紫式部ゆかりの「鴨川糸」で、マクラメアクセサリーができた
こんにちは! レース編みが好きで、いまは「マクラメレース」に凝っている owarimao です。
きょうは令和6年6月6日ですね。2週間ほど前、2つめのマクラメ瓶を完成させました。
これで、いちおう「作品」と呼べるマクラメ作品を4つ作ったことになります。
ただ気になるのは、ここまでまったくの自己流で、お手本どおりに作った作品が一つもないということです。
たまには先達の指示に従ってみよう。というわけで、『マクラメレースのアクセサリー』(写真左)という本から、ユニークな形のブローチを作ってみることにしました。
この本に載っている多くの作品は「ダルマ鴨川糸18番(横田)」というレース糸で作られています。さいきんリニューアルしたため、今買える糸は、本の中で使われているのとは色味が異なるそうです。とにかく購入しました。
「強撚糸」とわざわざ書いてあるとおり、とてもヨリが強く、固さのある糸です。まるでたこ糸をそのまま細くしたみたい。オリムパスの「エミーグランデ」が甘撚りでふっくらしているのとは対照的です。
手に取ってみて、その細さにちょっとたじろぎました。「レース糸」としては太いけど、「マクラメ糸」としてはかなり細いと思えます。これは緊張するな〜。
ところで、なんで「鴨川糸」っていうんだろう。
大河ドラマ『光る君へ』をご覧になっている方は、「まひろ(紫式部)」の家の庭に、さらさら流れる水路(遣水)があったのをご記憶ですよね。あれは、鴨川から引いているのです。当時の貴族の多くは、鴨川の西岸の近くに住まっていました。
『源氏物語』にもときどき鴨川が出てきますが、私の知るかぎり紫式部は「鴨川」という呼称を一度も使っていません。ほかの川は固有名を書くのに、鴨川は「かは」としか書かないのです。わざわざ書くまでもなかったのでしょう。当時の貴族たちにとっては鴨川こそが「ザ・川」であって、ほんとうに生活に密着していたことがわかります。
「鴨川糸」という名前は昔からありますが、これを検索しただけでは、由来を知ることはできませんでした。でも製造元の「横田株式会社」について調べてみると、その工場の一つが京都の「紫野雲林院」にあることがわかりました。
なんと……!
紫野は、紫式部が生まれ育ち、葬られたとされている土地です。そんな由緒ある場所に工場が建っているとは。おそらく「鴨川糸」もここで造られているのでしょう。
あっそういえば! ダルマのレース糸には「紫野」という商品もありましたっけ。ほんとうに紫野で造っていたなんて知りませんでした。『源氏物語』とレース編みの両方に関心があるのに、今の今まで知らなかったなんてウカツでした。
さて、この鴨川糸を使って作り出したのはいいんですが。
今作ろうとしている「Endless Knot Swing Brooch」は、上下2つのパーツをつなげた形になっています。下になってゆらゆら揺れるのが「エンドレスノット」のモチーフですが、これをきれいに作るのが、今の私の技量ではなかなか難しいです。お手本の写真のようにぴしっと角が決まりません。
すっかり自信を喪失したタイミングで気づいたのは「大きすぎる」ということ。本に書いてある「でき上がりサイズ 約3.7×7cm」に比べて、私が作りつつあるものは明らかに大きいのです。
つまり「ユルすぎる」っていうこと? ちゃんと引き締めながら作っているつもりだけど……
写真と自分のをよくよく見比べると、やっぱりゆるいようです。残念ですが作りかけを放棄して、新しくやり直しました。
今度は気合を入れて、これでもかというくらいきつく結んでみます。だいぶサイズが小さくなったのがおわかりかと思います。
きつ〜く結ぶと、形も自然に整ってくることがわかりました。でもこれでもまだ、規定のサイズよりひとまわり大きいんですけど。
下に敷いているのは、100均ショップで買ったコルクの鍋敷きです。小さな物を作るときはけっこう便利だとわかりました。方眼の製図用紙を切って貼りつけています。
マクラメで問題なのは、最後の糸始末が難しいということ。本には「糸端を始末し……」としか書いていないので、工夫のしどころです。
とじ針を使って、糸端を本体にくぐらせました。1回くぐらすのが精一杯です。それでじゅうぶんだと思えます。このあときれいに切りそろえます。
方眼紙の上で形を整えて、スチームを当てます。さらに思いついて、スプレー糊を吹きつけました。これで、そうそう型崩れはしないと思います。
上部には「スエードを貼る」となっていますが、そんなものないので、適当な綿の紐を探し出してボンドで貼りました。
上下をつないでいるのは、セリア(100均ショップ)で買ったアクセサリーパーツ。こんな細くて華奢なパーツだけでは心もとないので、目立たないように糸で補強しました。
できたできた!
お手本とくらべればやはり少し見劣りするけれど、だいぶ頑張ったので自己評価は85点くらい。プロの手になるお手本が、いかに高い技術で作られているかがよくわかりました。
この作品をデザインされた松田紗和さんのブログをぜひご覧ください。息をのむほどすばらしい精緻な作品をたくさん作っておられます。
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