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頑張らない方がうまくいく

3月31日。
年度末。
今日で僕は「大学生」というモラトリアムな肩書を失う。

これまでこの肩書は
僕の肩にただちょこんと乗っかっているだけの存在くらいにしか思ってなかったけど
今になって思えば
サトシにとってのピカチュウくらいに重要な存在だったのかもしれない。

今年度は
「とにかく頑張らない!」を念頭において1年生活をした。
結果的には
「頑張らなかった」ことがすべて功を奏して
万事うまくことが運んだ1年になったと思う。

「頑張らない」を目標にするに至った
アドバイスを僕にくれた人が2人いる。

1人目は大学の教授だ。
先生は「70点を取り続けることが大事だ。」と言った。

およそ3年前
この言葉を聞いた僕はその意味を理解できなかった。
「70点より100点の方がいいに決まっている」と思った。

しかし
先生はたいして関わりのなかった僕のことを
僕以上に理解していたことが
今になってみるとよくわかる。

100点を目指すのにはそれ相応のエネルギーがいる。
当たり前だけど「頑張ら」ないといけない。
100点という遠くにゴールを設定したら
それだけ超えるべきハードルは増えていく。

スタート地点からは眺め入れぬゴールテープ。
果てしなく並べられたハードル。

見えないゴールへ向かって走り出せる人もいる。
でも僕はそんな人間じゃない。
終わりの見えない光景を前に立ちすくしてしまう。
結果スタートすらきれずに0点に居残る。

僕は典型的な「100か0か」の人だ。
先生は短い交流のなかで僕のこの性質を見抜いていた。
だから「70点を目指す」ようアドバイスをしてくれたのだと思う。

70点のゴールならスタートからも見えるし
超えるべきハードルもなんとか数え上げられそうな範疇だ。

ゴールが見えればスタートを切るための心のエネルギーは軽い。
徐々にでも足を進められる。
それに70点のところまでいければきっと100点の地点も見えてくる。

「70点を取り続けるのが大事だ。」という言葉の真意は
こういうところにあったんじゃないかと思う。
振り返ればなんとも経験値の高い言葉だったと気付かされる。

もう1人僕に「頑張らない」ことの大切さを教えてくれたのは
担当してくださっているカウンセラーさんだった。

彼女は
自分がしたことを客観的に評価して
自分を認めてあげることの意味を教えてくれた。

話はさかのぼって中学生の頃
僕はテストで94点を取った。
学年1位だった。

僕は悔しさしか感じなかった。
100点を目指していたからだ。
「あのとき、もっと勉強していれば、、」と後悔した。

94点、学年1位は
客観的にみれば褒められた数字である。
しかし僕は
自分を褒めるどころか
努力の足りなかった自分を責めた。

周りからは「すごいね!」なんて言われたけど
僕からしたら94点も0点同然で
「もうちょい頑張ってればね、、、」と皮肉にしか聞こえなかった。

そんなようなことがこのときに限らず何度かあった。
人からみれば十分良い成績だけど
自分からみれば失敗でしかない。
そんなことが何度も何度もあった。

その度
「ああ。もっと頑張ってればよかったのに、、」と後悔したし
「自分は結局なにも成し遂げられない人間なんだ、、。
自分は一生なりたい自分にはなれないんだ、、。」
と落ち込んでいた。

カウンセリングに通いだしたのは1年ほど前からだった。

そこで今みたいな話をたまにした。
カウンセラーさんはいつも僕を褒めてくれた。

それは職業としての褒詞じゃなかった。
少なくとも僕はそう感じていたし
僕の成果頑張りましょう褒めるに足るものであることを
いつも彼女はしっかり理由をつけて話してくれていた。

また客観的に自分を評価することも教わった。
彼女は自分の価値観を尊重した上で
相対的に自分を見る考え方を伝えてくれた。

それは療法の実践の一環ではたしかにあったけれど
しかし常にリスペクトの念があったから
僕も素直に聴き入れることができたことは間違いない。

そして
僕はほとんど自分の世界をしか見ていないことを感じさせられた。
自分のみる世界だけを信じていて
世界にいる自分を信じられていなかった。

「自分はまだまだ頑張りが足りない。」
とばかり思っていたけれど
人と比べたときに
「なんだかんだ頑張ってたのかもしれない。」
と思えるようになった。

僕の「頑張る」は人の「頑張る」とは違うし
「頑張る」は相対的に「頑張りすぎ」にもなるし
僕の「頑張らない」は人によっては「頑張る」に値するのだと
理解できるようになった。

そんなこんなで
僕は「努力不足」の自責から解放された。
それどころか
過去の自分を振り返ったときに
「僕は頑張って生きてきた。」
と感じられるようになった。

そんな2人の助言もあって
今年度僕は「頑張らないで生きる」と決めた。

長くなりそうなのでつづきは後日。

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