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【コロナ引きこもり日記】12日目

12日目 5月18日(月)

午前10時半。

突然震え出した携帯電話のバイブで、目が覚める。

誰だこんな時間に電話してきたのは、なんて思ったけど、もう10時半。私にとってはまだ朝。

知らない番号だった。出ない。

Googleで検索。変な不動産会社がヒット。

かけ直さないと決めて、二度寝を決め込む。
ああ、今日もクズだ。

11時半。ほんとに起床。

毎朝のルーティーン、200mlの豆乳コーヒーを1本飲む。今日も美味しい。

そういえばこの豆乳コーヒーについては、この日記で今まで書いたことがなかった。当たり前すぎたのだろうか。

お昼に、お味噌汁を作る。昆布で出汁をとって、大根を切る。小松菜を切る。豆腐を切る。投入。なめこもぶち込む。最後に乾燥わかめもぱらり。いい感じになったら火を止めて、味噌を溶かす。もう一度火にかけて、完成。我ながら上達した。美味い。

母は今日も具合が治らず、仕事を休んでいる。

そういえば、向かいの仏壇屋のおじさんは元気だろうか。しばらく忘れていたけれど、きっと今日も働いている。

Netflixで、ついに『愛の不時着』を見始める。みんな見てるから、私は絶対見てやらんぞと思っていたのに。思っていたのに!!

料理の片手間で、見始めてしまった。くそぅ、面白いじゃん、何なのこいつら。出たよ、韓ドラあるある、財閥の娘or息子。相続争い。竜巻で北朝鮮に行くか?普通?

でもヒョンビンがイケメンすぎて、つい見てしまう。こんなイケメン、絶対おらん北朝鮮。

ていうか、本当にこんなに文明遅れてるのかな、、インターネットもない、ガスもない、携帯もないなんて、本当に同じ時代に生きているのだろうか。パラグライダーで乗り越えてしまえるような軍事境界線で隔たれた世界の差は、あまりにも大きい。

AirPodsの充電が切れる。キリがいいので中断する。村上春樹の『猫を棄てる』をとうとう読み始める。

同時に、色んなことが出来たらいいのにと思う。

Netflixも見たいし、本も読みたいし、勉強もしたいし、ネットもいじりたいし、人とお喋りもしたい。なんで全部同時に出来ないのだろう。

こんなに時間は限られてるんだから、もうちょっとマルチタスクの出来る体があればいいのに、と思う。手とか千手観音くらい欲しいし、聖徳太子並みに人の話聞き分けられる耳も欲しい。

結論から言うと、『猫を棄てる』は全然思ってたものと違った。猫は棄てるんだけど、返ってくる。彼の父は、戻ってこない。そんな話。父との関係や戦争について、考えさせられた。村上春樹も、1人の平凡な男性の、平凡な息子であるのだと知った。

全然意識してなかったけれど、村上春樹ってもう60歳とかなんだ。全然もっと若いつもりでいた。実際、見た目も結構若々しいと思う。60歳って、私の思っているよりずっと若いんだ。人生100年として、あと40年も生きるって考えると、その昔寿命が50や60歳だった時にしてみれば、まだ10代みたいなもんなんだ。そりゃ若いや。人生、いつでもこれからなんだなあと思う。

なんだか、谷川俊太郎の詩が読みたくなった。
彼の詩集『すてきなひとりぼっち』を本棚から引っ張ってくる。このタイトルと、青い宇宙を模したようなステキな装丁がお気に入りだ。

以下、私の好きな詩をいくつか載せておく。

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うーん、沁みる。
辻井伸行のピアノを聴きながら読んだら、涙が出てきた。たった数行のことばで、人の心を動かすって、本当に凄いことだよね。

調子づいてきたので、原田マハの『楽園のカンヴァス』も読み始める。今日は読書ペースがいい感じだ。

アンリ・ルソーの作品についてもっと知りたくなる。美術にもっと興味がでてくる。何より、MoMA(ニューヨーク近代美術館)に行きたくなる。

やっぱり、読書は自分の知らない世界を見せてくれるから凄い。自分の想像も及ばない世界を創り上げている人がいる事に、いつも感動を覚えるんだ。ハリーポッターを読んだ時も、得体の知れぬゾワゾワ感を感じた。どうやったらこんなの思いつくんだろうって、背中がぞわぞわして、鳥肌が立った。今、そういう気分。

今日も、特に何もしていない。
でも、何もしなくてもいいような気がしてきた。本を読んで何かを得た気になるのでも、いいじゃない。生きているだけで、儲けもん。

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谷川俊太郎の詩。最後の3行で、ああ、私は今日これを読むためにこの詩集を開いたんだ、と思った。ありがとう、導いてくれた誰か。

明日も何もない。ゆっくり愛の不時着して、楽園でカンヴァスしよう。

ああ。今日も外に出なかった。

おやすみ。


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