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ブリクリウの饗宴 (Fled Bricrenn)

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ケルト神話・アイルランドの伝承より、アルスター物語群の「ブリクリウの饗宴」拙訳のまとめです。中期アイルランド語より翻訳しました。 英雄クー・フリンが名誉をかけて他二人の英雄と争う…
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ケルト神話「ブリクリウの饗宴」拙訳記事一覧

本ページはケルト神話「ブリクリウの饗宴」(拙訳)のまとめページです。「ブリクリウの饗宴」については「概要」を、訳文を読む場合は「本文」以下の各番号を、登場人物や用語については「登場人物・用語一覧」を、細かな情報については「その他の情報」を、それぞれクリックしてください。

概要

登場人物・用語一覧

本文

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬

その他の情報

「ブリクリウの饗宴

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「ブリクリウの饗宴」登場人物・用語一覧

ケルト神話・アイルランドの伝承「ブリクリウの饗宴」の登場人物と用語の一覧です。本編はこちらからお読みください:https://note.mu/p_pakira/m/m17f81a61e09b

登場人物
・クー・フリン : アイルランド北部アルスター国きっての英雄。この物語、及びアルスター物語群の中心人物。その名前は「クランの犬」を意味する。子供のころ、クランという鍛冶師の番犬(大人9人がかりでな

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アイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」①(¶1~7)

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」(Fled Bricrenn)をここに掲載していきたいと思います。

「ブリクリウの饗宴」は複数の写本に書かれており、それぞれバージョンが微妙に、あるいは大きく異なりますが、それらについてここで細かく示したりはしません。

また原テクストを載せてもあまり需要がないと思いますので、訳文のみを載せることにしたいと思います。訳稿では脚注で解説などを

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アイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」②(¶8~16)

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」(Fled Bricrenn)をここに掲載していきます。

【前回】

登場人物と用語の一覧はこちらにあります。適宜ご参照ください。

今回は前回の続き、宴会を前にして「毒舌」のブリクリウが奸計を巡らせ、アルスターきっての英雄たちに不和を生じさせ、自分が宴会の場に居なくても諍いが起きるように仕向け、そして実際宴会が始まるとすぐ〈英雄の分け前〉

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アイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」③(¶17~24)

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」(Fled Bricrenn)をここに掲載していきます。

【前回】

登場人物と用語の一覧はこちらにあります。適宜ご参照ください。

今回は、アルスターの三人の英雄の奥さんたちにブリクリウがまたしても一計を案じ、女性たちの間にも不和を起こします。

¶17

アルスターの女たちの口げんか

ところで、ブリクリウとその奥方はテラスにいた。彼の

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アイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」④(¶25~32)

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」(Fled Bricrenn)をここに掲載していきます。

【前回】

登場人物と用語の一覧はこちらにあります。適宜ご参照ください。

女たちの争いで宴会の館がめちゃくちゃになり、女たちが入ってきて大変な口論が発生します。

¶25

アルスターの女たちの口げんか(承前)

酔っぱらった戦士達は、女性たちの話を聞いて立ち上がった。すると、この

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アイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」⑤(¶42~53)

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」(Fled Bricrenn)をここに掲載していきます。

【前回】

登場人物と用語の一覧はこちらにあります。適宜ご参照ください。

前回は¶32までで、急に¶の順番が飛んでいますが、これで問題ありません。このように順番が行ったり来たりすることがありますが、底本としている編集に基づいていますので、お気になさらず。

今回はアルスターの戦士達

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アイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」⑥(¶54~56, 63~65)

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」(Fled Bricrenn)をここに掲載していきます。

【前回】

登場人物と用語の一覧はこちらにあります。適宜ご参照ください。

パラグラフの並びに途中で亀裂が生じていますが、恐らく正しいと思われる順番に編者(not訳者)が並び替えたものです。

今回はアルスターの戦士達がコナハトの王宮クルアハンに迎え入れられて相談を持ち掛け、アルスタ

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アイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」⑦(¶57~62)

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」(Fled Bricrenn)をここに掲載していきます。

【前回】

登場人物と用語の一覧はこちらにあります。適宜ご参照ください。

今回は英雄たちが猫に襲われるエピソードと、コナハト女王メズヴによる裁定が行われる場面です。

¶57

その晩彼らは食事を与えられ、そして三匹の猫がクルアハンの洞窟から放たれた。三匹の魔物である。コナルとロイ

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アイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」⑧(¶66~71)

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」(Fled Bricrenn)をここに掲載していきます。

【前回】

登場人物と用語の一覧はこちらにあります。適宜ご参照ください。

今回は蛇足的エピソードで、三人はエウィン・ウァハに直行しません。メズヴ女王の養父母のところに行き、その経緯で何度かの戦闘を行います。

¶66

「私の養父と私の養母、エルガルとガルムナの家に行け。そして今夜

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アイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」⑨(¶72~74)

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」(Fled Bricrenn)をここに掲載していきます。

【前回】

登場人物と用語の一覧はこちらにあります。適宜ご参照ください。

今回は、ようやくメズヴ女王が三人の英雄のうち誰を一番優れていると認めたか、が明らかになります。

¶72

戦士達は思案と会話をやめた。彼らは食事と宴会に行き、そしてクー・フリン自身の父親スアラウ・マク・ロイ

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アイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」⑩(¶33~41)

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」(Fled Bricrenn)をここに掲載していきます。

【前回】

登場人物と用語の一覧はこちらにあります。適宜ご参照ください。

今回は、裁定を求めにクー・ロイ・マク・ダーリェを訪う途中、平原で突如立ち込めた霧の中から巨人が出てくるエピソードです。

¶33

「私の要求は」とシェンハ曰く、「お前たちに他の場所で裁定をもらえる当てがない

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アイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」⑪(¶79~¶90)

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」(Fled Bricrenn)をここに掲載していきます。

【前回】

登場人物と用語の一覧はこちらにあります。適宜ご参照ください。

今回は、クー・ロイ王不在の砦にたどり着いた三人の英雄が夜番に立ち、恐ろしい亡霊と戦うくだりです。

¶79

クー・ロイの館の夜番の試練

明朝、三人の英雄――すなわちクー・フリン、コナル、ロイガレ――は、ク

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アイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」⑫(¶91~¶96)

え私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「ブリクリウの饗宴」(Fled Bricrenn)をここに掲載していきます。

【前回】

登場人物と用語の一覧はこちらにあります。適宜ご参照ください。

今回は、エウィン・ウァハの〈赤枝〉の館に突如現れた大男が、アルスターの英雄たちにある挑戦をする場面です。これが最後の章になります。

¶91

英雄たちの盟約、以下に語らる

ある時、アルスターの人びとは、

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