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深夜、堕落したブルーライト、ぼくら勝手に孤独になって輪廻。

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散文詩/自由詩まとめ。
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2019年10月の記事一覧

おだやかなしろい朝のゆうれい

 

ねぇ、きみ、いきてるだけでアイシテルよって、言葉にはしないけどあたしずっとつないだ手から伝わっていかないかなって念じてる、のは、あたしのことも、理由も条件もなくこの生があたしだってことをあいしてほしいからで、はだかになるたび、見返りを求めないアイなんて嘘っぱちだよって呪いのように繰り返した。
眠りにつこうとする、きみは、それを、流暢な外国語みたいだと思っている。

 
真夜中に慟哭もでき

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ブリキでできたふたつめのハート

 
未来なんてあたしにもよくわかんないけどせめて次のデートくらいまではあいしてほしい、そうやってちいさな約束を繰り返してそのうち永遠になるんだって盲目的にしんじてやまない、おろかなこどものまま、動物園に連れて行ってほしい。
きりんのながい首がこちらに向かって折れる、そのはやさと、にんじんのあかるさだけを覚えていたい、それ以外のめんどうなことなんて、丸ごとわすれてしまいたい。

ぞうのかたいひふ

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ぼくも陸では半透明で

 
 

さよならクラゲ
ぼくはもう海を出るし
もうにどと海を
泳ぐことはないだろう
ある日落ちてきたひかる破片に
からだが映って
気づいてしまったのだ
ぼくはひとだった

にほんあしで歩くようになって
おおきな水槽を買った
ちいさな魚を飼って
不自由と自由をしりたかった
不自由とはぼくのからだで
自由とはきみのからだだと
妬んでやまなかった
じぶんの愚かさをしりたかった
そうしていつか

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きみがチケットを破っても

 
 
かいころしてくれるかも分かんないひとのためにかたちを変えてしまうわたし、なんてかわいいんだろうと思った、けれど、かわいいね、と、きみは言わないから、そのかわいさには価値がないのだと思う。
きみが決めていい、わたしの値段、どうしたら高価であれるかわからないので体重計に乗った、チョコレートを、くわえたまま。

ユニコーンは空想上の生き物だったからわたしはお腹を刺されてもしんだりしなくて、お

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ぼくらがつぎに泣くときは

 
ぼく
泣くなら
だれもいないバス停で
ぼく
泣くなら
無人の柔らかいバスを待って
ぼく
泣くなら
知らない場所で終点を迎えて
ぼく
泣くなら
それが海のある街で
ぼく
泣くなら
静かな街を彷徨って
ぼく
泣くなら
親切なひとが紅茶をいれてくれて
ぼく
泣くなら
そのおだやかな甘さに安堵して
ぼく
泣くなら
お礼を言ってまた街を彷徨って
ぼく
泣くなら
不機嫌なひととぶつかって
ぼく
泣くなら

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きみは軽薄に白百合を

処分する雑誌のように紐で縛られて、ちょうどおへそのあたりで結び目を持ち上げてほしかった、投げ出された足と重たい頭がくたぁと傾いて、きみはバランスをとるのに手間取ってため息をついたりするのだ、ほら、捨てるのにも苦労するでしょう、手に入れるって、そういうことなのよだぁりん。わたしがあなたなら、その身体が四角く軽くなるまで待てるのに、賢いから、ね。

(葬儀場、明るくて、昼夜は意味をなくす、

はじ

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