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米国株師匠🍅アウトライヤー寄稿141

第140回から続く


ロイターからの引用~2023年3月18日6:47 午前1時間前更新

米当局、破綻2行の売却促進の一助なら損失補填検討=報道


記事からのの引用~[17日 ロイター] - 「米規制当局は、経営破綻したシリコンバレー銀行(SVB)とシグネチャー・バンクの売却促進の一助になる場合、政府による損失補填を検討する意向を持っている。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が17日、関係筋の話として報じた。シリコンバレー銀とシグネチャー・バンクを巡っては、米連邦預金保険公社(FDIC)が売却先を決める競争入札の締め切りを17日に設定したと事情に詳しい関係筋が15日、ロイターに対し明らかにしている。ただFT紙は、FDICは入札者に対し損失補填の程度やその仕組みなどについて一切明らかにしていないと報じている。FT紙の報道について、FDICはコメントしていない。」


世間一般では、○○破綻とか○○危機とか、こういう言葉が踊る時ではありますし、いろいろな出来事が現実にあるんですけど、2008年の時の金融危機の様相ではないですね。

金融セクターで起こりそうなことを意識してか、しすぎてか、次回のFOMCで、金利を引き下げるという予想さえもちらっと目にもしましたけど、僕はそうは思っていません。

僕は、僕自身が、今、金利を引き下げると予想を前提にマーケットと対峙したら、たぶん、僕の場合はですけど、間違えるだろうなとさえ、自分自身に対して思っています。

僕は、そもそも、FRBの新たな貸し出しプログラムは、行きつくところ、言葉を変えて表現すれば、これの意味するところは、FRBは銀行のバランスシート(貸借対照表)のダメージをさほど気にする(さほど心配する)事なく、金利をより高く引き上げることができるという事だと考えています。

過去にさかのぼって役員報酬を返還させて、業界から締め出す


昨日アメリカのニュースで目にしたのですが、「バイデン大統領は連邦議会に対し、破綻した銀行の役員に罰金を科し、役員報酬を過去にさかのぼって取り戻すため、過去にさかのぼって役員報酬を返還させて、業界から締め出す、という権限を、よりもっと FDIC (Federal Deposit Insurance Corporation・連邦預金保険公社)に与えるよう求めている」

こういうニュースを見ていても、また、自分が実体験した過去を振り返ってみても思いますが。


2008年の金融危機とは性質が異なって



昨今この寄稿で述べてきました通り、2008年の金融危機とは性質が異なっていて、2008年の時のように巨大投資銀行の破綻が、金融市場全体、米経済、ひいては世界経済に波及して、再び立ち上がるには、途方もない、想像を絶するような時間を要するほどアメリカ経済をぼろぼろにしてしまうという構図(これがあったからバーナンキ元FRB議長ポールソン元財務長官は週末をはさんだ72時間で苦肉の策をとったわけで)。

今回はこの構図ではなくて、”いくつか腐ったリンゴ”があったという構図。
それを、最善の策で除去しながら、そのとばっちりが伝染して広がって行かないように、FRBが”緊急”措置として、FRBの新たな貸し出しプログラムを現在、施行しているという構図だと考えています。


この構図の背景となる詳細につきましては、どうぞ、第139回寄稿第140回寄稿をご参照頂けましたら。


ブルームバーグ記事からの引用です

・「SVBの問題、当局は数カ月前から警告-SF連銀が監督チームを交代」


この記事からの引用~「関係者の1人によると、SVBは金利リスクの把握方法を改善する必要があると指摘された。これこそ今月、同行を破綻に導いた財務悪化の中心的問題だった。」

昨日も述べましたが、僕の場合は、来週のFOMCについては、政策金利(フェデラルファンドレート)の25ベーシスポイントの引き上げ、そして、より高いターミナルレート(金利の最高到達点)予想がドットプロット(金利予測分布図)で示されることになるだろうと、現時点で考え、思っています。

それで、第140回寄稿で述べたような事、直近のこの寄稿で述べてきましたような事を頭に入れるだけ、入れておいて。
これまで同様、バリュエーション・PE Multiple(株価収益率倍数)~(15x~18x)やS&P500の2023年の1株当たり利益の下方修正(ゴールドマンさんの試算から10%マイナスで$202)などに目を向け、この観点からマーケットを見て行こうと思っています。

シリコンバレー銀行の破綻のような事があった直後ですから、何事もなかったようにという意味ではありません。過小評価はしない事、でも、過大解釈はしない事でやって行こうと思っています。

NYダウで34,030ドル~34,445ドル、ショートしたい


それでまあ、第139回の寄稿で述べました通り、インデックスのレベルで、
上を見る時に、S&P500で、4100(NYダウで34,030ドル)から4150(NYダウで34,445ドル)くらいまを見ていて、この辺のレベルが出て来れば、そのレベルをまた売りたい、ショートしたいと思っています。

それで、下を見る時に僕には一番最初に下として意識しているレベルが、
S&P500で3,636(NYダウで30,179ドル)だと思っているんですね。

(このレベルは、トランプ氏在任中に話題でもあったNYダウの3万ドルですから、このレベルは現政権、相当意識していると思います)
あとは、そこから、単純に前述の数字で、計算すると
$202 x 18x = S&P500で、3636(NYダウで30,179ドル)
$202 x 17x = S&P500で、3434(NYダウで28,502ドル)
$202 x 16x = S&P500で、3232(NYダウで26,826ドル)
$202 x 15x  = S&P500で、3030(NYダウで25,149ドル)

現実的には、今後、時を経て、段階を経てですが、ノーランディングがハードランディング(経済・景気の急減速)に変わって行く中で

①$202 x 16x = S&P500で、3232(NYダウで26,826ドル)くらいまでの下を見ておくという構えです。

資本不足の銀行が存在するのではという懸念と深いリセッション懸念があるという事が、悪いニュースとして重なって、現実の事になり、それが株式市場に反映されるという場合においては、そのもう一つ下(S&P500で、3030(NYダウで25,149ドル)まで見ておく、という事で考えています。

この寄稿におきまして、自分の試算として述べてきました基準となる水準として、これまで、述べてきました通り、3408(NYダウで28,286ドル)を、何か考える時の、一つの目安にして参りました。

現実のバリュエーションで18.3xですとか18.6xという数字が用いられてきていますが、ここ直近はフォワード(将来)PEとして17xくらいが妥当ではないかというご意見も拝聴しております。その場合、上記例から、3434(NYダウで28,502ドル)くらいと見るかなあと思っております。
いずれにしましても、①で述べましたインデックスレベルを、ワーストケース(最悪の場合の)シナリオと、自分の中では、現在、位置付けております。


ベン・バーナンキ 元FRB議長


ヘンリー・ポールソン 元米財務長官


余談をふたつ

余談その1~

過去のこの寄稿で述べましたが、バーナンキ元FRB議長ノーベル賞を受賞しました。ノーベル賞を受賞したからという事ではありませんが、本当に、当時、米国経済を、世界経済を救ったと人だと僕個人は思っています。バーナンキ氏のノーベル賞受賞時、オリビエ・ブランチャードMIT(マサチューセッツ工科大学)教授(元IMF(国際通貨基金のチーフ・エコノミスト)が、バーナンキ氏は、米経済、世界経済を救ったという主旨で賛辞を述べておられました。

2008年3月、あの時、あの72時間、バーナンキ氏ポールソン氏(元米財務長官)SEC(米証券取引監視委員会)関係者の人達があの対応策をとらなかったら、その後の米経済、世界経済はどうなっていたか、という事を考えただけでも、僕個人はぞっとするくらいです。

当時、エリザベス・ウォーレン上院議員(元ハーバード大学教授)は、米国民、納税者のお金でウォール街を救済するのかと激怒りで、ウォール街を占拠せよ、の音頭を取っておられました。僕は、人として、エリザベス・ウォーレン上院議員を心から尊敬申し上げております。ただ、氏の意見に賛同する事はめったにありません。

今回も、いくつかお決まりのような事が、こういう、破綻とかが起こった時に、いつも通り出てくるわけですけど、”納税者のお金”、これは、すごく今回もいつも同様、話題になりました。今のFRB、米財務省には、過去からの学習効果がすごくあると僕個人は思っています。こういう事があると、人々は、納税者のお金という事を一番に訴え、それがどう使われているのかに目を光らせ、意見を口々に述べます。そして、その上で、「なんだ、FRBは~とか、なんだ、財務省は~、パウエルは~、とか、イエレンは~」とかなります。人によっては、「アホ~」とかさえ言い、口汚く罵ったりさえします。いえ、いえ、彼らはアホ~じゃないでしょ(笑)。最善の解決策を見つけることに注力し、その上で、その行方を監視しています。


ベーブ・ルース

納税者としての権利を主張することに何ら違和感などあろうはずもありませんが、個人や組織、機関に対して安易に「アホ~」というような発言を聞くたびに、いつも僕が思い出すのは、かつてベーブ・ルースが述べたとアメリカでよく引用されるクォート。
“The loudest boos come from the cheapest seats!”- Babe Ruth
(最も大きなブーイング)最も騒々しくてうるさいヤジは、一番(チケット代金の)安い席から飛んでくる。
-ベーブ・ルース(最も偉大なスポーツ界の英雄の一人・野球選手)

第11回の寄稿時に~【オバマ政権時の駐ロシア大使で、現スタンフォード大学教授マイケル・マクホール氏が、SNS上で、「反論するなら、その人の理論や意見に対して反論しろ。個人の人格否定や個人攻撃、中傷はやめろ」という主旨の事を明確に発言されておられました。】~この通りだと僕は思います。

米金融政策については、この寄稿でも述べて来ました通り、長きにわたって秘密主義が貫かれてきました。はじめてその秘密主義が、少しオープンになったのが、1994年2月(グリーンスパン元FRB議長の時代)でした。

以来、バーナンキさんイエレンさんパウエルさん、時代と共に、フォワード・ガイダンスでFRBの指針を示しながら、ドットプロット(金利予測分布図)で金利の予想を示すようになってきました、よりオープンに。それらに対して、人それぞれに解釈はいっぱいありますが、FRBも米財務省も、他の省庁同様、アメリカ合衆国憲法下において、大事なINSTITUTION(機関)です。ここで言う機関とは、FBIとか、CIAとか、財務省とか、FRBとか、司法省とか、そういう憲法下における、国家の機関のことです。

過去の寄稿で、
米イエール大学のティモシー・スナイダー教授が執筆された「ON TYRANNY」(暴政下で、圧政下で」(20世紀からの20の教訓)という本について述べさせて頂きました。残念ながら、日本語版がたぶんないのではないかと推察致しますのですが。
もしよろしければ、是非、ご覧になって見てください。
その第2章にDefend Institutions(機関を守ること)という章があります。

こういう○○破綻とか○○危機とかありますと、機関に反省が求められ、時に古い血が抜かれ、新たな血が加わり、再生されて行きます。そうして進化して行きます。

いつの時代もリーダーは、その、人、個人は変わりますが、機関は残るのです。
たとえば、ヒットラーやトランプなどの独裁者の出現においては、なおさら、本来は、機関の存在は大切なのです。

○○破綻や○○危機があるたびに、今回のようにFRBの存在は極めて重要なのです。そこからのコーポ―レート・アメリカです。

過去のこの寄稿で、政治形態やトランプ氏を表現するにあたって、いくつかの例をあげました。
・Plutocracy~(プルトクラシ―)~金権政治
・Kleptocracy~(クレプトクラシ―)~泥棒政治(国家の資源・財源を権力者が私物化する政治)、
・Pathocracy~(パソクラシ―)~(少数の病人(病的異常者)が大多数の健常者を支配する政治、
・Gerontocracy~(ジェロントクラシー)~老人支配、長老政治

これとは別に、最近やはり、○○破綻や○○危機という言葉が躍る時、いつもよく出てきますが、Corporatocracy~(コーポレートクラシ―)~企業支配の政治~という言葉が出てきます。

これは、経済、政治、司法を企業が支配する政治、というニュアンスの言葉です。批判が含まれています。こういったことを徹敵的に批判する人達が、アメリカにもどこの国にもいますが、やはり、経済があって、国がまわって行くわけです。

時にルールを変えたり、緊急措置をとったり、国家の機関の果たす役割は大きいといつも思っています。

第135回寄稿の冒頭でブルームバーグの記事を引用させて頂きました。
その記事からの引用~「金融危機が起きた当時は、投資家やシステミックな大手銀行のオーナーらが救済された」と発言。「われわれがそうすることを考えていないのは確かだ。これまでに導入された改革は、再びそうすることはないことを意味する。預金者について懸念しており、彼らのニーズをかなえようと努めることに注力している」と話した。」

過去からの改革や学習効果は十分にあると認識しています。

BIS(Bank for International Settlements、国際決済銀行)が話題


今回も、これまで、FRBに対する不満から、BIS(Bank for International Settlements、国際決済銀行)が話題になってさえきました。
この寄稿は、FRBの金融政策からのアメリカ株式市場というところが主眼でもありますので、また、BISにつきましては、国際業務を行う銀行の自己資本比率や流動性比率が話題となります際に、触れることもできればと思います。


余談その2~

そう言えば~CNBCによりますと。早ければ来週れあたりの可能性?
つい先日も述べましたが、僕は、早ければ来週のどこかあたりで、まずはニューヨークから、トランプ氏起訴のニュースが聞こえて来るかなあ???聞こえてくるといいなあ???と心待ちにしております。
引用~CNBCから~POLITICS~New York law enforcement preparing for possible Trump indictment in porn star payoff case~PUBLISHED FRI, MAR 17 20232:26 PM EDT (Dan Mangan @_DANMANGAN)

来週はニュースもよくチェックしたいと思います。

昨日、トランプ氏が配信したビデオとかも見ましたけど、内容が、もう僕には意味不明で。ビデオから伝わってきたのは、「相当、起訴されることを恐れている、意識しているのではないか」、ということでした。

I'll believe it when I see it.~(それを自分の目で見て確認した時に、それを信じることにしますよ)と述べて参りましたが、そういう瞬間が、いよいよ、近づいてきているのかあな~とは、今、いつも以上に思っています。

お知らせ
3月20日月曜日のアウトライヤー寄稿はお休みさせて頂きます。
次回は、3月21日火曜日に寄稿させて頂きます。
どうぞよろしくお願い致します。




第142回へ続く




最後に …
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関連スペース

11月27日 第1回スペース 2時間

12月18日 第2回スペース 2時間20分

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第138回~

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私、アウトライヤーは、OUTLIER とは関係ありませんが、
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アウトライヤー
より。外れ値です。でも異常値ではありません。
笑って許してくださいね。ごゆるりとお時間ある時ご覧になってください。
背景にある経歴:80年代後半から、ペインウェバー証券会社、メリルリンチ証券会社、ベアー・スターンズ証券会社等々の外資系証券会社東京支店法人営業部門に勤務。外資系企業生活で24年の歳月が流れました。
ペインウェバー証券会社ニューヨーク本社にて、2名のメンターのもと、米国株式業務を基礎から習得。なぜ、2名だったかと言いますと、フロントオフィス業務用に1名=MIT出身のトレーダーで数学者、バックオフィス業務用に1名=米国では名の知れたバックオフィスの専門家でした。当時、NY証券取引所にもしばしば、足を運び、入り口から出口まで、叩き込まれました。その後、日本国内の機関投資家向け外国株式営業に携わり、メリルリンチ証券会社とベアー・スターンズ証券会社では、それぞれ東京支店法人営業部門外国株式営業部長として、東京、ニューヨーク(ウォール街)、ロンドン(シティ)を中心に、アジア諸国も含めて、世界中を飛び回りました。グローバル株式・金融業務に従事する上で、メリルリンチ証券会社では、当時のメリルリンチ・グローバル株式営業部門におけるアジア地域2名のグローバル・エクティ・コーディネーターの1人として、米国株式を中心に、グローバルに株式業務推進役の職責も兼務。(この時とっても楽しかったです)
2012年2月に外資系企業生活を終えました。
同2012年年春から、日本企業の顧問に就任。
一貫して、この30年超の期間、何度も何度も現地に足を運び、そこにいた人々と直接仕事をした事を含めて、アメリカの金融政策、アメリカの株式市場を見つめてきました。
🍅注意事項
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