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中山道600km自転車旅ハネムーン(DAY4 前編・峠越え)

こんにちは。アラサー女のOtamaです。
私達夫婦は2021年4月30日から5月8日にハネムーンチャレンジをしました。
自宅から目と鼻の先の「蕨宿(埼玉県)」からオットの生まれ故郷「京都」を結ぶ「中山道(約600km)」を自転車で駆け抜るというものです。
トラブルありケンカあり愛情ありの濃密な9日間。
それでは、しゅっぱ~つ!
中山道600km自転車旅ハネムーン(DAY3 後編・溢れ出る涙)の続きです。

I. オットの胃袋はブラックホール

6:30
目は覚めたのですが、昨日までの疲労でなかなか体を起こせません。
30分ほど布団の上でウダウダしていると朝食の時間になり、おかみさんが部屋の扉を叩いて呼んでくれました。

食堂には私達のほかに3組ほどのお客さんがいました。私達は一番厨房に近いテーブルに座ります。
厨房はオープンキッチンタイプで、オーナー(兼シェフ)が中から「昨夜はずいぶん遅かったようだね。」と声をかけてくれました。

クロスバイクがパンクし、7㎞先の小諸市のサイクルショップに戻ってからここまで来た話をすると、

「自力で来れただけ優秀、優秀。色んな理由で足止めになったお客さんを車で迎えに行くこともあるんだよ。」

と笑ってくれました。

本日越える和田峠のことや麓の下諏訪町のおすすめスポットをオーナーに聞きながら朝食を頂いていると、米びつにある白米を食べ切ってしまい、オットがおかみさんにおかわりをお願いして茶碗を差し出しました。
するとオーナーが「一杯じゃ足りんだろう。」と言って、米びついっぱいに白米をよそってくれました。

「オレも若い時はどんぶり茶碗で8杯くらい食べたもんさ。白米を掻き込みながらなぜか腹が減っていくんだよなあ。」

なんとオットはおかわりの米びつも一人で平らげてしまい、ダメ押しにお茶碗一杯のおかわりをお願いします。
オーナーは笑顔で、大盛一杯の白米をよそって下さいました。
(あの時は本当にありがとございました。)

朝食を終えて食堂で一息ついていると、50歳ほどの男性が私達のテーブルに近づいてきました。彼も本日、和田峠を越えるのだそうです。

「僕も自転車で峠を越えます。僕は先に出ますけど、小さい自転車なので追いつかれると思います。お互い頑張りましょうね。」

お互いの健闘を称え、私達は部屋に戻って出発の準備に取り掛かりました。

II. 和田宿本陣跡

8:00
事前に頼んでいたお弁当をおかみさんから受け取り、出発。
本日は最大の難所である和田峠を越えます。峠越えにどのくらいの時間を要するか、どれほど体力が削られるかが未知数だったので、まずは麓の下諏訪宿(長野県下諏訪町)を目指し、余裕があればその先を目指すことにしました。そのため本日の宿泊先は予約しないで出発します。

いまこの辺です。

空は快晴。あたりは山、川、畑に囲まれていて空気が澄んでいます。

オットは私の視界から消えないように気にして走ってくれます。
私は三度同じ轍は踏むまいと、地面に注意して慎重に進みます。

国道142号線を進んでいると「和田宿本陣跡」を指す標識を見つけました。
並行している隣の通りが本当の中山道で、そこに和田宿があるようなので寄ってみました。

「本陣」とは、大名や旗本、幕府の要人など身分が高い人専用の宿泊所で、どこの宿場町にもあります。

和田宿本陣跡

しばらく進むと前を行くオットが停止します。「一里塚跡」がありました。
一里塚は慶長九年に徳川家康が作らせたもので、主要街道に一里(3.93m。人が1時間歩くおおよその距離)ごとに盛られた塚のことです。

今回の旅のテーマの一つである「中山道(街道)を辿る」という点にはあまり関心がなく、ただ前進することに熱を注いでいたオットが一里塚を見てわざわざ停止し、写真を撮って楽しんでいるので、その心境の変化に私も嬉しくなりました。

一里塚(オット撮影)

III. あえて困難な道を行く

次第に上り坂になっていきます。
クロスバイクを引いて歩いていると、小さく前方に見えるオットが私を待っています。

オットに追いつくと、目の前に緑色の機械がありました。本体には「定置式凍結防止剤自動散布装置」と書いています。これがどうかしたのかと私の頭の中にはハテナが3つ浮かびます。

「???」

見直すと「まきえもん」という文字。
「まき」は私の本名なので、オットはそれに気付いてほしかったようです。
ちょっとだけ面白くて、息抜きになりました。

まきえもん

10:00
いよいよ、和田峠への分岐点「男女倉口」に到着。
ここで右折すると和田峠、まっすぐ進むと新和田トンネルがあります。
新和田トンネルは自転車1台につき50円で通行でき、和田峠の激坂を登らずに峠の向こう側にショートカットすることができます。

オットは私に問いました。

「どっちで行くか?」

私は和田峠を登って越えるつもりではいましたが、ここまでの上り坂にうんざりしている、という本音もあり、即答できません。

するとオットが提案します。

「ジャンケンでオレが勝ったら和田峠を行き、ツマ(私)が勝ったら新和田トンネルで行こう。」

承諾して、いざ、じゃんけん。

私が勝ちました。
ということは新和田トンネル経由のショートカットコースに決定です。
・・のハズですが、提案をしてきた張本人が長考します。そして・・・

「オレが負けたけど、和田峠から行かない?」

・・・ジャンケンの意味とは!!!!?!?

そしてオットは、

「頂上で会おう。」

と言い残し、早々に登って行ってしまいました。

やはり「一緒に登る」という選択肢はないか、と残念な気持ちになりましたが、私もメソメソ悲しんでいる場合ではありません。

気合を入れ直し、坂の傾斜に合わせてギアを変えて常に同じ力で踏み込めるようにし、そして時折歩いて、ひたすら、ひたすら、頂上を目指しました。

途中、車やバイクですれ違う方が手をあげたり声援をくれたりしたのが励みになりました。

男女倉口。標高1100m
和田峠の上り坂

IV. 和田峠の名水「黒曜の水」

男女倉口から30分ほど登ると茅葺屋根の接待(茶屋)が見えてきます。
その駐車場にオットのロードバイクが置いてありました。
その横に私のクロスバイクを置いて、正面の茶屋に向かおうとすると、ホースからこんこんと流れる湧き水を見つけました。
「接待の湧き水・ご自由にどうぞ」と書かれています。

両手ですくって飲むと冷たくて美味しい。
そして私の後ろには18リットルのポリタンクを持った方が並んでいます。
しばらく様子を見ると、また車が来て水を汲んでいきます。

後から知りましたが、この「接待の湧き水」は長和町の良質な黒曜石にろ過された「黒曜の水」として有名なのだそうです。

茅葺屋根の茶屋に入るとオットは座禅を組んで瞑想していました。
その横で私は、おかみさんからいただいたお弁当(大きなおにぎりとゆで卵、魚肉ソーセージ)を食べました。

11:00
30分ほど休憩し、駐車場にたたずんでおられるお地蔵様にご挨拶し、頂上に向けて再出発しました。

接待の湧き水
茶屋と瞑想するオット
お地蔵様

DAY4 後編につづく・・・


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