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須弥山と極楽―仏教の宇宙観


須弥山と極楽―仏教の宇宙観

 仏教は、日本人に馴染みのある宗教ですね。
 その割に、仏教の世界観は、知られていません。

 本書は、仏教で、世界がどのようなものと考えられていたのかを、解説しています。
 おそらく、この分野では、最も基礎的で、わかりやすい本でしょう(^^) 初心者にも、ある程度知識のある方にも、お勧めします。

 とはいえ、仏教的世界観は、理解するのが、決して楽ではありません。あまりにも、スケールが大きいためです。細かい数値にこだわると、全体が見えなくなってしまいます。

 何しろ、題名にある須弥山【しゅみせん】自体が、高さが五十六万キロメートルもある山(!)だというのです。これが、私たちの住む世界の中心に、そびえ立っています。
 須弥山の周囲は、七つの山脈が取り巻いています。山脈の外側には、海があります。その海の中に、四つの州(大陸)が浮かんでいて、そのうちの一つが、人間が住む世界で……と、この辺まで来ると、普通の人は、ギブアップしたくなるでしょう(^^;

 とりわけ、初心者は、数値にこだわらないほうがいいです。「だいたい、こんな感じ」で、理解しておくのがいいと思います。

 仏教の世界観には、地獄と天界と極楽とがあります。
 地獄は、わかりますよね。生前に悪いことをした人が、死後に赴く場所です。
 では、天界と極楽とは? どちらも同じではないのでしょうか?

 じつは、仏教における天界と極楽とは、違うものなんですね。一般的には、混同されていますけれども。
 本書を読めば、違いがわかります。この違いを説明できたら、ちょっと、格好いいですよね(笑)

 その他、本書には、仏教を起源とする言葉の説明が、いくつも出てきます。
 例えば、金輪際【こんりんざい】という言葉が、仏教の世界観に由来することを、御存知でしたか?

 こういった言葉の説明を読めば、仏教思想が、日本の文化に、いかに密接に関わっているかを知ることができます。
 自分の国の文化を知るのは、大切なことですよね(^^)

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

まえがき

1 人間は宇宙をどう把【とら】えたか
 1-須弥山【しゅみせん】説の世界
 2-仏教に説かれたインド亜大陸
 3-太陽と月

2 仏教の”地獄と天界”
 1-地獄の世界
 2-天界の構成
 3-禅定【ぜんじょう】者の世界

3 極大の世界と極微【ごくび】の世界
 1-三千大千世界
 2-物質の根源 四大と極微

4 仏教宇宙観の底を流れるもの
 1-時間と人生
 2-宇宙の生成と消滅
 3-業【ごう】と輪廻【りんね】

5 西方【さいほう】浄土の思想
 1-娑婆【しゃば】と極楽
 2-西方浄土の思想の起源

6 地獄はどう伝えられたか
 1-エンマの変身
 2-三途の川
 3-賽【さい】の河原と地蔵菩薩

7 仏教の宇宙観と現代
 1-実践的宇宙観から神話へ
 2-仏教の宇宙観が示すもの



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