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【号外】システマティックレビューの執筆例

📖 文献情報 と 抄録和訳

労作性熱中症、モダリティ冷却速度、および生存アウトカム。システマティックレビュー

Filep EM, Murata Y, Endres BD, Kim G, Stearns RL, Casa DJ. Exertional Heat Stroke, Modality Cooling Rate, and Survival Outcomes: A Systematic Review. Medicina (Kaunas). 2020 Nov 5;56(11):589.

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DOI, PubMed

📚 概要

[背景と目的]
この系統的レビューの目的は、スポーツおよび軍隊の集団における労作性熱中症(EHS)による医学的合併症の有無にかかわらず、冷却方法が生存に及ぼす影響を総合的に判断することである。

[方法と材料]
EHS患者を含むすべてのピアレビューされた症例報告またはシリーズを以下のオンラインデータベースで検索した。PubMed、Scopus、SPORTDiscus、Medline、CINAHL、Academic Search Premier、およびCochrane Libraryで検索した。冷却方法は、EHSの冷却速度に関する既報の文献に基づき、「適切」(0.15℃/分以上)と「不十分」(0.15℃/分未満)に細分化された。

[結果]
613の論文が品質評価され、レビューに含まれた。521人のEHS患者を代表する32の症例報告が、組み入れ基準を満たした。498人の患者がEHSを生き延び(95.58%)、23人(4.41%)の患者が合併症で死亡した。2×2分割表によるFischer's Exact検定と相対リスク比を計算し、モダリティ冷却率が患者の転帰と関連しているかどうかを判定した。不十分な冷却速度で冷却された生存したEHS患者は、設定にかかわらず、十分な冷却方法で治療された患者と比較して、医学的合併症のリスクが4.57倍であった(RR = 4.57(95%CI: 3.42, 6.28) )。

[結論]
このSRは、冷却速度が患者の転帰に及ぼす影響を分析した、これまでにまとめられた最大のEHSデータセットである。冷却速度が適切な治療法が含まれる場合に死亡した患者は0人(0/521、0.00%)であった。逆に、冷却が不十分な場合、23人の患者が死亡した(23/521、4.41%)。冷却速度が不十分な治療では、117人(117/521、22.46%)の患者が医学的合併症で生存したが、冷却が十分でも合併症を起こした患者はわずか4人(4/521、0.77%)であった。EHS患者の冷却速度が0.15℃/分以上であることは、合併症を起こさずにEHSを生き抜くことと有意に関連していた。EHS患者に最良の標準治療を提供するために、積極的な冷却速度>0.15℃/分は、運動誘発性高熱後の医学的合併症なしの生存を最大化することができる。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

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以下の文献の一緒に読むとこのSRの理解が深まるだろう。

本研究の限界にも触れられているが、このSRはケースレポートおよびケースシリーズ研究の結果を統合したものである。倫理的に介入研究が行いにくいテーマだからこそ、SRをする意義があると感じた。

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医療従事者における道徳感についても記事にしていますので良かったら読んで頂けると嬉しいです。

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