【コロナ引きこもり日記】10日目

10日目 5月16日(土)

なんというか、怒涛の1日だった。

今日は昼過ぎからしか用事がないので遅起き。11時すぎに目覚める。寝過ぎて、目の二重が三重くらいになっている。

昨日の夜母と作ったバナナケーキ(パンケーキ、?)を食べる。冷たくても美味しい。

『ハイキュー!! to the top』(4期目)の続きを見て、ごろごろ。

母は、歯医者へ歯を削りに出掛けた。

15時くらいから、ウェブテストを一つこなす。友達に手伝ってもらう。ありがとう友よ。

でもウェブテスト、やるたびにこちらのHPをじわじわ削ってくる感じでほんとに好きじゃない。

ハイキュー!!を見終わってしまった。どうしても続きが気になる。調べると、アニメの続編は今年の7月から放送予定らしい。待ちきれない。そわそわ。漫画を買おうか迷う。今更、ハイキューにハマっている自分も笑う。

Netflixで、"the half of it"という映画を観始める。高校で人のレポートを代筆してお金を稼ぐ、中国人の女の子。その彼女に、ラブレターの代筆を頼むよわよわ男の子。そんな彼が好きなのは、学校でも有名なイケメンと付き合っている(?)美女。ラブレターを代筆し、テキストを代わりに返信しているうちに、だんだんと拗れていく関係。

なかなか面白い。こういう静かで情熱的な映画は、わりと好きだ。『冷静と情熱のあいだ』とか、"the perks of being a wallflower"とか。

でも海外のこういうドラマとか映画でいつも不思議なのは、平気で浮気が始まるところだ。というか、付き合ってるの?あなたたち。という関係が、非常に多い。この映画も、彼氏いるのに普通にキスするし、キスされるし、なんなの??って思ってしまう。

海外だと、日本みたいに、『付き合おう』って明言してから付き合ったりしないから、難しい。でも、そこが文化の違いが如実に現れるところだから、面白いよね。人間と人間が付き合っていくのって、難しいことなんだなと痛感する。

母が帰ってくる。

映画の続きを途中まで観て、ご飯を作り始める。今日は、ハンバーグ。大根のサラダに、ナスとトマトのチーズ和え?的な何か。

作っている最中に、母がお腹が痛いと言ってトイレへ。帰ってくる。

ご飯を食べ始めてすぐ、お腹が痛いと言ってまたトイレへ行った。

私はボランティアの用事があったので、ご飯を食べながらzoomの会議に参加する。

イヤホンの向こうから、『痛い痛い』という声が聞こえたので、慌ててどうしたの、と叫ぶと、息も絶え絶えで苦しそうな母が出てきた。痛みで苦しみながらベッドに横たわる。心配だ。またトイレへ行く。汗でぐっしょりだ。トイレに座るのも辛そうだけれど、何をすればいいかわからない。とりあえずポカリを渡す。ズームの会議に参加する。母が気になって、全く集中出来ない。『激しい腹痛 いきなり』とかでぐぐる。たくさん出てきて、よくわからない。

会議を放置して、どこが痛いのか聞きにいくと、トイレの前で母が横たわっていた。倒れている?!大丈夫か、と声をかける。途切れ途切れの声が返ってくる。本当にお腹が痛そうだ。救急車呼ぶ?と聞くと、いや、まだうんち出てないから出し切ってからがいい、、とか言ってきた。いや、うんち出てないんかい!!!

うんちが出たようだ。でもまだよくならない。やっぱり救急車を呼ぼう。このまま急性なんちゃら症とかで死なれたりしたら、本当に困る、嫌だ、生きていけない。

人生で初めて、119番に電話をした。間違えて、911にかけそうになった。危ない危ない。

「消防ですか?救急ですか?」

「救急です」

おお、ドクター系ドラマでよく聞く台詞だ。ちょっと感動する。
でも、そんな余裕はなく、住所を言う時に何度か噛んだ。意外と焦っている自分に気がつく。

救急車が来る前に、パンツ丸出しの母になんとかズボンを渡す。

15分後くらいに、5人くらいの救急隊員がどかどか家に入ってきた。メガネにマスクにコロナ対策がわからないが、バッチリ防御している。

「どこが痛いですかー?最近何か食べましたかー?」
「血圧190の50です」
「バイタルはうにゃうにゃ」

ふぁ〜となんだか圧倒されていると、救急隊員のうちの1人のお姉さんに話しかけられる。
母との関係、名前、最近食べたもの、夕食のメニュー、などなど。

「娘さんも病院ついてこられますよね?」
「外少し寒いんで何か羽織るものあるといいです」
「あと、お母さんの靴も持ってきてくださいね」
「最後に電気ガス水道、戸締りしっかりお願いします」

なんだか、救急隊員のお兄さんの細やかな気遣いに感動してしまった。こうして家族のフォローをするのも、救急隊員の務めなんだなぁと感じる。土曜の夜に、ご苦労様です、ありがとう。

そんなこんなで、人生で初めて救急車に乗った。

「バイタルは?!」
「心肺停止!!ショック与えて!!」

……なんてことはなく。
コードブルーの見過ぎか、こういうイメージしかなかった救急車の中は思ったよりも静かで、シンとしていた。

聞こえるのは、ウーウー唸るサイレンの音と、時折発する運転手の「道を開けてください」の声、母の息遣い、救急隊員や私の呼吸くらい。現在時刻は19時半。つい30分くらい前はご飯食べてたのにな、とふと思う。

途中、マスクを忘れたことに気がつく。病院に入る前に、お兄さんがくれた。つけた。

診察室に母が運ばれ、私はベンチで待機。コロナのおかげか、待機するベンチも隣同士では座るなと書いてある。

1時間くらい経っても、何も言われない。何が起きているのかわからない。母は無事なのか、なんだったのか、いくらかかるんだ。

というか、暇だ。めちゃくちゃ、暇だった。することがない。イヤホンも忘れたので、音楽も聴けない。

しょうがないので、たまたまダウンロードしていた映画”the half of it”の続きを音を小さくして観る。あと残りわずかのところだったのだ。病院で、キスシーンを見る。気持ちいいくらいに大胆なキスだった。心が温まった。見終わった。いい映画だった。何というか、なんて言えばいいかわからない感情だけれど、いい映画だった。愛なんて、完璧じゃないよね。でも、それでいいよね。みんな不完全だもの。そう思えるような、そんな映画だった。まだ観ていない人は、是非見てほしい。

母の診察が終わったと呼ばれる。
車椅子に乗る母を連れ、CTを撮りにいく。
何だったの、と聞くと、わからないけど、たぶんうんち?と言われる。笑ってしまう。

20年くらい前に、母は便秘を拗らせすぎて救急車で運ばれているのだ。私が生まれる前くらいだ。X線に写る大腸は、見事に便でいっぱいだったらしい。その時の記憶がありすぎて、今回も救急車を呼ぶのを躊躇ったとのこと。そりゃそうだ。私でも嫌だ。

でもどうやら今回は、よくわからないけど、なにやら食あたりっぽい何かだったよう。とりあえず、生きててよかった。大丈夫そうなので、家に帰ろう。

タクシーで帰宅する。まだ歩くのはしんどいみたいで、お腹を押さえながら歩く母。

はぁ、なんだか色々あった1日だった。まさかこんなに、しかもいきなり、初めてを奪われる日があるとは思っていなかった。人生、何があるかわからないもんだね。

家に帰ってから、また具合が悪化しているような気がする母。熱があるらしい。今度は胃が痛いらしい。急性胃腸炎かもしれない。というか、たぶんそう。こんなにアレなんだね。大変なんだね。何食べたのかな。わたしはこんなにピンピンしてるのに。やっぱりマンモスジュースのせいだろうか。アレを飲んでから、母の様子がちょっとおかしい。昨晩も倦怠感があると言ってぐったりしていた。コロナかと思った。

まあとりあえず、救急車の呼び方を覚えたワイ。生きててよかった、母。

人生色々あるけど、気を取り直して明日も生きよう。

ああ。今日は、救急車に乗った。

おやすみ。


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