.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

✅ 結論
カフェインには様々な効果があり、スポーツ場面で”適切に”使用されることが望まれる

[概要]
現在までに入手可能な文献を批判的に評価した結果、カフェインの摂取に関する国際スポーツ栄養学会(ISSN)の見解は以下の通りである。

1. カフェインの補給は、すべての研究ではないが、多くの研究で運動パフォーマンスの様々な側面を急性的に強化することが示されている。カフェインの使用による小~中程度の効果としては、筋持久力、運動速度、筋力、スプリント、ジャンプ、投擲のパフォーマンスのほか、有酸素性および無酸素性のスポーツに特有の幅広い作用が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
2. 有酸素持久力は、カフェイン使用による効果の大きさには個人差があるものの、最も一貫して中程度から大きい効果が得られる運動形態であると考えられる。
3.カフェインは、3~6mg/kgbody massの用量で摂取すると、運動パフォーマンスを向上させることが一貫して示されている。カフェインの最小有効量は現在のところ不明だが、2mg/kg体重程度である可能性がある。非常に高用量のカフェイン(例:9mg/kg)は、副作用の発生率が高く、エルゴジェニック効果(スポーツにおけるパフォーマンス向上効果)を引き出すのに必要ではないようだ。
4.最も一般的なカフェイン補給のタイミングは、運動前60分である。カフェインの最適な摂取タイミングは、カフェインの原料によって異なると考えられる。例えば、カフェインカプセルと比較して、カフェインチューインガムは、摂取してから運動開始までの待ち時間が短くて済む可能性がある。
5.カフェインは、トレーニングをしている人としていない人の両方において、身体的パフォーマンスを向上させるようである。
6.スポーツや運動のパフォーマンスの個人差や、カフェイン摂取後の睡眠への悪影響や不安感は、カフェイン代謝や身体的・心理的反応に関連する遺伝的変異に起因すると考えられる。また、習慣的なカフェイン摂取のような他の要因も、個人間の反応の違いに関与している可能性がある。
7. カフェインは、ほとんどの人において、注意力や警戒心などの認知機能を向上させる効果があることが示されている。
8.カフェインは、睡眠不足の状況下で、一部の個人の認知的および身体的パフォーマンスを改善する可能性がある。
9.暑熱下や高地での持久力運動にカフェインを併用することは、投与量がそれぞれ3~6mg/kg、4~6mg/kgの場合、十分に支持される。
10.カフェイン入りチューインガム、マウスリンス、エネルギージェル、チューなどの代替カフェイン源は、主に有酸素運動のパフォーマンスを向上させることが示されている。
11. カフェインを含むエナジードリンクやプレワークアウトサプリメントは、無酸素運動と有酸素運動の両方のパフォーマンスを向上させることが実証されている。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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✅カフェインの作用を知ることは面白い。以下はコーヒーの起源として知られる伝説であるが、カフェインの効用がわかる。

羊飼いのカルディ
羊飼いのカルディはある日、普段はおとなしいヤギたちが興奮して踊っている姿を見る。観察していると、ヤギは樹になった赤い実を食べたあとに踊り出すことがわかった。~中略~ それ以来、近くの修道院では眠気覚ましのこの実を使うようになったと伝えられる。
ナツメ社.『コーヒーを楽しむ教科書』.井崎英典 より抜粋

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コーヒー好きなら言わずもがなかもしれないが、上記の井崎英典さんの本は非常に分かりやすくて面白い。noteで記事も書かれているのでご参考に。

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最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

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