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地元のラーメン。後編

最近地元の話多い?気のせいかな。
どうも、コーシです。

突然、ハタチの誕生日にどうしても地元のラーメンを食べたくなった私。
なぜこんなことを突然思ったのか理解できないまま、車は秩父市へと走る。彼女は突然の秩父行きの提案に驚いていたが快く「いいじゃん」と言ってくれた。

運転しながら、なぜどうしても地元のラーメンを、しかも誕生日に食べたくなったのか考えた。

自分のハタチ誕生日は特に特別視してないが、今日がハタチの誕生日じゃ無かったら地元のラーメンを食べたいなどと思わなかった気もする
さらにいつもなら、せっかく地元に行ったんだったら親友に会いたい。ラーメンはまぁできたら食べたいかな、くらい。
でも今日はラーメンが優先事項だった。
あとシンプルに私は誕生日当日に人に「会おう!」と言える程、陽気な人間でもない

まぁ食ったら何かわかるかな、とかもいつつ、なんかよく分からないちょっとエモい雰囲気の感情を持つ自分にまぁまぁイラッとしつつ、久々の地元のラーメンにワクワクしつつ、車を走らせた。

地元秩父には小学3年生から中学3年生まで6年間過ごした。地元といっても実は6年間しか住んでいない。東京の方が住んだ時間は長い。
しかしこの”ド思春期まん真ん中6年間”の秩父での思い出はとても濃い。基盤の人格形成が行われた場所といっても過言ではない。私にとってはとても大事な6年間だ。

最近、やけに小学生とか中学生だった時のことを思い出す。だから自然と文章中にも地元のことを書いてしまう。
思い出しては悔いたり、恥ずかしくなったり、羨ましくなったりしている。

あっという間に2時間が経ち、20時ごろ、秩父市に入った。ちょっとホッとする。

地元のラーメンは2店舗ある。「ぼんち」というお店と「けいぶ」というお店だ。「ぼんち」というお店は高確率でやっていない。もちろん情報を見ていない私が
悪いのだけれど、私が地元に帰るタイミングでシャッターを下ろしているんじゃないか、というレベル
もちろん今回もやっていなかった。もはや安定感すら漂う。次は絶対食べてやる。

「けいぶ」を目指す。ここは絶対やっている。ほら、やってた。これが真の安定感。

彼女もかなり楽しそうにしてくれていた。「してくれていた。」という感覚になってしまうのは間違いなくここが地元だからだな、と彼女が地元にいる違和感にかなり戸惑う。私はなんかすごい声が小さくなってしまった

東京で生きる自分と秩父で生きていた自分は間違いなく違う。人から見て感じるような差異ではないが、自分の中ではまるっきり違う。遊び方も、人との関わり方も。成長という要因もあるが、環境の変化という要因もある
前者の自分しか知らない人を目の前に、後者の自分が出てきてしまったようで恥ずかしかった。どちらも間違いなく自分だけど。

前に、地元の友達を車に乗せて東京の自分が住んでいる辺りを通った時も、似たような感覚があった。今回と逆のパターンだ。

今回に関してはあんだけ通いつめたラーメン屋さんだ。恥ずかしさが半端じゃ無い。

「けいぶ」のラーメンはそこまで久々でもない、半年ぶりくらいだ。
相変わらず美味しい。啜った瞬間大満足だった。わざわざ東京からこれだけを食べに来た理由は分からないが、大満足だった。

多分、ただこの味が食べたかっただけだな。と結論付けて、お店を後にする。

帰り道、少しだけ母校の小学校を散歩した。その時に、少しだけ地元のラーメンを食べたかった理由がもう一つ分かった。初心に戻りたかったのだと思う。ハタチが抱く感情としては情けないものかもしれないけど。

東京にいる時、あまりに悩みすぎると秩父に行きたくなった。秩父に悩みが無いとは言えない、そこではそこでの人生があったから。ただ地元にいる自分が東京にいる自分を客観視してくれる。そしてちょっとスッキリする。

多分今回はそれの長期的バージョンみたいな感じだ。最近の自分がどれだけごちゃごちゃの頭を抱えていたのか知った。だから最近秩父でのことをよく思い出していたのだ。

東京に帰るため、車に乗り込む。

ハタチになってみて、将来の不安はそのままに、案外スッキリしている自分がいる。正直私は20歳まで生きているという想像は全然できていなかった。素直に。

だからこそちょっと生まれ変わった感じで、想像外の人生に抜け出した感じで、ちょっとスッキリしている。

そんなことを感じながら、行きよりも楽しく車を走らせていると、道路上に何かが見えた。私がそれが何かを確信し急ブレーキをかけた頃には、もしかしたらぶつかる可能性もあった

車は幸いに”それ”にぶつからず止まった。目の前で4頭のイノシシがこっちを向いていた

地元のラーメンで得た多くの知見や感情の7割くらいはイノシシとともに山の奥へ消えていった。

 フクダコーシ しそとツナ缶。
 Instagram @f.kohhhhhshi_(アート投稿中!)
 Twitter @FKohhhhhshi

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