見出し画像

親子のリレー

そういえば雪

白雪が降っていた

空の奥から溢れる様に

まるで神様の落とし物みたいと

息子は溢れるように笑った

夕焼けは嫌いだった

一瞬、刹那に瞬いて

こんな文みたいに

破綻していても

夕焼けはその橙で

皆の視線を掠め取るだけ


父の書斎が好きだった

本の香りとインクの香り

なんだか高そうな万年筆

成長してそれは安物だと知ったけど

”小さい背中”と題された

父の書いた小さな詩集は

今では高く売れるそうだ


なにが言いたいのだ

なにもかも

生きている事

死んでいる事

そんな当たり前なchaosに浸って

朝が来て縁側に座った

当たり前の木々の

当たり前の葉っぱに

朝の滴が滴って

なぜだか僕は涙が出た

この朝を捕まえようと

僕はサンダルを片手に

庭へ出る

そういえば雪

白雪が降っていた

空の奥から溢れる様に


僕は思わずくしゃみをして

鼻をかむ為、家へ戻った


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?