【月の歌5選】90年代を彩ったアーティストが描いた月の表情を愉しもう
あなたは「月」と聞いて
どんなことを思い浮かべるでしょう。
月にまつわる歌は数多くありますが、
90年代を彩ったアーティストたちが描いた
月の見える風景を、今宵は一緒に楽しみませんか?
たま / 海にうつる月
月を愛でる習慣は古くは縄文時代に遡り、平安時代には貴族の間で「お月見」がファッションだったそうです。
当時の貴族は空を見上げるのでなく、船の上でお酒に親しみ、詩歌を戯れながら、水面に映る月を愛でていたと言われています。
私たちの祖先は、貴族階級の話とはいえ、実に風流なことをしていたのですな。
パリピがナイトプール行くみたいな感覚だったんでしょうか。
たまの海にうつる月は1991年にリリースされ、川崎製鉄のCFソングに使用されていた楽曲。
このメロディと歌詞、朧げに記憶がある方もいるのでは?
ひたすら美しい曲に、不思議な世界観の歌詞が重なり、幽玄の月夜の情景が浮かび上がってきます。
THE YELLOW MONKEY / 月の歌
THE YELLOW MONKEYの月の歌は、1995年11月にリリースされたアルバム"FOUR SEASONS"に収録された1曲。
バンド初のオリコンチャート1位を獲得した記念すべきアルバムから、初期イエモンの特徴である"グラム歌謡"の風情ただよう楽曲です。
この頃のイエモンはダークな世界観が漂っていましたが、この曲にも陰鬱としたムードが充満しています。
月の歌では、古今東西の物語に描かれてきた「人を狂わせる月」に焦点を当てながら、「願いに答えない沈黙する存在」として"月"をとらえているようです。
月に内なる狂気を投影するあたりが吉井和哉らしく、演奏面でも間奏のアコギソロが美しい良曲です。
桑田佳祐 / 月
1994年8月に8cmCDとカセットテープでリリースされた楽曲です。
(余談だけど、8cmCDもカセットテープも懐かしい!)
wikipediaによると、この曲はお母様を亡くされたことが影響しており、お母様を送る歌なのだそうです。
当時そのような経緯は全く知らず、ブルースのエッセンス漂うメロディに、孤独にさすらう男のわびしい心情をつづった歌詞に、いいしれぬロマンを感じたものでした。
月に「孤独」を重ね、孤独を癒すものとして眺めることは、誰にもあるのではないでしょうか。
日本的な情緒をブルージーに演出した、桑田佳祐の名曲の1つと思います。
エレファントカシマシ / Moonlight Magic
エレファントカシマシは、90年代にヒットした"今宵の月のように"など、多くの"月"にまつわる楽曲を生み出しています。
Moonlight Magicは、2010年10月リリースの"悪魔のささやき〜そして、心に火を灯す旅〜"に収録されたアルバム1曲目のタイトルです。
この曲の中で"月"は、ふだんの生活をたゆまず営み、その日いちにちを終えた私たちを、陰ながら祝福する存在として描かれています。
私たちが眠りについているその間、月は私たちをそのやさしい光でつつみ、静かに勇気づけてくれているのかもしれません。
季節や自然、風景の移ろいを描きとるエレカシ宮本ならではの、独自の感性から紡がれた心に残る1曲です。
aiko / 月が溶ける
90年代後期にデビュー、昨年デビュー25周年を迎えたaikoが、2017年11月にリリースしたシングル"予告"に収録されたカップリング曲です。
インタビューによれば、
「“ありがとう”と何度も言われると、それが“さよなら”に聞こえてしまうくらい相手のことがどうしようもなく好きなときのこと」
をテーマにしているそう。
aikoは、切なく感じる一瞬の出来事を捉える感性と表現力に秀でていますね。
恋しい人を思い、涙しながら夜空を見上げたとき、その目に映った月が涙で滲んださまを「月が溶ける」と表しています。
主人公のまなざしに聴く側も同化して、その心情を共有することにつながってゆきます。aikoの瑞々しい感受性が心にひびく、切ない名曲です。
このMVでは、最後にアカペラでaikoが歌唱しています。
浜辺にさざめく波の音が、風にそよぐaikoの歌声に調和して、その美しさに目と耳が釘付けになります。
***
いかがでしたか?
"月"と一言でいっても、
孤独や寂しさ、恋しさや儚さ、はたまた狂気、祝福…
とさまざまな表情をとらえることができそうです。
月をモチーフにした曲を改めて探究してみて、
アーティストそれぞれの卓越した感性や、
豊潤なクリエイティビティに感服するばかりでした。
今宵、月を眺めながら、皆さんにとって素敵な音楽をお供にお楽しみいただけたら。
▪️プレイリストも作りました
夜のお散歩やドライブでもお楽しみいただけるよう、本記事で挙げた楽曲をまとめたプレイリストも作りました。
よろしければご査収ください。
✔️ 最後にすこしだけ・・・
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