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妖怪と怨霊の日本史


妖怪と怨霊の日本史

 本書のタイトルと内容には、少し、齟齬【そご】があります。
 『妖怪と怨霊の日本「古代」史』なら、評価の星を満点にしたかったです。

 古事記や日本書紀に書かれる古代から、中世の南北朝時代までは、詳しく、よく書かれています(^^)
 その後の時代は、いきなり省略されてしまっています。日本史全体を見通しているとは、言えません。

 とはいえ、日本史や、妖怪、怨霊に興味がある方にとっては、読む価値があります。非常に興味深い視点を、提供しているからです。

 本書の著者がおっしゃるとおり、日本史は、妖怪や怨霊を抜きには、語れません。
 妖怪や怨霊には、実体はありませんが、確かに、歴史を動かしてきました。有名な例では、菅原道真の怨霊が、朝廷に影響を与えましたね。

 実体がなくとも、昔の人が「妖怪」や「怨霊」という概念を生んだことには、意味があります。
 その概念が、歴史を動かしてきたのです。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。



第一章 妖怪立国
 ひとつ火とケガレ/目一つの鬼/「八」の霊蛇/蛇神の戦い/女神を殺すもの/
 最後の星/海からきた女/織り込まれるざわめき

第二章 ツチグモ虐殺と蛇神の威力
 ツチグモと地名の記憶/霊剣フツノミタマ/三輪山の蛇神/祟りの効用

第三章 哀しき雷神
 捕縛される雷神/インフラ整備と妖怪/雷神と聖王/狐と雷神の子供たち/
 宇宙樹の争奪戦/狐の追放/神々のボランティア/雷神の孤愁

第四章 怨霊と平安
 怨霊の誕生/犬と冥界/死霊と疫神/陰謀と怨霊たち/平安への闇路/
 怨霊の祭祀

第五章 怨霊の心
 愛欲の天狗/天狗の正体/紺青鬼【こんじょうき】と天狗/幽霊の誕生

第六章 雷神の大暴れ
 人喰う犬/雷神の道真/怨霊の軍団/雷神の再編成

第七章 聖剣の喪失と新生
 崇徳院の誓い/龍宮へ還るもの/新時代の神話

第八章 狐の逆襲
 清盛、狐に出会う/狐と龍神/高貴にして生臭く

第九章 末法の魅惑
 後鳥羽院の天狗化/妖霊星の降臨/悪の宝剣/霊界のシャドー・キャビネット/
 呪いの終わり?/絶滅と復活

あとがき
参考文献



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