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Child Arts Academy vol.04

執筆:Parole編集員  寺内輝治

4月5日(日)、Child Arts Academy(CAA)が開催されました。
今回はParole編集員である私も1参加者としてこのイベントを楽しませていただきました。そこで今回は、CAAを担当している竹内さんにインタビューする形でCAAの魅力をお伝えしたいと思います。

寺内:
当日はお天気に恵まれ、CAA日和になってよかったですね。今回はいつにも増して屋外でのアクティビティが充実していたようですが、どのようなテーマで開催されたのですか?

竹内:
桜が満開になり、ふとまにの里もちょうど春めいてくる季節を迎えていたので、今回は「春を感じよう!」をテーマにしました。子どもたちには、自然の変化を肌で感じながら、一人ひとりが「春を探す」体験をしてもらいました。

寺内:最初のアクティビティは人参の種まきでしたね。

竹内:
ふとまにの里の畑に、一尺にんじんと五寸にんじんを植えました。せっかく種を植えても、ニンジンの成長以上に雑草の成長が早いので困ります。それを防ぐために、畑全体をマルチ(黒いビニールシート)で覆い、皆で穴を開け、人参の種をそれぞれ蒔いていきます。種を蒔いた後、穴に土を被せ、軽く押さえました。

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寺内:
私も参加させてもらったのですが、種を蒔いて人参を作るというのが新鮮でした。ふだん普通に食卓にあるものが、こんな小さな種から成長しているのだと思うと、ありがたみが湧いてくるというか。
収穫はいつ頃を予定されているのでしょうか。収穫した人参は皆でお昼ご飯の炊き出しの材料にするのですか?

竹内:
収穫は夏頃になりますね。今回種まきした人参もそうですが、ふとまにの里で栽培している野菜、お米などはすべて、白川の祭祀で神様に献饌するためにつくっています。
自分たちで種まきをして、定期的に畑を観察し、発育を見守っていきます。収穫した作物は、それが育つためのお働きをしてくださった神様に感謝の気持ちを込めて神事のなかで献饌し、そのあと直会で皆でいただきます。
作物ですから、植え方や天候によって、必ずしも健康に育たないこともありますが、それはそれで失敗として、学びになると思っています。上手くいかないことがあるのは人生でも同じで、そういうときの対応力というか、それを鍛える学びのチャンスだと思っています。

寺内:
なるほど、野菜作りをとおして、自然の力、神の力を感じながら、自分たちが生かされていることを学ぶことができるというわけですね。人参の種まきの後は、祝殿でのお祓い・鎮魂、そして七沢代表の講話でしたね。

竹内:
お祓いと鎮魂は毎回おこなっています。
今回は、「こういう時だからこそ、お祓い鎮魂を通して国家安寧を祈りましょう」というメッセージの後、鎮魂をおこないました。

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CAAを始めたばかりのころは、お祓いを上げたり鎮魂で座ったりすることができず、立ち上がって遊びはじめる子どもたちもいましたが、最近は集中力が出てきたようで、みんな、落ち着いてお祓いを上げ、8分間ジーっと鎮魂石を見つめて静かに鎮魂ができるようになりました。
お祓いと鎮魂が終わると、子どもたちはふとまにの里で自由に遊び、大人は七沢代表の講話を聞いていただく時間になります。今回の講話では、「我々の研究や情報をすべてお出しして、環境と共生していく在り方、生き方」について、力強いメッセージをお伝えいただきました。

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寺内:
参加された皆さんからのアンケートには、「環境と共生できる生き方を学び、伝え広めていきたい」という意志を表明してくださっているものが多かったと伺いました。

竹内:
はい。CAAは、まさにそういう場だと思います。今後もその理念をもとに、参加者の方々と共にCAAでは創り上げていきたいと思っています。

寺内:
講話の後は、ふとまにの里で遊んでいた子どもたちと合流していただいて、お昼ご飯になりました。私は炊き出しの準備をお手伝いしていたのですが、大きなお釜でご飯を炊いているのを見てびっくりしました。電子ジャーかと思っていたので。(笑)

竹内:
元フランス料理シェフの山口さんが、炭火で火起こしから始めて、大きなお釜でご飯を炊いてくれました。ふとまにの里で収穫したお米がふっくら美味しく炊けました。
メニューは、定番のけんちん風ほうとう、ブリとエリンギ、えのき、レモンが入ったホイル焼きとししゃものホイル焼き、そして、春ということで桜餅を用意しました。

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寺内:
私は2年まえに京都からこちらに甲府に引っ越してきて、ほうとうは何度か食べているのですが、これまでで一番美味しくて、何度もおかわりしてしまいました。今回も参加者の皆さんからも大好評でしたね。
お昼の後は、生ゴミ処理をおこなったんですよね。

竹内:
はい、牛の腸から抽出した消化酵素とおがくず、米の研ぎ汁を混ぜ合わせたものを基材にしてポリバケツに入れ、米の研ぎ汁と生ごみをよく混ぜます。しばらくすると、発酵して生ごみが消えてしまうんです。

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炊き出しで出た野菜の生ごみをハサミで細かく刻み、糠床みたいな感じで混ぜこみます。発酵させることで生ごみが減るメリットはもちろんありますが、発酵したものを、ふとまにの里の畑で堆肥にすることもできます。
畑で採れたものを食し、その生ごみを発酵させ、自然に還るという流れを、親子共に体感していただきました。種を撒いて、世話をして、自然の力によって育った作物を戴く。里にあるものでその営みが完結しているのです。

寺内:
普段、家庭でゴミとして廃棄しているものに、実は活用方法がある。それが自然に還りつつ、また作物の成長に役立つことを知れば、生き物、食べ物に対する考え方も変わってくるのではないでしょうか。
その後のアクティビティはどのように進んだのでしょうか。

竹内:
美術家で山梨大学大学院の井坂教授をお迎えして、アート教室を行いました。今回は、ふとまにの里にも春到来ということで、各自がイメージする春をスケッチブックに描いてもらいました。今後、夏秋冬もそれぞれ描いてもらって、最後に四季それぞれのイメージを合わせて絵巻物にします。

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人それぞれ、春に対するイメージが違うことが分かって興味深かったです。春といえばピンクや桜をイメージしますが、必ずしもそうではなく、それとはかけ離れた色や構図でイメージを描く子どもたちもいました。子どもは感じたことをそのまま表現します。純粋ですね。

寺内:
確かにいろんな作品がありますね。大人は物事に対して一定の常識というか、枠組みのようなものがあるのでしょうか。そこから外れないように表現する癖のようなものが身についているように思います。子どもはそういうものがないのでしょうね。

竹内:
子どもたちの純粋な表現力は、次におこなった演劇でも感じました。
いつも演劇は第二祝殿でおこなっているのですが、今回はコロナ対策もあり、お天気もよかったので、ふとまにの里でやることにしました。
まず、演目として、「古事記うみさちやまさち」の紙芝居をCAA校長の七沢清子さんに読んでもらいました。清子さんの臨場感溢れる語り口調に、皆が引き込まれて、感情移入する子どもたちもいました。

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その後、演劇学校で教鞭を執られている櫻井久直さんと浦山さつきさんのご指導のもと、このお話をもとに、皆で演劇をおこないました。
進行は、櫻井さんと浦山さんがコミカルな芝居で時折子供たちに質問を投げ掛け、ストーリーを進めていきます。
わたつみの宮殿へ行くシーンでは、三日月池の端の菖蒲の葉がたくさん出ている場所をわたつみの宮殿に見立てました。ボートで向かって行くと、浦山さんが天女姿で待ち構えているという、臨場感あふれるシーンになりました。古事記を通して、日本の歴史や神道について理解を深めてもらえたと思います。

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寺内:
なるほど、野原あり、川あり、丘あり、のふとまにの里での演劇となれば、臨場感が高まりますね。自然をそのまま舞台にしてお芝居を体験するのは、子どもたちの感性を育てるのに一役買うのではないでしょうか。

竹内:
ふとまにの里で行うことで、リアルなシチュエーションで演劇ができたと思います。いつも手の込んだ小道具をつかって楽しんでいるんですが、ふとまにの里でおこなうことで、自然がそのまま、大道具、小道具になってくれることがよく分かりました。
櫻井講師と浦山講師によるリアルな演出に、子どもたちはいつになくハイテンションでしたよ。(笑)

寺内:
まさに盛りだくさんの体験ができるCAA。今回、コロナウイルスに対する配慮をしながらの開催となりましたが、その点を含めて、イベント全体を通しての感想を聞かせてください。

竹内:
自粛ムードが蔓延する情勢でありながら、8組の方々にご参加いただきました。コロナの影響で、普段、家でジッとしている子もいたせいか、ふとまにの里に到着するや否や、走り出す子もいました。
今回、コロナ対策として、受付でマスクを配布し、オルムスで消毒してからアクティビティに入っていただきました。また常時、受付テントにオルムスやアルコールスプレーを設置し、適宜、消毒をしていただきました。
なるべく密閉空間での濃厚接触を避けるため、すでにお話したように、演劇会場をいつもの第二祝殿からふとまにの里に移しました。
開催させていただいて一番感じたのは、CAAを続けていると、お越しいただいている皆さんに家族を超えた繋がりが確実に広がっているということです。親御さんも、ご自身のお子さん以外の子供とも仲良くなり、CAAというひとつの「講」のような形で、共に子どもたちの成長を見守る場として、参加者とかスタッフとか関係なく盛り上げてくださっています。
今のような不安定な情勢だからこそ、こうした「場」は必要であり、また、私たちが取り組んでいる「終の住処構想」にも繋がると思います。いつか子どもたちが大きくなった時、チャイルドアーツアカデミーでの体験、繋がりが、何か役に立ったり、思い出になれば幸いです。
皆さまのご協力により、おかげさまで、今回も無事CAAを開催することができました。誠にありがとうございました!

寺内:
私も参加させていただいて、竹内さんがおっしゃる通り、大人の皆さんが子どもたちを見守る思いがCAAを包み込んでいるような感覚が伝わってきました。
子どもの頃に住んでいた町で、大人たちが自分たち子どもをコミュニティーとして見守ってくれていた、そんな温かさを思い出すことができました。参加させていただき、ありがとうございました。

さて、ここまでお読みいただいて、チャイルドアーツアカデミーにご興味を持たれた方もいらっしゃると思います。
次回5月5日のCAAは残念ながら定員に達してしまいましたが、6月以降の参加を希望される方、どんな活動をしているのか?もっと知りたい!など、興味を持たれた方は、下記フォームにご登録下さい。

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