マガジンのカバー画像

深夜、堕落したブルーライト、ぼくら勝手に孤独になって輪廻。

208
散文詩/自由詩まとめ。
運営しているクリエイター

#宇宙

エイリアン・コンプレックス

 
古いコンビニエンスストアの居抜きでできたわたし、の自動ドア、きみが目の前に立っても開いたり開かなかったりする。
開かない自動ドアに人ではないことを突き付けられて泣きたくなるときの気持ち、を、一生わからないでほしい、と、祈るこの指がすらっと長くなくてまた泣きたくなるの、わたしだって、わかりたくなかった。
 
 
好きなコンビニが同じじゃないことは違う星に住んでいるみたいなことで、嫌いな香水が同じ

もっとみる

重力・オン・ザ・ミュージック

音楽だけが増えていく
音楽だけが増えていく
この部屋にも街にもわたしの腹にも
あたらしい音楽だけが増えていくの
宇宙は無音なんだって
無音なら
君も詩を欲しがるだろうか

宇宙飛行士になったんだって
すきだったひとに言われた日
スペーススーツのまあるいあたまを
撫でてあげる練習のために
スイカを買って帰った
夏の似合わない部屋で
スイカを抱きしめて眠った
何か孵ればよかったのに
帰ってきてくれれば

もっとみる

ワイドミー

美しくない理由で晴れの日を好きになってしまったとき、おとなの階段ってやつ、踏み外してしにたいと思った。

晴れているから星がきれい、広がっているのが自分の内側か外側か分かんなくなりそうねって、宇宙に共感してほしい。目の前に見えるだけでもなんじゅう、なんびゃくの星があって、その奥にも、数えるのが億劫なくらい、だから、いっこくらいわたしにちょうだい、チョコレート菓子のひとつ、欲しがるみたいにいたら

もっとみる

ベイビー・ウォーク・イン宇宙

彩度の低いきみのクローゼットのなかにぬいぐるみを住まわせたい、そこそこ大きな魚がいい、できれば鮮やかな色の。
わたしは暗いところと狭いところが苦手だったけれど、きみと眠る夜だけはよかった、遠い星のひとつもない宇宙、いったことのない宇宙みたいな暗闇、トイレにのそのそと起き出してベッドの角に脚がぶつかったとき、はじめて、自分がもう星のこどもでないことを知るくらいの、暗闇。

餌をやりすぎた魚が日に日に

もっとみる

いつかぼくの胸のスーパーノヴァ

 
夜にならないとわからないことがあって、だから太陽は後悔したことがないらしい。
惑星を10個、てきとうに拾ってくる。陽当りのよい不自由ない部屋(彼らにはすこしせまい)を与えて、日がな一日うたって暮らすように言った、きみたちのとこの住人はうちの星でうまくやってるので気にしないでのんびりしてね、と、笑いかけるのもわすれなかった、なのに、彼らのうちはんぶんくらいは、夜になると机に向かうようになった。

もっとみる