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米国株師匠🍅アウトライヤー寄稿147

第146回から続く


ドイツ銀行、話題

3月24日金曜日は、マーケットが始まる前から、ドイツ銀行、話題ですね。


このブルームバーグ記事からの引用~「 バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストらは、向こう数カ月にわたり株式とクレジット市場が低迷するとみている。景気の減速懸念が強まる中、投資家が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)発生以来の規模で現金に回帰しているからだ。マイケル・ハートネット氏率いるチームは23日付リポートで、「強欲なクレジットと株式市場は利下げを期待し過ぎていて、景気後退を十分に恐れていない」と指摘。昨年の弱気相場を正確に予測した同氏は、投資適格級のスプレッドと株式は今後3ー6カ月に打撃を受けるだろうと記した。」

今、あらたには、入れていません


氏と目線を合わせさせて頂いております。その上で、現実に、今日(3月25日金曜日)のような動きをマーケットにされると、あらたには、マーケットに入りにくいです。今、あらたには、入れていません、僕は。ですから、慎重に、見ています。

今日の寄稿のはじめに~
この寄稿で言うところの
いくつかの腐ったリンゴ」もともとだいぶ腐りはしていた
本来とっくになくなっていて然るべきだったゾンビ企業

何かに取り組む時、何かと闘う時、一切の犠牲を出さずに闘う、これが理想でしょうけど、犠牲が出る事もあるわけですね。
犠牲を出していいなどと言っているのではありません。
今日はパウエル議長とイエレン米財務長官のそれぞれのお覚悟のようなところについての私見も、後半、余談として、述べます。

闘うという言葉に対して、犠牲という言葉を用いましたが、
腐ったリンゴの話は犠牲というより自滅という感覚で個人的にはいます。

どうしてかって、ちょっとホンネのようなこと申しますとね。長い事、放置されてされてきた低金利政策、ゼロ金利時代、美味しい汁を吸ってきたベンチャー・キャピタリストと一般的に称される方々、結構いらしたんだろうなあと。金利が上昇するという変化に対応できなかったわけで、今さら、泣き言、言ってる場合じゃないですしね、とは、まあ、ちょっとは思いますもので。

ゾンビ企業の淘汰


インフレ抑制が行わている中で、今、これまでに出ている銀行ストレス問題ついて、「いくつかのもともと腐っていたリンゴ」~ここからの影響が、今後、目先、「本来とっくになくなっていて然るべきだったゾンビ企業」の淘汰につながっていくか、これもちょっとしたポイントですね。


サマリー(要約)~


ミンスキー・モーメント(Minsky Moment)



昨日からの続きですが。
まあ、僕が、うっすらと、と、表現させて頂き、思いますのは、ここ過去10年くらいで見た時に、ミンスキー・モーメント(Minsky Moment)のような瞬間をもしかしたら、もしかしたらですよ、目にする確率は、いつになく、少し高くはなってきている、今かあな、という感覚です。

ミンスキー・モーメント(Minsky Moment)~「好調な経済において、それまで見えていなかったリスクが表面化し、資産価格が急落する時・瞬間)~(提唱者は米経済学者ハイマン・ミンスキー1919~1969)

煽ってこうなりますよと、預言者のように申し上げているのではありません。そういう趣味はありません。
そうならないように、今、そうならないように、イエレン財務長官、米財務省、FRBが取り組んでいます。これまで過去の寄稿で述べて参りました通りです。


特別措置が6月初旬以降解除されたら


今日は、ミンスキー・モーメント(Minsky Moment)とマーケットを支えている要因である債務上限問題、その特別措置が6月初旬以降解除されたら、という事についても述べます。これ実はすごく大切な事だからです。

説明~まずは過去の寄稿から3つ~
第145回寄稿から~【それで、まあ、FRBは「”何かを壊す”」ところ、もしくは、その「”何かを壊す”」手前ぐらいのところまで利上げしてきているわけですね。同時に、それが壊れないように、前述の通り(FRBの仕事って~金融システムの安定とインフレ抑制のバランスを取らなければならない)ですね。その”何”と言う部分について、金融システムはじめ、クレジットイベントが起こるのかどうかの行方を含めて、今よく見ておくことが大事です。壊れるのか、壊れないのか。どうなるのか。ここが現実ですね。だから、今、現実に対する「覚悟」~株のマーケットの下げに対する準備~は、ある程度、必要なわけです。】

売るなら、雪だるまになりそうだ、そういう時に売りたい


第146回寄稿から~【だから、僕は、アメリカの多くの機関投資家さんが今でもソフトランディングのシナリオを採用されておられることを舐めたりすることはないのです。まだ、クレジット(与信)・リスクとリセッション(景気後退)リスクが雪だるまになっていませんから。どれも、企業利益悪化も、バリュエーション縮小も、要因として、そこに、それぞれありますが、(下落)要因として、それぞれあるだけで、今は。それらの要因が、クレジット(与信)・リスクからのリセッション(景気後退)誘発、どれもが、ひとつ、ひとつの要因としての存在ではなくて、それらが絡み合い重なって行って、雪だるま式に、雪だるまになる時。売るなら、雪だるまになりそうだ、そういう時に売りたいと思っているんですね。思っているだけです(笑)。その時、本当にそれが出来るかどうかこそがポイントですからね(笑)。】

第140回寄稿から~【”忘れなきゃいいか””頭に入れておこう””メモしておこう”~というところ~この事の具体的意味は、Credit Crunch(クレジット・クランチ・信用収縮)です。今のところ、Credit Crunch(クレジット・クランチ・信用の収縮)ではありません。こんなことが起こらないように、FRBは緊急措置を施しています。だから、ここを今後見て行く事だと述べています。これについて別の表現を用いますと、今のところは、FRBが対処、対応していますから~】
【ここのところ繰り返し引用しておりますが、【金融危機の時、世紀の空売りと言われたMichael Burry(マイケル・バーリ)さん~I am not seeing any true danger here." (SVB破綻後の混乱に「真の危険はない」)とおっしゃっていました。】
真の危険はない」という今のところ、この現状が、今後どう変化するのか、それとも、しないのか、だと思います。】


マイケル・バーリ氏



景色が一瞬で、様変わり。こういう時、お金と信用はすぐになくなる


上記にあるこれらの悪材料部分が、醸成されて行って、それが現実になる時があるとするならば、それこそが、昨秋来、この寄稿やスペースで述べてきました、
ミンスキー・モーメント(Minsky Moment)ですね~「好調な経済において、それまで見えていなかったリスクが表面化し、資産価格が急落する時・瞬間)~(提唱者は米経済学者ハイマン・ミンスキー1919~1969)」
仮にそうなった場合においては、これは、お金(マーケットものとして)と信用(クレジットもの・与信)はすぐになくなるという事です。一瞬の崩落景色が一瞬で、様変わり。こういう時、お金と信用はすぐになくなるのです。

今、そうはなっていません。そこまで行っていません。そうならないように、イエレン財務長官、米財務省、パウエル議長、FRBが取り組んでいます。これまで過去の寄稿で述べて参りました通りです。


売り方のだいご味は、こういう瞬間を獲りに行くところ


ここで現実からかけ離れた理想を、ほんのちょっと述べます。
前述「金融危機の時、世紀の空売りと言われたMichael Burry(マイケル・バーリ)さん」のように、売り方のだいご味は、こういう瞬間を獲りに行くところにあるのでしょうね。
言うは易く行うは難し(Easier said than done.)


それで。
ブルームバーグ引用記事2本をもう一度引用させて頂きますね。
・「パウエル、イエレン両氏の発言で市場混乱-相反するとトレーダー解釈
・「イエレン財務長官、正当化される場合は預金保護で追加措置の用意」(この記事は、昨日の寄稿の末尾に引用させて頂きました記事です)

昨今、イエレン財務長官、米国民、世界の人々とのコミュニケーションのほうは、いかがでございましょうか。???
上院では言葉足らず、という事だったんでしょうか。???
それとも、3月22日木曜日のマーケットの下げを見て、その上で、下院において言葉が、追加、補足されたのでしょうか。???
結構、これ、大切な要件だと思うのですが。

僕の心の中には、???があります。

スティーブン・ムニューシン 前財務長官




この寄稿で、おぼっちゃまという表現で、過去に述べましたミュニューチン前財務長官(元ゴールドマンサックス、お父様大富豪)
アメリカ世間では、一般的に、それはもう、様々に揶揄されるわけですけどね。
「やい、ミュニューチン、みたいな感じで」
でもね、ミュニューチン財務長官って、話がずれたりとか、ほとんど皆無、無いんですよね。言い間違えたりとか。あんま、記憶にないですね。
自分と同じ土俵で、米財務長官職を務められる方を語るつもりなんて毛頭ございませんが。

ウォール街に普通にそこにあった、ピンポイントで、ストレート・シューティング、ストレート・フォワード(率直で、ピンポイントで、(機敏で)ずれない)ということにおいて、僕はすごく、ミュニューチン元財務長官に親近感があります。
アメリカで、まあ、トランプ政権だったというのがあって、一般的に、ミュニューチン氏の事、揶揄とかばっかりする光景によく出くわしますが、僕は真面目に、揶揄は、ちょっとだけしても、ミュニューチン氏は、いたって優秀な方だと思います。
僕は、ミュニューチン財務長官を、買ってます。
僕が買っているからどう、なんて話でもないですが(笑)。
過去の寄稿で述べましたが、「なんだ、あの人~」という直接の批判ではなくて、「私は、○○な人が好きです」とそれを強調する事によって、暗に、トランプ氏を批判するという手法が、かつてアメリカで、はやりました。
ここでは、その真似をして、僕は、ミュニューチン財務長官を、買ってます。としてみました(笑)。

言葉尻を掴んでどうのこうの言ってもしょうがありませんし、それだけで、マーケットが動くという解釈をしているわけでもありません。
まあ、ちょっと、ここのところ、イエレンさんに、皮肉めいた事、言いたかったかなあという個人的な感覚からです(笑)。

さて。
すごく大事な事なので今一度繰り返します。第113回寄稿を是非ご覧になってください。この第113回寄稿で、債務上限問題がマーケットを支えているという事について詳しく引用を用いて述べました。仮にもし、債務上限問題が明日、解決したとしたら、パーティで流れている曲(音楽)が止まり、おそらくリスク資産にとって逆風になるだろうという事。

今日はそこから~もう少しさらに。
その前に、まずは、
第113回寄稿から~ジュリエン・ティマーさんからの引用~【皮肉なことに、債務上限をめぐる政治的対決は、テクニカル・デフォルト(債券の発行主体が資金面的には支払い能力があるにもかかわらず債務不履行状態になること)を回避するために、財務省が 5,690 億ドルの TGA(トレジャリー(米財務省)一般勘定)残高を引き出すことを余儀なくさせるでしょう。それは景気刺激的であり、QT(量的引き締め・FRBバランスシートの縮小)を通じて流動性を枯渇させようとするFRBの取り組みを、引き続き相殺するかたちになるでしょうね。

QT(量的引き締め・FRBバランスシートの縮小) は月額(最大) 950 億ドルのペースでおこなわれているため、5,690 億ドルの TGA (トレジャリー(米財務省)一般勘定)の減少は QT(量的引き締め・FRBバランスシートの縮小)の6か月分に相当します。たぶん、これは市場が不安とともに壁を登り続けるための原動力になるでしょうね。 (これが、市場が不安でありながらも、市場が上昇したりもしくはそんなに下がらない原動力になるでしょうというニュアンス)

逆に、債務上限問題が明日解決されれば、TGA(トレジャリー(米財務省)一般勘定) を引き下げて減少させる必要はなくなります。これは、QT(量的引き締め・FRBバランスシートの縮小) を相殺するもの、その要因がより少なくなってしまうことになるわけですから、おそらくリスク資産にとって逆風となるでしょうね。】


米財務省による特別措置、期限は6月5日。



米財務省による特別措置~財務省はデフォルト(債務不履行)を回避するための特別な措置の活用を始めた~この期限は6月5日。

これを過ぎると、TGA(トレジャリー(米財務省)一般勘定) を引き下げて減少させる必要はなくなるわけですね。QT(量的引き締め・FRBバランスシートの縮小)効果がもろに出始めてくることになるわけです。
ここの時点がひとつのポイントかなと思っています。
ここで、いよいよさらに、金利引き上げの影響を受けることになるわけですね。

失業率が上昇し始めるのもこの後あたりからでしょうかね。

失業率増。失業率、4%を超えて行くという構図。


アメリカ経済そのものが、金利引き上げの影響によって、より金利敏感になって行くことが考えられるわけですね、このあたりから。

これまで過去の寄稿やスペースで述べて来た、「ターミナルレートが高いほど、通常、資産価格への圧力が高まるわけです。経済の強さという事でそれを相殺出来はしますが、それを言ってもそれはある程度までの事にすぎません」~これが、アメリカ経済において、この辺の時からかなあと思っています。

FRBの最優先事項はインフレの抑制。それで、昨今のアメリカでの{いくつかの腐ったリンゴ」への対応を適宜適切に行い、現在は不透明感がただよっている銀行ストレス問題が今後緩和して行けば、FRBは、本来のインフレとの闘いにまた、戻るという事ですから。

様々な要因が絡み合って雪だるま式になるかならないか、弱気や脅威を煽っているわけではありません。雪だるま式になることがあるのであれば、こういう要因ですとか、こういうタイミングを意識しておくという事です。だから、上半期という事でも述べてきました。

行きつくところ、頭の中で想像するのは、この寄稿で何度も引用して参りました、アーネスト・ヘミングウェイ(日はまた昇る)から~「“How did you go bankrupt?" Two ways. Gradually, then suddenly.” ― Ernest Hemingway, The Sun Also Rises.」
どうのように破綻(倒産)したの?2つあって、徐々に、それから、突然に

重ねまして、要因を並べたて、こういう事が起こるんだという事を決めつけて、脅威や弱気を煽る、預言しているのではありません。そういう主旨の寄稿では全くありません。

要因(事実)を並べたて、もし今後なにかあるとすると、(この後、述べるパウエル議長の覚悟のもと)金利を最速のペースで引き上げ続けて来て、ここのところ10年単位くらいでみると、そういう要因が今、いろいろと目の前に、”それぞれとして”、存在している。それらの要因が、何かを引き金に、絡み合って重なり雪だるま式になる時が訪れ得る可能性については、これまで過去10年単位くらいの中で、過去よりは今の方が確率が高くなっていると考えられる状況にはある。

その時がくるのであれば、その時に、自分として、行動として、それに乗れたら、これはまた一つの大きなチャンスだという事を私見として述べております。
「時」「時期」「上半期」「それぞれにそこにある要因が」「絡まって重なる時がくるのかどうか」をよく見て行こうと思っております。

シャドーバンキングセクター


アメリカ、レポ市場
の包括的な説明については、元FRB職員だった方などから、懇切丁寧にたくさん出て参ります。シャドーバンキングセクターと申しましょうか。映像等でご説明なさっておられたり。それはそれなのですが、行きつくところ、やはり、専門家の方も僕もなのですが、見ているのはこのTGA・Treasury General Account・米財務省一般勘定(会計)からの動きです。ここのところ、申し上げるまでもなく、様々な問題が起こっておりますから、「じゃあ、債務上限問題後(6月初旬後)、TGA(トレジャリー(米財務省)一般勘定) を引き下げて減少させる必要はなくなったら、どうなるんだ、考えてみろよ。これQTもろだよ。QTもろかぶりだよ。これすごく大きなことだぞ、話はここからだぞ」みたいな議論がすでに盛んでして。今からもう、6月以降が意識されているわけでもあります。今、まだ、3月ではあるのですけど。それで、本日、再度、ここで、取り上げさせて頂きました次第です。

それで今そこにある事実から、もう少し、探ってみますと。


余談と致しまして~パウエルFRB議長のお覚悟~私見


この寄稿をずっと読んで頂いている皆さまにおかれましては、まあ、ずっと、この寄稿で、チーム・ソフトランディングとかっていう表現の仕方をしてきて、イエレン財務長官とブレーナード現国家経済会議委員長(前FRB副議長)をこの寄稿では前面に出してお話させて頂いてきましたし、そういうこの寄稿の傾向は掴み取って頂けるかと思います。

それで、この前述の「”何かを壊す”」という表現について、FRBは「”何かを壊す”」ところ、もしくは、その「”何かを壊す”」手前ぐらいのところまで利上げしてきているわけですね。

ここからが重要なんでけど、今回、「いくつかの腐ったリンゴ」が、もともと腐っていたから、壊れやすかったから、実際に壊れたという結果になって、そのニュースが世界を駆け巡った、驚きもした、そういう事実がありました。

その影響から、「本来とっくになくなっていて然るべきだったゾンビ企業」の自然淘汰が始まる事もあるでしょう。

「いくつかの腐ったリンゴ」が壊れた事、これがここでのポイントではなくて、パウエル議長のご決断と覚悟、「”何かを壊す”」事になるかもしれないけれども、インフレ抑制をするという、ご決断とお覚悟から、それに伴って出て来る現実というところが、ポイントで、今後それがさらに、別の形として、加速して出て来るのかどうかが重要だと述べております。

これは文章なので、誤解があってはいけないのですが、誰が壊したとかそういう話ではなくて、パウエル議長はインフレとの闘いにおいて、「”何かを壊す”」ところまでやって来て、それで、「いくつかの、もともとずさんな経営で腐っていたもの(りんご)は、今回、壊れた」もともと腐っていたからだ。そこから、さらに、私達がまだ目にしていない「何かが壊れるのか」というところです。

インフレの要因を語る時、お金いっぱい刷っちゃって、長い事、低金利政策を放置して、と僕などそう語りますが。この後者、「長い事、低金利政策を放置した」事によって、もうその段階から、それを過剰に謳歌しすぎて、腐るものはその時点から腐っていたわけですね。ゾンビ企業もそうです。低金利、ゼロ金利、これに慣れ切って腐って行って、(金利を引き上げ始めたという)変化に対応不能なわけですから。

パウエル議長が壊したとか言っているのではありません。
パウエル議長が、インフレとの闘いをするにあたって、パウエル議長ご自身は、
”何かを壊す”ことになるだろうということは、当初から既に分かっていて、そのお覚悟もあって、だから、昨年8月末のジャクソンホールでも、約8分間のスピーチで、「家計と企業に痛みをもたらす」というご発言もなさって、その決断はもう最初からすでにしていたと僕は思っているんですね。

意図的に壊すとかっていう意味じゃないですよ。闘いにおいて、その過程で「”何かを壊す”」ことを恐れない、それは起こり得る、しかし、そこにばかり気を取られるてはいられない、本来の目的は闘いに勝ち、インフレを封じ込めることにあるのだから。

いっぽうで、闘いはもちろん重要なんだけれども、その過程においては、幅広く周囲に配慮して「壊さない、壊れないようにしようとする」僕にはこのようにさえ見えて来たイエレンさやブレーナードさん。米国民への配慮、新興国への配慮、グローバルシステムへの配慮。

パウエルさんだって、意図的に壊そうとしてやっているのではないですよ。
インフレ抑制という最優先事項、最大の懸念事項に取り組んでおられるわけです。そのインフレとの闘いから、そこから、派生する出来事は起こり得るんだというお覚悟。

いくつかの腐ったリンゴを皮きりに、長い事、放置されてきた低金利、ゼロ金利に浸りきって、金利の変化に対応不能になってきた企業の淘汰がすでに顕著な例と共に始まっているという事を述べています。そして、ブルームバーグさんの報道などからも、それと似た状況にある中小の金融機関、銀行が他にもあるということなわけですね。

委員会(FOMC)での拒否権さえ有している、議長としてのご決断を遂行する時に、「”何かを壊す”」「”何かが壊れる”」事を覚悟して、おやりになっているという認識です。

それで、まず、もともと、腐ったものが今回壊れた。


この先、さらに、「”何かを壊す”」までやるんですか、ということについて、僕は、パウエルさんについては、そのお覚悟でお取組みなさっていると思います。

壊すことが目的じゃないですよ。取り組んでいる事に対して、派生する出来事や犠牲もでる可能性がなきにしもあらずだという事を述べています。
今回は、もともと腐ったもののところからだったけど、だから、その腐りが飛び火しないように、それについて最善対処策を採っている。その上で、仕事の最優先事項はインフレを抑制する事。パウエルさんのお覚悟は、なみなみならないはずだと思っています。

だから、今回の事から、今後、さらに「”何かが壊れるのか”」というところを頭に入れてよ~く見る必要があるという事を述べて参りました。
今この地点に僕は立っていると認識しています。

今回の事を機に、「本来とっくになくなっていて然るべきだったゾンビ企業」の淘汰は起こるのであろうと思っていますし、それを願う専門家もいます。自然淘汰、ごく自然な姿だと僕は思います。

水面下で(私達の目に見えないところで)何が進行しているのか、いないのか。現在、パウエル議長は、銀行システムを守るために全てのツールを活用すると明言されておられます。その上で、ここにさらに犠牲が、何らかの別の形で、クレジット(与信)・イベント、や、クレジット・クランチ(信用収縮)というところまで広がって行くのかどうかというところです。やはり、この点がポイントだと思います。

余談と致しまして~イエレン財務長官について~私見


そりゃ、イエレン財務長官って雲の上のお方です。
もし、寝ている間に夢でお会いすることがあったら、
「マダム(トレジャリー)・セクレタリー(財務長官)、こんなこと言うのもなんですが、こう、自然に、自然淘汰とか、適者生存とか、そういうのじゃあ、ダメなんですか?その~、あるがままで。こう、支えるとか、そういう、ともすると、こう、人為的、人工的なような事じゃなくて」「危機と呼ばれることが起こった時には、政治力で対処する、ゴールポスト動かすとかルール変えるというのはわかるんですけど、普段、アメリカって、フリー・マーケット(自由市場)ですよね。だから、こう、自由に、マーケットに任せる、適者生存というか、自然淘汰というか」「長い事、低金利、ゼロ金利時代が放置されてきましたし、なんか、適者生存とか自然淘汰とかいう言葉さえ忘れそうで」
やっぱ、民主党政権に「適者生存とか自然淘汰とか言いますと、皆さまお歴々から、どやされますかねぇ

ちょっと、ここらへんのこと、聞いてみたいですね(笑)。

【いや、そりゃ、バイデンさんはすごいお方ですよ。ただ、実は、ミット・ロムニー上院議員(ユタ州・共和)がおっしゃる通り、バイデンフレーションですよね。いっぱいお金刷っちゃって、長い事、低金利政策放置して。
サマーズさん(元財務長官)とか早~くから警鐘鳴らしてましたけど、まあ、あんま、当時、聞き入れられてなかったというか。
他に仕事の優先順位(コロナ給付金とか、インフラのプランとか)があったから、そっち優先で。

ハト派の最重鎮であられた前副議長が重い腰を上げられて、最初の25ベーシスポイントの利上げ2022年の3月ちょうど1年前ですもんね。
ちょっと話が脱線しますけど、前述、順番に書いておりますので、いっぱいお金刷っちゃって、長い事、低金利政策放置して、となっておりますが。
もともとだいぶ腐りはしていた
「いくつかの腐っていたリンゴ」の話が出て以来、FRBを批判する専門家の方は、
「長い事、低金利政策放置して」のところに圧倒的に焦点を当てますね。
FRBが犯したミスだと、長い事、低金利政策を放置した事が。
「本来とっくになくなっていて然るべきだったゾンビ企業」でさえが、生き延びてきたのもこれですもんね。

僕が、コメント等を拝見させて頂いているうちのおひとりは、ブレーナード前副議長のNEC(国家経済会議)委員長ご就任に際して、「長い事、低金利政策を放置してきたその誤った政策のど真ん中にいて、それを主導してきた人が、今度は、国家経済会議委員長にご就任ですか。こんなことあるんですか。冗談以外のなにものでない。誤った政策を主導してきた人だよ」というニュアンスのコメントされておられました。(人様の言葉ですので、ここでは言葉を和らげておりますが、実はその時、この方は、激怒、相当なおかんむりでした)

第141回の寄稿で引用しましたが、ブルームバーグ記事。
・「SVBの問題、当局は数カ月前から警告-SF連銀が監督チームを交代
この記事からの引用~「関係者の1人によると、SVBは金利リスクの把握方法を改善する必要があると指摘された。これこそ今月、同行を破綻に導いた財務悪化の中心的問題だった。」
金利リスクの把握方法を改善する必要があると指摘された”って、これ、どっか商店街での話ではなくて、銀行の話ですからね。ちょっとまあ、言葉に詰まるというか。まあ、この銀行について、いろいろな代名詞で、いろいろな表現が出て来るのも無理はないかな~とは思いますね。こういう事ですから。

それで、話を元に戻しますと。
(過去、最初の頃にこの寄稿で述べましたが)
ブルームバーグ記事からの引用~
イエレン財務長官「私は間違っていた」-物価巡る昨年の予測で認める
2022年6月1日 9:57 JST
物価高招いたショック「当時は完全には理解せず」-CNNに語る
これまでと同様な力強いペースでの成長や雇用創出は見込まれない
イエレン米財務長官は、高インフレが持続的な問題にはならないだろうとの見通しを昨年示したことについて、予測が不正確だったとこれまでで最も率直に認めた。
イエレン氏は5月31日にCNNで放映されたインタビューで、「インフレ進行の道筋について私は間違っていた」と指摘。「想定外の大きな経済へのショックでエネルギー・食品価格が押し上げられるとともに、供給のボトルネックがわが国の経済に悪影響を及ぼしたが、当時はこれらについて完全には理解していなかった」と述べた。】

たとえ話ですけどね。お医者さんが、自分が病気になったら、病気の症状、進行具合がよく手に取るようにわかるって言いますけど、イエレンさんほどの世界屈指の経済学者は、こうしたら、こうなるって、それはもう、経済においては、免許皆伝を通り超えておられるわけで。

僕が思っている事は、【いや、イエレンさんほどの世界屈指の経済学者がこれは間違わないでしょう。間違うなんてないでしょう。間違ったなんて、そりゃ、ちょっと、極めて、きわめて、考えづらいですね、ご本人がそうおっしゃっても、僕は。と思ってきました。

バイデン大統領にキズやケチをつけないために、ここは、自分が間違ったという形を、表向きとって、もっと他の優先順位、米国民のため、給付金その他など、バイデン政権が政策として行うと決めた事を、バイデン政権発足当初から、イエレンさんがずっとおっしゃってこられた事~「'Think big and act big'」「大きく思考して大胆に大きく行動」~これに基づいて、少しでも政権の政策を実現させる、それを優先して、遂行したと、僕は解釈しています。】

【物価高招いたショック「当時は完全には理解せず」】~何を持って完全と定義するかは脇においても、「私が間違えたでいい、それでいいんだ」という、財務長官としての大きな器量と政治力を、当時感じました。
そもそも、この事って、イエレンさんにとっては、間違える方が難しいわ、くらいの事だったと、イエレンさんのブレーンからも、僕は思うんですね。

それで、インフレが顕在化した後、マーケットが崩れそうになったら、崩れたら、それが時差を置いて実体経済に波及する事もわかっているわけですから、そうならないように流動性を供給すると。マーケットを支えると。壊さないんだと。
(ここなんですよ、どうも僕にしっくりこないのは。だから、大政治家だ、政治的だと、寄稿で述べるんです。)
実質GDP成長率の数字が2四半期連続してマイナスになっても、昨年中間選挙前であれば、「これはリセッション(景気後退)とは呼べない」「選挙前、景気後退は禁句」。
それで、笑顔で「インフレ抑制にリセッションは必要ない」と米著名番組で。
昨今は、つい3,4日前に、「米経済は非常に順調に推移している」と。
米国民の財務長官。安易に米国民を不安に陥れない。FRB議長時代からイエレンさんがお使いになられる言葉~inadvertently(不用意に、軽率に)○○しない。ブレーナードさんも、この言葉ご使用されておられました。
不用意に、軽率に、リセションに落とし入れたり、不安に陥れたりしないという事。
不用意に、軽率に、そういう事があってはならない。だから、、、、こうするんだと。

ブルームバーグの記事からの引用~イエレン長官、米リセッションを警告-債務不履行となれば不可避に2023年1月21日 6:35 JST~
いかなる支払い不履行は事実上のデフォルト-イエレン米財務長官
デフォルトは「間違いなく」リセッションの引き金に
イエレン米財務長官は20日、連邦債務の支払いで財務省が優先順位を付けることはないと述べ、いかなる形でも支払いの不履行はデフォルト(債務不履行)であり、「間違いなく」リセッション(景気後退)の引き金を引くだろうと話した。

と、おっしゃりつつ、次に、債務上限問題が解決を見たら(債務上限問題そのものは政治的な駆け引きとパフォーマンス部分もございますから)、今度のイエレン財務長官の次の一手は?

イエレンさんは、巨星。米国民の財務長官。ただ、財務長官になられてから、highly political(かなり政治的)になられた感じは致します。お立場がそうさせるのだと思います。バーナンキ元FRB議長からも絶賛されたイエレンさん。金融危機当時2009年、サンフランシスコ連銀総裁として、その手腕をふるわれた素晴らしいリーダーシップとご実績。バイデン大統領の信任は、それはもう厚いものだと思います。


売り方としては、頭が痛い


ただ、売り方としては、頭が痛いところがあります。いつも以上にいろいろ考えないといけないですからね。だったら売るな、買えって???いや、いや、この状況下ではそうはなれませんからね、僕の場合はですけど。

いや、まあ、自由市場で、適者生存とか自然淘汰とか新陳代謝とか、そういう文化で生きて来ましたというのもありますし。
どうも民主党政権とは、な~んとなく、僕は、距離ができちゃうんですよね~。
基本、放っておく。”何かが壊れたら”、対処する。ゴールポストを動かす。ルールを変える、という事にはある程度慣れてはいるような気が個人的にはするのですが、時代が変わり、「壊れないようにする、壊さないようにする」これには、あんまり、、、、、

とまあ、こんな個人的印象です。

今回、様々な要因が絡み合って重なって雪だるま式になる事があって、株の下落が見られるということがあるのであれば、それに乗りたいという個人的想いはもちろんありますが、それと同時に、それを機に、適者生存、自然淘汰、新陳代謝という、かつて見て来たアメリカの良いところも見たいし、感じたいですという願望もあります。

あせらず、無理せず、思い込まず、決めつけず、慎重に、という姿勢でいます。

*今の共和党についてはこれはこの寄稿で常々述べてきました通り、問題外です。こういう話題の対象には、僕の中ではなり得ません。中身は空洞、権力欲だけと長きにわたって考えてきましたからです。(ミット・ロムニー上院議員は除いて)

*アメリカ合衆国憲法の起草者達は、「国家統治能力を兼ね備えた、2つの異なる政党が競い合って」という事での国家統治に焦点があったとその歴史から認識していますが、トランプの台頭以降、これが、悲しいかな、1つになってしまった。もう1つ(共和党)は、なんだかわけがわからくなってしまったという認識でおります。過去のこの寄稿で述べて参りました通りです。

*アメリカ合衆国憲法とここで申しておりますのは、米国民から選挙で選ばれた当選者、議員は、特定の人や個人ではなくて、アメリカ合衆国憲法に対して、真の忠誠を誓うからです。「True Faith and Allegiance To the Constitution of the United States」(真の忠誠~トゥルー・フェイス・アンド・アリージャンス



第148回へ続く




最後に …
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2023年2月25日 第8回スペース 8分間


関連note


第138回~

第1回~第137回

私、アウトライヤーは、OUTLIER とは関係ありませんが、
OUTLIERは素敵な商品です
OUTLIER 「相乗的にパフォーマンスを高める食品と栄養素を集約。」


🍅🍅


アウトライヤー
より。外れ値です。でも異常値ではありません。
笑って許してくださいね。ごゆるりとお時間ある時ご覧になってください。
背景にある経歴:80年代後半から、ペインウェバー証券会社、メリルリンチ証券会社、ベアー・スターンズ証券会社等々の外資系証券会社東京支店法人営業部門に勤務。外資系企業生活で24年の歳月が流れました。
ペインウェバー証券会社ニューヨーク本社にて、2名のメンターのもと、米国株式業務を基礎から習得。なぜ、2名だったかと言いますと、フロントオフィス業務用に1名=MIT出身のトレーダーで数学者、バックオフィス業務用に1名=米国では名の知れたバックオフィスの専門家でした。当時、NY証券取引所にもしばしば、足を運び、入り口から出口まで、叩き込まれました。その後、日本国内の機関投資家向け外国株式営業に携わり、メリルリンチ証券会社とベアー・スターンズ証券会社では、それぞれ東京支店法人営業部門外国株式営業部長として、東京、ニューヨーク(ウォール街)、ロンドン(シティ)を中心に、アジア諸国も含めて、世界中を飛び回りました。グローバル株式・金融業務に従事する上で、メリルリンチ証券会社では、当時のメリルリンチ・グローバル株式営業部門におけるアジア地域2名のグローバル・エクティ・コーディネーターの1人として、米国株式を中心に、グローバルに株式業務推進役の職責も兼務。(この時とっても楽しかったです)
2012年2月に外資系企業生活を終えました。
同2012年年春から、日本企業の顧問に就任。
一貫して、この30年超の期間、何度も何度も現地に足を運び、そこにいた人々と直接仕事をした事を含めて、アメリカの金融政策、アメリカの株式市場を見つめてきました。
🍅注意事項
①不特定多数の者により随時に、誰でも閲覧可能な無料記事です。
投資助言行為に該当するアドバイスは行いません。短期動向や個別の運用相談に関するご質問へのご回答は一切行っておりません
③投資の最終決定はご自身のご判断と責任でおこなってください。

『アウトライヤー寄稿』は利益を保証するものではありません。

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