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ひらがな

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ひらがなのような詩
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#自由詩

愛のかたち

愛のかたち

私があなたを愛していた
あの雨の日に
あなたはバラッドを歌った
旋律はどこか懐かしい

けれども私はあなたの歌声が好きではない
ただ、私の名前をそっと呼んでほしい
私の心臓の形に沿って
あなたも私を愛でて欲しい
私はあなたの声が好き



ゆみこは夢の中にいるような女だった
ゆみこはいつでもどこか白々しくて
でもその白さはどこかの世界へ繋がっていて
僕の黒さを際立たせた様だった

ゲーテが最初に

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親子のリレー

親子のリレー



そういえば雪

白雪が降っていた

空の奥から溢れる様に

まるで神様の落とし物みたいと

息子は溢れるように笑った

夕焼けは嫌いだった

一瞬、刹那に瞬いて

こんな文みたいに

破綻していても

夕焼けはその橙で

皆の視線を掠め取るだけ



父の書斎が好きだった

本の香りとインクの香り

なんだか高そうな万年筆

成長してそれは安物だと知ったけど

”小さい背中”と題された

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生きるという事

生きるという事

 私が私という形をして

 三十余年が経つ

 幸せと呼ぶには程遠く

 不幸せにもなりきれない日々が

 私という形を作り

 人に微笑んだりする。

こことそこ

こことそこ

 ここではないどこか
 そこではないどこか

 あおぞらのかなた?
 うちゅうのそこ?
 

 ここではないどこか
 あちらでもないどこか

 きぎのねっこ?
 もしくはひがん?
 

 じぶんをほりすすめて
 やわさをもとめても
 いずれかたいところにあたって
 ここではないどこかをもとめて
 

 それでもいきている
 なにげないきょうは

 たしかにここでありつづける