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にわ。
2021年1月19日 18:48
東京の寒さはうすら不味い。開け放つ前の扉の隙を流れ込む外気に、清廉な冷たさがない。肌理を透き抜けるような冷やかな誘いがない。東京の寒さは澱んでいる。東京の寒さは、微温い水に喩えられよう。それは、口腔の粘着を漱いでくれるも、喉を抜ける時に体温を残していく。よく冷えた水ならば、喉を澄まし、胃を澄まし、気持ちも澄まし、脳を醒ます。微温水は、寧ろ、口に這っていた粘着を体内に薄く広げてる。
2021年1月18日 19:46
冬は最も生きていることを実感する季節である。我々は秋に身を鮮やかに染め上げた木々が、その蓄えた艶治をそのままに末枯れ死にゆく様を生に見る。冬は死に満ちている。春に揚々と咲き誇るのを予感させて、生命は美しく甦る為に死ぬ。こうして、死が冬の乾固の芸術を作り出す。我々は、冬を充満する死を観察し、それによって我が生を実感するのではないだろうか。この生命の動揺は、極めて繊細に、潜在的に我々