人手不足は劇的に解消。おてつたびであれば地方に確実に人が来てくれる【おてつたび/受入先インタビューvol.12】(和歌山県・碧き島の宿 熊野別邸 中の島)
和歌山県にある南紀勝浦温泉の旅館「碧き島の宿 熊野別邸 中の島」の社長・山尾友二さん。旅行が大好きで、20代の頃はバックパッカーとして世界中を飛び回っていたといいます。
旅館があるのは、勝浦湾に浮かぶ小さな島。島そのものがひとつの旅館という珍しいロケーションです。アクセス手段は船だけで、非日常が味わえる静かな空間が人気を呼んでいます。現在、客室数は44室、従業員は49名で稼働しています。
2021年からおてつたびを利用している山尾さんに、サービス利用のきっかけやおてつたびの魅力についてお聞きしました。
おてつたびを利用したきっかけは?
約10年前から人手不足に悩んでおりました。新型コロナウイルス流行前からインバウンドの外国人旅行者が増え、宿泊業は全国的に人手不足になりました。地元は高齢化が進みなかなか人が見つからず、新聞広告で募集をかけても反応すらない状況。それまで頼っていた大手派遣会社でも、人手不足の影響で人が集まりにくくなっておりました。
そんな中、2021年におてつたびを知りました。日本旅館協会の集まりがあって、そこでおてつたびの資料をいただいたんです。その資料を見て「これはいける!」と直感で思いました。
私自身も昔、バックパッカーで旅をしていました。そこで私が求めていたのは、名所を巡ることよりも、現地の人と交流し、その土地に住むように滞在することでした。「きっと、同じように思っている方が多いのではないか」「おてつたびなら人が集まる」と思いましたし、仕組みも非常に工夫されていると感じたのですぐに導入を決めました。
おてつたびを利用する前に不安だったことは?
現場から反対の声は一切ありませんでした。みんな「やってみよう!」という前向きな姿勢でしたね。
ただ「旅」と「お手伝い」を掛け合わせているので、来て下さる方が「お手伝い」をどう捉えるのか少し不安ではありました。もしかしたら仕事へのモチベーションが低いのでは…?こちらが配慮したつもりでも、仕事を押し付けられたと思われてしまわないか…?など、双方で認識のギャップが生まれないか懸念していました。
就業時間についても悩みましたね。最初は「自由時間が多くないと観光できないかな」「半日ぐらいの仕事がいいと言われるのではないかな」と心配でした。
現在、おてつたびの方には一日8時間ほど働いていただいています。仕事終わりに温泉に入ったり、お休みの日には熊野三山、伊勢など観光をしたりして楽しんでくれています。
泊まるお部屋はツアー添乗員などが泊まる部屋、食事は従業員食堂を使ってもらい、お風呂はホテルの温泉に入ってもらいます。今のところ不満のお声をいただいたことはなく、安心して受け入れることができています。
どんなことをやってもらっている?
初めておてつたびの方を受け入れたのは2021年12月でした。お客様の荷物運び、レストランの下膳や洗い物など主に裏方の業務をやっていただきました。それぞれ担当部署の人に、おてつたびで来たみなさんの教育をお願いしました。
最近では参加者の経歴やスキルに合わせて業務をお願いすることもあります。中にはこちらがびっくりするくらいホスピタリティに溢れる方もいますので、お客様と直接関わる業務をしていただくこともありますね。
受け入れ当初は、コロナ流行などの波があったので、年末年始やGWのみお手伝いを募集していました。ですが、ここ最近はコロナ前を上回る勢いでお客様が戻って来ていて慢性的に人手不足になっているので、常におてつたびの方が4〜5名いる状態です。おてつたびで働いていただけるのは最長で2ヶ月なので、期限が近づくと新たな募集をかけるサイクルになっております。
おてつたびを受け入れた感想は?
これまでに73名以上の方に来ていただきました。みなさん非常に前向きで、能動的に取り組んでくれて助かっています。
おてつたびの参加者は、数ある事業者の中から、自分の意思で「ここで働きたい!」と当旅館に応募してくれています。だからこそ自発的に行動してくれる方が多いのではないかと思いますね。
印象に残っているおてつびと
昨年の夏に来てくれた大学生の男性が非常に印象に残っています。彼は素晴らしいホスピタリティを発揮してくれました。
ある時、チェックイン時に行き違いがあり、女性のお客様をご気分を損ねてしまったことがあったんです。その女性は、夕食の時もまだ納得がいかない様子でした。
そんな時、ホールにいた大学生のおてつびとが、誰から指示があったわけでもないのに、スッとその女性に歩み寄ったんです。そして、しばらく彼女のテーブルでお話しするうちに、女性の顔に笑みが戻り、お料理やお酒を楽しんでいただけるようになりました。
その彼は接客の経験があるわけではなかったのですが、女性の好きなお酒について触れながら、一緒におしゃべりを楽しんだんだそうです。嬉しそうにお部屋に戻る女性の後ろ姿を見ながら、彼の思いやりや機転の良さに本当に驚きましたし、ありがたい気持ちでいっぱいになりました。忘れられない出来事でしたね。
人手不足に悩んでいる宿泊施設の方にひとこと
おてつたびを利用して、人手不足の課題は劇的に解消されました。募集を出したらすぐに応募が来て、「こんなに来るんや」とびっくりするくらいです。最近はリピートしてお手伝いにきてくださる方も出てきています。
レスポンスも早いし、来てくれるのは素敵な方ばかり。想像以上に助かっています。
人材の安定供給があることは、お客様への対応に役立つだけではなく、従業員の負担軽減にもなっています。健全な労務環境を保てることで、社員の定着にもつながっています。若い従業員も同世代のおてつたびの方との交流を楽しみながら、生き生きと働けるようになったと感じています。
これから地方での人手集めはますます深刻化すると思います。でも、おてつたびというサービスがあると、地方に確実に人が来てくれるようになるんです。
私たちはこれからも利用したいと考えておりますので、接客業に興味のある方や、ホスピタリティマインドをお持ちの方は、お手伝いにきていただけたら嬉しいです。
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【取材・執筆:やまくぼ(おてつたびライター)】
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