2020年8月に高校生が42人自殺した件

▼「コロナ渦(か)の自殺」について、重要なニュースが報道された。清水康之氏が代表を務める「いのち支える自殺対策推進センター」の発表から。2020年10月21日配信のNHKニュースがくわしい。適宜改行と太字。

女性の自殺 7月以降増加「新型コロナの影響で悩みなど深刻化」2020年10月21日 18時29分〉

〈ことし7月以降、全国で自殺する女性が増えていることについて、厚生労働省から分析を依頼された団体が会見を開き、「新型コロナウイルスの影響で配偶者からのDV=ドメスティック・バイオレンスや子育ての悩みなどが深刻化している」と指摘しました。

警察庁によりますと、全国で自殺した人は、ことし7月以降、去年の同じ時期より増加し、特に8月は1854人と去年を16%上回りました。

このうち女性は651人で40%も増加しています。

これについて、厚生労働省から自殺の傾向などの分析を依頼された都内の団体が21日、会見を開きました。

それによりますと、7月以降、同居人がいる女性や無職の女性の自殺が増加していて、支援団体に寄せられた相談内容などを分析した結果、新型コロナウイルスの影響で

配偶者からのDVや子育ての悩み、それに経済問題などが深刻化していることが要因になっている可能性がある

ということです。

あわせて芸能人の自殺を伝える報道の影響も見られるとしています。

また、8月に自殺した高校生は42人で、去年の同じ時期の2倍以上に増えました。

臨時休校やオンライン授業などで、環境が変化したことが影響している可能性があるということです。(略)〉

▼失業の影響は、国の給付金などで抑えられているそうだ。

▼このNHKの記事によると、NPO法人「ライフリンク」に寄せられるSNSの相談は週に6日。「LINE(ライン)」経由の相談だが、〈ことし寄せられた相談の件数は3月まで3000件台でしたが、5月に5000件台に増加し、先月には1万5000件を超えました。〉〈相談を寄せる人の7割近くは30代以下の女性〉という。

1万5000件の相談のうち、対応できているのは約1割とのこと。要するにパンクしている。

どれも、衝撃的な数だ。と同時にLINEのような道具があってよかったと思う。

▼DV被害者の支援団体「女性・人権支援センターステップ」への相談数は倍増しているそうだ。

栗原加代美理事長の「ステイホームの影響で、家族の食事や子どもの世話、親の介護と、女性にかかる負担は数倍に増えている。また、夫婦で一緒にいる時間が増えたことで相手の嫌な面が目に付きやすくなり暴力や暴言が増えたと考えられる」「相談を受けていなければ自分を悪い母親や妻だと責め続けて自殺していたかもしれない人たちもいる。自粛生活の中で、1人で悩んで追い詰められている人が多く、社会とつながれる窓口を作って孤立させないことが必要だ」というコメントが重要だ。

▼記事の中には支援情報検索サイトのURLも貼り付けてあった。

▼災害の時は、女性と子どもに皺寄(しわよ)せが来る。「見えない現実」を「見える数字」にして広く共有するこうした報道はとても大事だ。

そこから、意識が変わり、近所で見えてくる現実もある。「圏外」の出来事が、自分の「圏内」に入ってくる。

(2020年10月22日)

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