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クネクネ道とその向こう。

低気圧さん、5000円あげるのでどうにかなってください。
どうも、コーシです。

出発したとなればあとはもう目的地を目指すのみだ。
親友が生活を始めた古民家へ、180kmの旅。
ナビは、12時に出た僕らを17時には長野へ連れて行ってくれる気らしいが、今までの度重なる到着予想のハズレからそんなものは信用していない。私は18時過ぎだと思いますけどね。

車はGWの混雑をうまく避けて順調に進み、3分の1程度まで1時間半程度で辿り着く。
カーナビからジトっとした視線を感じる

道中からすでにとても楽しかった。
東京駅で親友の仲間のお二人を車に乗せた。
お話ししてみたいなと思っていた方だったので、後部座席で繰り広げられる女子トークに参加させてもらいながら握るハンドルは軽かった。

高速道路の記憶というのはエンジン音で掻き消されていくのが運転手の個人的あるある。
高い建物が見当たらなくなり、たくさんの屋根が並ぶ光景に目が慣れた頃、ぐらーデーションでみどりが増え始め、遠くに見えていたグレーの山が鮮明な緑や黄色に彩られて目の前に姿を現す。
爽快なドライブだ。

3時間ほど車で走ったところで、ETCレーンをくぐる。
少し前の時期までスキーヤーやスノーボーダーで溢れかえっていたような雰囲気がある越後湯沢に入っていく。

すぐに車は山道に入る。
急勾配、急カーブ。運転しがいがある。
ただでさえ品川ナンバーを前後に担いで走っているので、地元民に舐められない様な運転をしたいとか思ってしまう自分が20歳なのが信じられない。

控えめな音で鳴り続けているそろそろ飽きてきた自作のプレイリスト。
いつもは風景とリンクしやすい都会的なサウンドが、クネクネの山道には似合っていない気がする。

運転をしているとやはり冷静さを取り戻すもので、とある心配事が浮かんできた。
話を聴く感じ、親友は仲間たちに私の話をまぁまぁしてくれているらしい。

カレーをスパイスから作る人”、”エッセイを書いている人”、”自作アートをインスタにあげている人”、”文化祭であいみょんの『愛を伝えたいだとか』を歌った人”。

彼の私の紹介は聞くところそんな感じらしい。
ちょっと荷が重い。鼻ピアスとか開けてきた方が良かっただろうか。
前者3つはまだしも、最後の一つは文言がカッコ良すぎる。我ながら。
でも私の人生で1番輝きをまとった瞬間がそれなのだ。
毎日”文化祭で『愛を伝えたいだとか』を歌えるマインド”で生きることはできていない

クネクネ道は続く。

前者にしても、"付き合っては生きない男3C"(調べてみてください)を1.8Cくらい満たしているラインナップ
彼女はこの3Cを見て真っ先に私を思い出してしまったらしい。冷や汗ものだ。
現代におけるやばい男だと思われて無いだろうか。
思われても否定できるほどの手札もない。

クネクネ道は勾配を増した。

もしエッセイを読んでいただいていたら、すごく嬉しい。
嬉しいけれど、流石に内容的に”関わり辛い人”だと思われても仕方がない自信もある。

そんなことが少し頭によぎりながら、ガソリンの補給をする。
まぁ、それならそれでなんとかしましょう。
高を括って踏んだアクセルは、いつもより少し元気なエンジン音を響かせた気がした。

ここからはしばらく、なだらかな山道が続きそうだ。

とにかくそんなネガティブな心配事よりワクワクが勝っている。
長野にいる親友に自分のことを話させたら多分それが1番リアルな私かもしれない。
それくらいマブな、繋がっている感覚のある人がこの山道の先で生活しているのだ。

高校で多くの感情をほとんど毎日共有してきた人物が5時間運転した先で待っているらしい

修学旅行で全然同じ部屋じゃなかったのに、なぜか毎朝同じ部屋で目を覚ましていた親友が、文字通り緑に囲まれたこの場所にいるらしい

不思議な感覚だった。


夕飯の食料を調達するため、一旦古民家につながる曲がり角を通り過ぎてスーパーへ行く。
時間は18時前。
ほら見たことか、このカーナビちゃんよぉ。

スーパーに向かう道中、息を呑むほど広大で鮮やかな菜の花畑が広がっていた。

”カレーをスパイスから作る人”で罷り通っているのであれば、バーモントカレーを使う選択肢はない
スパイスから作ったるぜ。

私自身も、後部座席のお二人も、LINEで僕らの到着時間を気にする親友も、もう待ちきれなかった。
スーパーでしばしのお別れになるかもしれない水洗トイレをちょっと堪能した後、アクセルを踏み、菜の花畑にもう一度癒されつつ、いよいよ古民家へ向かう。

橋を渡り、少し細くなった道を進む。
カーナビにゴールの旗が見えてきた。
すでに道の幅は車の幅に近づいてきている。

多分これは旅とは違う、生活だ
”ここ”以外にたどり着いた。
そんな気がした。

時刻は19時前。
少し暗くなってきた古民家に到着した。

薄暗い中、青色の屋根は昼間に溜めた日光を発散する様に鮮やかだった。

親友と仲間たちが出迎えてくれる。
私は親友を見て、「いた!」と言ってしまった。

 フクダコーシ しそとツナ缶。
 Instagram @f.kohhhhhshi_(アート投稿中!)
 Twitter @FKohhhhhshi


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