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インドカレーを、食べに行く。

彼女とインドカレー屋さんに行った。

僕の住む街には、カレー屋さんがたくさんあった。

その中でも、駅から離れた隠れ家的な店をえらんだ。

店に到着すると、昼とはいえ少し遅めの時間だったからか、店に客はいなかった。まさに隠れ家だった。


僕はカレー二種のセット、彼女はタンドリーチキンのセットを頼んだ。

店員さんがそれを運んできたとき、僕たちはすごく驚いた。

ナンがとにかく巨大だったのだ。

それはもうナンというより、象の耳たぶです、と言われた方が納得できた。

僕はその象の耳たぶに、スパイスのきいたシーフードやサグチキンのカレーをディップして食べた。

熱くて指を火傷しそうになったけど、とても美味しかった。


しばらくあと、僕たちの次に女性が一人で入店してきた。

店員が女性客と二言三言交わし、厨房の奥にはいっていった。

すると奥から「パオーン!」という、なにかの叫び声が聞こえてきた。

それに続いてボウルか鍋がころがり落ちるような騒音と、叫び声がますます苛烈になっていくのが聞こえた。

店員の怒号がつづき、何度か地響きのような衝撃があって、店はまた静かになった。

何分か経って、店員が女性客のランチセットを運んできた。彼の服は血まみれだった。でもいま思い返してみるとあれはきっと血なんかではなく、マトンカレーかなにかだろう。

きっとインドカレーを作るということは、それだけ大変なのだと思い、できるだけゆっくり味わって完食した。

一緒に出てきたマンゴーラッシーも最高だった。僕はとにかくマンゴーラッシーがだいすきだった。


彼女のほうをみると、象の耳が七割くらい残っていた。

「もうおなかいっぱい」

僕は彼女の分もいただいた。とても美味しかった。

それでも象の耳は大きすぎるので、すこしだけ残ってしまった。

次はもっと胃袋を大きくしてから食べに行きたい。

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