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今をみつめて、

 重い瞼を開ける。いつも通りの代わり映えしない天井を瞼を上げた瞳は写す。目覚ましより早く目が覚めるようになったのはいつからだったっけ。考えても思い出せないことは考えるのを止めた。
「タバコ・・・。」
 ベッドに沈んだまま、それに手を伸ばす。ひと息吸い込んでやっと脳が回る感覚がする。でも、だからといって起き上がる訳じゃない。また、一日が始まったと理解しただけ。後はそれを吸いながら、ボーッとくだらないことを考える。休日はだいたいこんな感じ。

 大学を卒業して、仕事は忙しいけど給料はいいほうだと思う。人からすればそれなりにいい生活をしてると言われるかな。ただ、学生の頃に想像してた世界とは掛け離れてるんだよなぁ。
 気がつけば、仕事して寝ての繰り返してつくづくつまらない生活だと思う。恋人なし。いつの間にかアラサーなんて呼ばれる世代になった。予定してた人生設計ではもう結婚してるはずなんだけど、、、。周りは大概結婚しててちょっと焦ってたりもする。友達には焦ってもいいことないなんて言われるけど、当の本人が結婚間近じゃ説得力ないのよ。
なんて考えてると急に電話がなった。

「あ、もしもし? 今日暇してない?」
「もしもし。休みだし予定ないけど、なに? 買い物付き合えはナシね。」
「よく分かってんじゃん。付き合ってよ、暇でしょ。笑」
特にやることはないけどちょっとムカついたので
「暇じゃない、ムリ。」
と言い放ってみたけれど効果なし。
「休みの日くらい外でなきゃ死ぬよ。10時に迎えいくから準備しといて。」
「え、行かないっ、、、てば。」
最後まで言う前に切られた。スマホを投げ捨てて目を瞑る。

 10分くらい経っただろうか。
「あー、もう。まず、今何時だよ。」
 結局無視することはできずに諦めて時間を確認した。
「え、あと1時間もないじゃん。」
 時計は9:17と記していて、慌てて飛び起きる。
「買い物ってドコイクノ、、、。」
 目的地も教えられてないから、何を着ればいいのか分からず思考停止。最後に出かけたのっていつだっけってレベルで、服装すら決められない。
「先に髪なおすか。流石にこれじゃやばいよね。」
 見るからに寝起き、髪はボサボサだった。櫛でとかして、セットの仕方に悩む。ストレートか軽く巻くか。とりあえずアイロンを温める。

ピンポーン。
「え、早すぎない、あいつ。何もできてないんだけど。」
 独り言呟きながら玄関まで行ってドアを開けるとウザいくらいの笑顔で立っている奴。
「おはよー、思ったより早く着いちゃった。」
「おはよ。うん、だよね。」
「まだパジャマじゃん、なにしてんの笑」
 お邪魔しますの1つもなく、ズカズカと入り込んでくるこいつは大学からの唯一親友と呼べる友達だ。
「はよ準備せー。」
 人の家のソファーでくつろぎだした奴に急かされる。
「服何着ればいいか分かんなくて。行くとこも言われてないし。」
「好きな服着ればいいんだよ。普段仕事で固っっっ苦しい格好してんだから。笑」
「それに慣れすぎてもう好きな格好とか忘れた。笑」
「ったくしょうがないなぁ。」
とブツブツ文句は言いつつも、服を選んでくれた。

「これ派手すぎない?笑」
 渡されたとおりに着替えると、黒スキニーに白のクロップドトップス。お腹周りが丸見え状態。流石に出し過ぎじゃないのでは。
「選べって言ったのお前な。いいじゃん。似合うよ。出せるとこ出してかないとね。笑」
「まじで言ってる?笑 寒いって絶対。大学ぶりに着たよ、この服。」
反論は当然聞き入れられる訳がない。
「髪巻いてあげるから、メイクしな。」
「巻いてくれるの? やった、ありがと。」
バタバタしながらなんとか準備が完了した。
「ごめん、10時過ぎちゃったけど大丈夫なやつ?」
「別に時間とかないし大丈夫。時間言わないと行動しないじゃんいつも。だからタイムリミットかけといただけー。行こ。」
「なんか怖いんだけど。てか、だからどこ行くか聞いてないんだって。」

「あ、そうだったね。笑 とりあえず美味しいもの食べいこ。和洋中何にする?」
「え、決めてあるんじゃないの、何にするって言われても、、、和?笑」
「いいね笑 車走らせながら探すか。運転してて調べられないからいいとこないか調べるのは任せた。」
「おけ、事故んなよ笑」
 ダラダラ喋りながらドライブするのとか何年ぶりだろう。美味しそうなお店を詮索しながらそんなこと考えてた。
「ここの定食屋さん美味しそうじゃない?」
「確かに美味しそう。行ってみよ。」
 目に止まった定食屋を見せるとすぐに決まった。目的地が決まると割とスムーズにお店に到着できてしまった。

 お店に入ると、懐かしい香りがして何の匂いだったっけって考える。席に案内されて開いたメニューはどれも美味しそうだ。
「なんにする?」
「んー、全部美味しそう。迷う。決まったの?」
「生姜焼き定食1択でしょ。笑」
「はや、どうしよう。えー、っと唐揚げにしようかな。」
「了解。すみませーん。」
 店員さんを呼んでテキパキと注文してくれる。大学で初めて会った時から何も変わってない。いや、少し落ち着いて大人っぽくなっただろうか。   
社会に飲み込まれ始めたあたしをなんとか変わらないように繋ぎ止めてくれているのは間違いない。

「福さん家の匂いすんね。懐かしい。」
 あぁ、そうか。懐かしいと思った匂いに納得する。大学時代のアパートの隣に住んでた優しいおじいさん。よく二人でお邪魔して一緒にご飯を食べた記憶が蘇る。
「元気にしてるかな。卒業してから会いに行ってないや。」
「このあと行ってみる? 久しぶりに笑」
 あの頃はなんでも、やってみればなんとかなるって謎の自信があって。自分でも眩しいくらいキラキラしてたと思う。今の姿見たら悲しませてしまわないだろうか。不安はあったけど会いたい気持ちが勝って、静かに頷いた。
 頼んだ料理が届いてからは、他愛もない会話をしながら食事を済ませた。

「なんか、緊張する。」
「なんで緊張するの。何も変わらないよ。」
 何も変わらないか、、、。あの頃と違ってあたしの自信は底についている。繰り返される毎日と自分自身に嫌悪すら感じてしまうほどに。
 人の目なんか気にしないで、迷いなく進んでいってしまう背中に置いていかれてしまう気がして、思わず腕を掴んでしまった。
「大丈夫だよ。」
そう言って笑ってくれた。
 インターホンを押すと、少ししてから
「はい、」
と声がする。
「突然すみません。数年前によくお世話になっていた椿と長谷川です。」
 覚えていてくれているだろうか。急に訪ねて困らないだろうか。不安で考えがまとまらない。すると、温かい声が聞こえた。
「あぁ、おかえり。ちょっと待ってね。」
 しばらくすると玄関の鍵を回す音がして扉が開いた。視線の先にはあの頃よりも少し小さくなった姿と変わらない笑顔があった。

「おかえり。久しぶりだね、まぁ上がりなさい。」
そう言って家の中へと招き入れてくれる。
「「ただいま、お邪魔します。」」
思わず口から出た、ただいまという言葉に自分でも驚いてしまう。同時にとても安心してしまった。
「どうしたんだい。」
少し困ったように福さんに言われて、初めて自分が泣いていることに気づいた。
「あれ、、、ごめんなさい。なんで、」
 泣きたいわけじゃないのに。止まって欲しいと願う感情を無視するかのように涙は流れ続ける。
落ち着けと言うかのように隣で背中を撫でてくれる手でさえも逆効果みたいだ。
「とりあえず、玄関じゃ落ち着いて話もできんし部屋に行こうかね。」
そう言って部屋へと通された。

 しばらくしてやっと涙が落ち着いて、改めて挨拶をする。
「突然訪ねて来た上に、泣き出してしまいすみません。お久しぶりです、福さん。」
「相変わらず突拍子もないね。元気そうで安心したよ。」
そう言って微笑んでくれる。
「福さんも変わらず元気そうで安心しました。突拍子もない、ですか。そうですね、まさか隣で泣き出すとは思いませんでしたよ。笑」
「あたしだってこんなつもりじゃ、、、」
 いい歳して泣き出してしまったことに思わず恥ずかしくなって言葉に詰まる。
「色々思うことがあったんだろうね。ゆっくりしていくといい。」
「「ありがとうございます。」」
 部屋からは大学時代を思い出す香りが漂っている。嬉しいことも嫌だったことも何かあればいつも此処に来ていたっけ。どんな話をしてもいつも見守ってくれていたことが今になって分かる。ほんと自分勝手に好きなように生きていたんだろうな。

「あら、靴が多いとは思ったけれど二人だったのねぇ。」
 部屋に入ってきたのは福さんの奥さんで櫻子さんだ。やっぱり少し小さくなったなと思う。
「お久しぶりです。突然ですみません。」
 櫻子さんにもたくさんお世話になっている。話はもちろん、料理も一緒に作って教えてもらった。女同士ってこともあって二人だけの秘密なんて言いながら台所で福さんの愚痴も聞いたこともある。
「いいのよ、来てくれて嬉しいわ。ゆっくりとしていってね。」
 彼女もまた福さんと変わらない笑顔を見せてくれる。
「今買い物に行ってきたところだし、夕御飯食べていきなさいね。」
そう言って台所へと入っていった。
「ちょっと行ってくる。」
あたしは櫻子さんの後を追った。

 台所に入ると
「夕御飯にはまだ早いわねぇ。あの人お茶も出さずにいたでしょう。困った人よね。」
そう言って笑っている。
「急に来たあたしたちが悪いので、気にしないでください。」
「子どもが家に帰ってくるのは当たり前のことよ。私達にとってあなた達は大切な娘と息子同然だもの。」
 あぁ、そうだった。この人たちはあたしたち二人にとっては親のように大切な人たちだ。どうして忘れていだんだろう。
「人ってね、些細なことで簡単に変化する生き物だと思うわ。」
「え?」
 思わず反射的に声を出してしまう。やっぱり変わったと思われてしまっているのだと。隠せるわけがないのだと思った。
「そんなに驚くことじゃないのよ。葉月ちゃんだけじゃないわ、蓮くんも私達夫婦もあの頃とは少し違っているものよ。」
「変わるのは分かってるんです。歳を重ねていけば当たり前のことで、でもあいつは、、蓮は歳をとっただけで変わってないと思うんです。今日も隣にいて怖くなった。あたしはあの頃と全部違うんです。」
 口がどんどん先走って言葉が飛び出していく。こんな事を言いに来たんじゃないのに。

「私にはね、葉月ちゃんも蓮くんも変わったように見えるわ。もちろんいい意味でね。社会に出て自分を守ってくれる盾がなくなって、頑張ってきたのが良く分かるわ。大変な事の方が多かったかもしれないわね。そんな中で変わらないでいることはとても難しいことよ。社会に溶け込んで流されてしまった方がいくぶんか楽でしょう。」
 そうだ、あたしは疲れた、と考えることを止めたんだ。流されて生きようとした。だから、あいつが遠くなっていくんだ。そんなの置いていかれるに決まってる。
「でもね、あなたが蓮くんを変わってないと感じるなら、流されてしまうのは楽な道じゃないわ。葉月ちゃん、もっと甘えていいのよ。あの頃のあなたはもっと甘え上手だったわよ。あとは、蓮くんに感謝ね、きっとずっとあなたの隣で手を握っていてくれたはずよ。」
 お茶を入れようか、と微笑む彼女の顔は涙で歪んでしまってよく見えなかった。此処に来てから泣いてばっかりだ。
 蓮が隣で手を握っていてくれた?そんなこと、ない。あたしを置いて、、、。違う、ならどうしてあたしを此処に連れてきたのだろうか?あいつ一人でも来れたはずなのに。何か理由があるはずだ。

「昔から二人でコソコソと台所におったな。」
「そうですね、いつも僕達は蚊帳の外でしたし。笑」
 台所に消えていった二人を見送りながら、福さんと笑い合う。ほんと懐かしいな。
「そのうち帰ってくると思ってはおったが、成長した姿を見るとやはり嬉しいものだね。」
「成長したでしょうか。毎日必死ですよ今でも。」
「そうだろうな。弱くなるのは簡単だが、強くなるには必死になるしかないからな。」
「、、、福さん、俺強くなれますかね。」
 なれるって言ってくれるんだろうなと、思う。いつもそうやって背中を叩かれてたもんな。でも、思っていた答えとは少し違った。
「お前だけじゃ無理だと思うぞ。蓮。だから葉月と此処へ来たんだろう?」

「そんなことは、、、ある。連れて来なきゃ二人で一緒に来なきゃダメだと思ったんだ。」
「それで、答えは出たのかい?」
「、、、まだどうする事が正解なのか分かんねぇ。  
俺は卒業してからずっと必死だった。最初の2年くらいはマジでキツかった。余裕なくてボロボロで金はあるのに使う余裕なんてなくて。でも、葉月がいたんだ。ずっとあいつは文句言いながら隣で笑ってて。」
「なるほどな。お前は葉月に支えられてたってわけだ。で、復活したと。」
 あぁそうだ、あいつはいつも笑って隣にいた。
それにどれだけ救われたのかなんてあいつは気づかねぇだろうな。
「俺はあいつがいなかったら、此処にはもう来れなかったよ。福さん。きっと、見せられる姿にはなれていなかっただろうから。」
 福さんが声を上げて笑い出した。こんな暴露、恥でしかないもんな。笑い話になるだけいいか。

「それで?」
 福さんはまた同じ質問をしてきた。分かってる、来た理由はちゃんとあるんだ。
「葉月は半年くらい前から調子が落ちてる。全部どうでも良くなったみたいな顔して笑うんだ。見ていられなくて連れ出して元気になっても、またしばらくすると戻っちまう。」
スマホの画面を福さんに見せた。
「この前大学の時の写真見せたら、この頃は良かった。全部に自信があって。でも、それ全部無くなっちゃった。って苦しそうに笑ってて、だから此処に来れば何か変わるんじゃないかって思ったんだ。」
「懐かしいな。みんな若い、私達二人はあまり変わっていないな。笑」
 写真を見て懐かしいと言った福さんは確かに写真の中の福さんと同じ笑い方をしていて、思わず俺も笑ってしまった。
「葉月の様子がおかしいのは気づいたよ。だが、櫻子のところへ行ったから大丈夫だと思うぞ。お前がわしと残ったようにな。」
 確かに櫻子さんに任せておけば安心だろう。前に母親と変わらないと言っていたから。
「男は松、女は藤。とな。」
「え、福さんそれどういう意味?」
「書斎に辞書があったと思ったがな。」
「人に聞かずに調べなさいってことか。」
 立ち上がって書斎へ向かう。途中でスマホで調べられるじゃねーか、とも思ったが辞書で調べることにした。
蓮が部屋をでた後で、
「お前たちなら大丈夫だろうよ。」
と福さんが独り言を微笑んていたことは知らないでいた。

 櫻子さんとお茶を入れて戻ると蓮の姿がなかった。
「福さん、蓮は?」
そう聞くと、
「書斎に調べものに行ったよ。」
と笑う。
「3時だし、お茶にしましょう。」
「そうだな。ありがとう。」
「いいえ。」
 二人の会話を聞いていると、とても安心する。同時にあたしにもこんな幸せな人生があるのだろうかと思った。
「辛くなったらいつでも帰ってくればいい。何も心配することはない。」
「急にどうしたの、福さん。」
「蓮が色々と手こずってるみたいでな。葉月、お前も何かあったら帰ってきなさい。」
「ありがとう、また帰ってくるね。」
 そのあとは、お茶を飲みながら3人で大学時代の話しで盛り上がった。ひと仕切り喋ったあと、
「蓮遅いし、見てくるね。」
そう言って書斎へ向かった。

 福さんの感じだと、蓮も何か理由があって此処に来たみたいだ。全然戻ってくる気配もないし大丈夫なのか。昔から全然変わらないと思っていたけど、あたしの思い違い?
「クソッ。」
 考えても結局目的が分からないからどうすることもできない。聞くしかないのか、でも聞かれたくないことだったら、、、。
 様子を見に来たはいいものの、どうするか決まらず部屋の前に着いてしまい、立ち止まってしまった。

「辞書は、、っと。」
 福さんの書斎は本が沢山あって綺麗に整理されている。小説から文献まで幅が広い。初めてこの場所を見たときの衝撃を今でも覚えている。
「あった。えーっと、男は松、女は藤、、、。」
 紙の辞書なんて小学生ぶりに使うな。この年で使うとは思わなかった。
「男は大地にしっかりと根を張る松のようなもので、女はその松にからむ藤のように男を頼りにすることのたとえ。か。」
待ってればいいってことか? 違うよな。意味を読んでも理解できそうになかった。

コンコン。一応ノックをする。
「蓮? 入るよ?」
「どうした?」
「どうしたも何も、全然戻ってこないから様子見に来たんだけど。」
 椅子も机もあるのに、何故か床に胡座。足の上に辞書が開かれていて、いつからこうしていたのだろうと思った。
「あー、わるい。考え事してた。」
「ずっと辞書とにらめっこしてたわけ?笑」
「納得のいく答えがでなくてさ、笑」
 辞書を閉じて伸びをする蓮の隣に座る。光の入りにくい書斎は、薄暗くて古びた紙の匂いがする。嫌いじゃないんだよな、この匂い。なんて思った。

「ねぇ、」
「ん?」
「どうして此処に連れてきたの? なんか考えがあったんでしょ?」
 もう何年も一緒にいるはずなのに、分からないこともある。今更隠すことも気を使うこともないと思ったから聞くことにした。
「此処に来れば少し変わるかなって思ったんだよ。最近ずっと辛そうだったから。」
「あたしが?」
「そう。仕事ハードだし疲れてるんだろうなとは思ってたんだけど、ここ半年くらい声掛けないと連絡ないし。会うといつも通り元気にして無理してるんじゃないかって。」
 流石にもう8年も友だちしてれば、気づかれてしまうものなんだな、と思った。
「疲れちゃってさ、毎日同じことの繰り返しで。あぁ、また同じ日が始まったって起きて思う。もっと楽しかったはずだったのに気がついたら自分が機械みたいで、あたしってどんなだったっけって。」
「そうか。」
「もうどうでもいいかなって、最近。頑張っても壁にぶち当たるし思った結果も出なくて、なら流れに身を任せちゃえば楽になれるかなって。」
「それで、落ち着いたのか?」
「全然、蓮に会うたびに手が届かない気がして怖くなってる。」
 あんなにも言えずにいた感情が素直に吐き出せるのは此処に来たからだろうか。今なら素直に言えると思った。
「でも、蓮が居てくれたからなんとか飲み込まれて機械にならずに居られてた。ありがとう。」
「俺は何にもしてないよ。俺がしんどかった時は葉月が隣でいつも笑ってくれてたから。だから次は俺が支えてやらないといけないって必死になってただけ。」
「あたし、全然何もした覚えないんだけど、、」

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