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日本妖怪変化史 (中公文庫BIBLIO)


日本妖怪変化史 (中公文庫BIBLIO)

 「妖怪を分類する」という、とてつもなく困難なことに、挑んだ本です。
 そして、それは、かなりの部分、成功していると思います。

 二〇〇四年に中公文庫から出た本ですが、元は、大正十二年(!)に出たものです。柳田国男が『妖怪談義』を出すより前です。日本語の妖怪関係の文献としては、非常に早いものの一つですね。
 この点だけで、妖怪好きなら、本書を読む価値があります。

 妖怪という、まさしく雲をつかむような相手を、さまざまな視点でもって、分類を試みています。出現の原因、出現の時期、出現する場所、姿かたち、言語をしゃべるか否か、能力、弱点などです。
 妖怪の性別や、年齢や、職業までも推察しているのですから、驚きです。

 とにかく、どこを読んでも、具体的な妖怪の例が載っています。それについて、詳しく考察までしてくれています。こんな良書が、『妖怪談義』ほどには有名でないことが、惜しまれます。

 特に、「第二章 妖怪変化の沿革」には、注目ですね。日本の歴史に沿って、妖怪の歴史が語られています。ここを読めば、日本の妖怪の歴史が、おおむねわかってしまう、優れものです。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

自序

日本妖怪変化史
 第一章 序説
 第二章 妖怪変化の沿革
 第三章 妖怪変化の生成ならびに出現の原因
 第四章 妖怪変化の出現の時期・場所と景物
 第五章 陰火と音響
 第六章 妖怪変化の容姿と言語
 第七章 妖怪変化の性、年齢、職業
 第八章 妖怪変化の能力と弱点
 第九章 結語

文芸上に表われたる鬼
火の玉

解説 香川雅信
索引



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