火星年代記
あまりにも有名な、SF小説の名作です。
SFといっても、全然、難しくはありません。小難しい科学描写や、科学理論は登場しませんから、御安心を。
SFというより、ファンタジーに近い作品ですね。
ページをめくって、読み始めれば、たちまち、文章の魔術に、引き込まれるでしょう。
本書の作者、レイ・ブラッドベリ氏は、文章の魔術師です(^^) 火星の風景を、地球から飛び立つロケットの風景を、誰が、こんなに美しく書けるでしょうか?
本書は、短編小説集です。年代順に、地球と火星の様子が描かれます。全部を読み通せば、まさに『火星年代記』になっています。
短編集ですので、まとまった時間が取れない時にも、少しずつ読み進めやすいです。
でも、一度、読み始めたら、止まらないかも知れません。それほどに、読みやすく、どきどきさせる文章が、並んでいます(^^)
この世界では、正真正銘の火星人がいたことになっています。彼らの生活ぶりも、描かれます。
地球人と火星人との邂逅【かいこう】も、描かれます。
それぞれ、違う惑星で育った知性体は、違う文明を持っていました。異文明接触の際に起こる悲劇が、余すところなく書かれています。
本書の原作が発表されたのは、一九五〇年です。本書の中には、二〇一二年現在から見れば、過去に当たる時代のこともあります。
本書と違って、二〇一二年現在、私たち地球人は、火星への有人飛行を果たしていません。ですから、本書にあるような愚行を、私たちは、火星で行なってはいません。
とはいえ、本書に登場する地球人と比べて、私たちが賢いかどうか……考えさせられます。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
年表
まえがき・ノート
一九九九年一月 ロケットの夏
一九九九年二月 イラ
一九九九年八月 夏の夜
一九九九年八月 地球の人々
二〇〇〇年三月 納税者
二〇〇〇年四月 第三探険隊
二〇〇一年六月 月は今でも明かるいが
二〇〇一年八月 移住者たち
二〇〇一年十二月 緑の朝
二〇〇二年二月 いなご
二〇〇二年八月 夜の邂逅
二〇〇二年十月 岸
二〇〇三年二月 とかくするうちに
二〇〇三年四月 音楽家たち
二〇〇三年六月 空のあなたの道へ
二〇〇四年―〇五年 名前をつける
二〇〇五年四月 第二のアッシャー邸
二〇〇五年八月 年老いた人たち
二〇〇五年九月 火星の人
二〇〇五年十一月 鞄店
二〇〇五年十一月 オフ・シーズン
二〇〇五年十一月 地球を見守る人たち
二〇〇五年十二月 沈黙の町
二〇二六年四月 長の年月
二〇二六年八月 優しく雨ぞ降りしきる
二〇二六年十月 百万年ピクニック
訳者ノート