「非日常が当たり前にそこにある」西ノ島での日々
京都は嵐山から、島根の離島へ。
海士町と西ノ島の暮らしから感じたこととは?
2023年1-3月期の「島体験生」として過ごした後、2023年4月からは「大人の島留学生」として西ノ島町で暮らしている殿西さん。
隠岐島前に来て8か月が経った今、どんなことを感じ、考えているのか
お話を聞かせてもらいました。
仕事を辞めて離島へ
ーよろしくお願いします!まず自己紹介をお願いします
殿西さん:
元々専門学校を出て2年間サラリーマンをして、それを辞めて飲食店で2年間働いていました。
でもその仕事を一生続けるのはしんどいなってモヤモヤしてるタイミングで、島体験/島留学のことを知って。
今は島前ふるさと魅力化財団(以下・財団)で西ノ島町の島体験/島留学周りのことを担当しています。
ー島体験に参加したきっかけについてもう少し詳しく聞かせてください。
殿西さん:
ざっくり言うと仕事を辞める理由を探していて。
前職は17時に起きて朝8時に寝る生活で、楽しかったけど生活が昼夜逆転していて。
友達とも予定が合わなかったし、こういう生活って何か違うなって考えるようになったんだよね。
そんな時にたまたまテレビで島留学の番組を見て、ビビッと来て応募してみた。
ご縁があって来れたんだけど、冬に来たから海は黒いし草木も枯れてて人もあまり外にいなくて……島のいい所をまだ楽しめていないなと思って、もう少し島を見るためにもう1年残る決断をした感じですかね。
ー事業所を選んだ理由は?
殿西さん:
島体験の時は、西ノ島町観光協会で働く形で財団に所属していました。
それは島前3島の中で西ノ島に住みたかったんだけど、当時は家が足りなくて海士町に住むことになって…。何かしらの形で西ノ島に関わりたいってことで仕事を用意してもらえたことがきっかけです。
そういうこともあったから、4月からは観光協会ではなく財団の一員として「家がない・仕事がないから西ノ島では暮らせないかなあ」ってなってしまうのを少しずつでもなくしていけたらいいなと思って。
ーそうだったんだ、ちなみに何で島前の中で西ノ島がいいなと思ったんですか?
殿西さん:
完全に直感やね。非日常が当たり前にあるというか。
飛行機乗り継いででも見たくなるような絶景―それこそ摩天崖とかに車で10分で行けちゃうようなところとか。
二日酔いを摩天崖で癒したりとかしてるもん(笑)
それってこっちにいるからこその贅沢だし。
島での仕事と生活
ー実際に働いてみてどうですか?
殿西さん:
毎日のように違う仕事をしているから……めまぐるしくて、気づいたら8ヶ月経ってて…。
島体験の頃も、内航船が止まった時とかは海士町で空き家清掃もしたし、
4月からは体験生/留学生が来島する度にアテンドしたり、島後(隠岐の島町)にも行ってるし、ホテルでも働いているし、イベントの手伝いもあるし…。
飽きひんね。最近は「仕事何してるの?」って言われたら「何でも屋してる」って答えてる。
自分は正直、飽き性なところがあるから、今の働き方は合っているのかもしれない。
スローライフを求めてきたところもあるんだけど、実際に今そうではないし。でもその忙しさを楽しんでいる自分もいるかもしれない。
予定のない休みとか大好きやって、前職の時は連休があったら2日間家から一歩も出ないみたいな日もあった。でも今は平日や土曜なんかは外に行く機会が多くて、そういう意味では思っていたスローライフとは違うけど、楽しく思えているかな。
ー仕事でやりがいを感じることは何ですか?
殿西さん:
やりがいとまでいかんかもしれんけど、お試し移住ツアーとか島体験/島留学のイベントで顔を合わせた人たちが、実際に島に来てくれたときとか。
2泊3日のイベントに参加してくれた人が「島体験、楽しそうだと思ったので来てみました!」って8月生として来てくれたり。
「あの時ありがとうございました!」って覚えていてくれたりするのが嬉しい。
大人の島留学のインスタライブでコメントをくれた人が、東京のイベントにも来てくれたり。自分が何かした訳ではないけど、何かのきっかけになってるというか、話のタネになっているのは嬉しいかな。
━逆に大変なことは?
大変なことは色々あるけど……想像していたよりスローライフじゃないことかな。
「島は時間の流れが違います」とかも聞くけど、時間はどこ行っても一緒やな(笑)
あとは「ワーク・ライフ・ミックス」に近いから、プライベートが忙しいのか仕事が忙しいのか分からなくなったり。
体力的にはしんどいこともあるけど、精神的にはこっちに来てからの方がだいぶ楽にはなったかも。
都会の忙しさとはまた違った忙しさというか。
ー来島して何か変化はありましたか?
殿西さん:
なんやろ、人に興味を持つようになったかも。
前は京都に住んでて、観光地から観光地に出勤してて、言ってしまえば
すれ違う人はもう一生会わない人達だからどうでもよくて。
でもこっちに来てから自分も段々とすれ違う人を覚えていくし、逆に覚えてくれたりして。
この車の人ここで働いてるんだ、この時間に自転車漕いでるってことはあの人だな、とか。
縁あって始めたカクテルバー
ー殿西さんがバーテンダーをしてる「Cocktail bar TONOZ」の話を聞かせてください。
殿西さん:
海士町にいた時に、間借りでバーをやってるIターンの方がいて、
こういうのを西ノ島でやりたいなと思って。
軽い気持ちで海月堂の小山さんに言ったら、全面協力していただいてどんどん話が進んで。
このバーを通じてめっちゃ顔が広がったかも。
海月堂さんがすごいPRをしてくれているから、海士町でも「バーのあの子だよね」って声をかけてもらえたり。
中には予約して来てくれた旅行客の方もいて。それくらい色々な人が来てくれる場所になれているのかなって...。
殿西さん:
「バーをします!」って周りの飲食店さんとかに挨拶した時も「いいねやりな~~」って言ってくださったり。
自分で声に出したら周りが応援してくれる環境だと思うし、そういうところで島のあたたかさを感じた。
何でも言ってみるもんだなあって。
さいごに
ー島留学を終えた後のことは考えてますか?
殿西さん:
島に残ろうかなとは思っていて。自分が主体で進めている仕事とかもあるし。
でも正直、まだあまり考えていないかも。島に来てから働き方って無限大なんだなって気付いたし。
ただ今の時点でひとつ決めてることは、帰る時に心から「西ノ島好きだな」って思って帰りたくて。今は嫌いとかではもちろんないんだけど(笑)
お客様としてではなくて、島の一人の人間として、「2つ目のふるさとは西ノ島です!」って言えるくらいにはなりたいかな。
ーー最後に!島に興味のある方へメッセージをお願いします。
殿西さん:
ノリで来てみたらいいんじゃないかなあ。
特に(島体験の)3か月ってちょうどいい期間で、物足りなければもう少し残ればいいと思うし。
来る前に考えるより、来てから考えればいいと思う!
あとがき
同じ西ノ島の島留学生である殿西さん。
仕事やカクテルバーなど多方面で活躍していて、私も刺激をもらっています。
この記事を通して少しでも西ノ島での生活が皆さんに伝わると嬉しいです。
お読みいただきありがとうございました。
(R5年度 大人の島留学生:露木)
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