見出し画像

映画「ぼくを葬る」感想

自分の人生が残りわずかだと分かった時に
実際にどう考え、どう行動するんでしょうかね?

余命3ヶ月と宣告された主人公は、
恋人にも家族にもその事を打ち明けず、
ひとり残りの余生を過ごすことに。

生死観をテーマにしたこの映画は
共通点がまったくない主人公の話ですが、
すごくシンパシーを感じ、
感銘を受けた作品となります。


上映時間:81分
制作国 :フランス
公開日 :2006年4月22日
ジャンル:ドラマ

あらすじ・解説

パリで活躍しているファッション・フォトグラファーのロマン(メルヴィル・プポー)は、ガンで余命3か月だと宣告される。化学療法を拒み、家族や恋人にも病気のことを話さず、たった1人で死を受け入れることを決意する。そんなとき、夫に問題があって子どもができない女性ジャニィ(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)と知り合うが……。

解説: 余命3か月と宣告された31歳のフォトグラファーが、死に直面したことにより自分自身を見つめ直す姿をつづったヒューマンドラマ。監督は『8人の女たち』の名匠フランソワ・オゾン。『まぼろし』に続き“死”を題材に取り上げたオゾン監督の分身とも言うべき主人公を、『夏物語』の実力派俳優メルヴィル・プポーが演じる。穏やかで静かな語り口と、主人公の心の葛藤を細やかに表現したプポーが印象的。

引用:シネマトゥデイ

みどころ・ポイントについて


全く共通点のない主人公に共感

フランスという土地、
ゲイというマイノリティー、
ファッションフォトグラファーという
優美な職業。

どれひとつとっても私と主人公の共通点はない。

だが、この作品を観ると
シンパシーを感じて、深く共感してしまう。

それは自身に置き換えた時に、
たぶん自分も同じような決断を下していたかも。。
っと思える主人公の心理描写がとても秀逸です。

ガン宣告をされて
残り3ヶ月あまりの余命となった主人公。

公園のベンチで深くうなだれ
静かに泣き出す。。

顔アップではなく、とても遠くからのショット。
セリフもなく、ただただ静かに泣き出す主人公。

まるでその場に一緒にいるような
不思議な感覚となる映像です。

北野武の映画のように無駄なセリフや演技はなく、
ただその場の空気をありのままに映し出す。

とても情緒を映し出す演出がすばらしい。
さすがフランソワ・オゾン監督といったところです。


ジャンヌ・モローという存在

ガンとなり、余命3ヶ月となったのに、
家族にも恋人にも打ち明けないという選択をした主人公。

ただ、ひとり。祖母だけには打ち明けます。
彼女は昔、奔放な性格から男にだらしなく
親族からも疎遠になっていた存在。

たぶん、主人公のロマンはそんな祖母に対して
親近感があり、ゆいつ打ち明けられる存在だったのかもしれません。

祖母役のジャンヌ・モロー。
フランスの名俳優ですね、、
仕草やセリフひとつひとつが素晴らしく
この映画のワンランク上に持ってきているのは彼女の功績です!


子供帰りする主人公

ガンの告知を受けたが、
入院という選択はせず自分らしく生きることを選んだ主人公。

日に日に病に侵され、苦しむ日々。

抗がん剤の影響か?ボウズになった主人公。
闘病生活ですっかり痩せ細り、
見た目はトレインスポッティングのマークレントンそのもの。

彼は最後に、子供の頃に訪れた海辺に向かいます。
途中でアイスクリームを買い、ぺろぺろ子供のように舐めます。

海辺に到着して、砂浜に腰をつき、
無邪気に海を眺めるシーン。

あ、彼は自身の子供の頃の記憶で彷徨っている!っと思いました。

彼自身記憶に強く残っているものは
晴々しい仕事の成功ではなく、
恋人との快楽ではなく、
いまの家族のなかではなく、
自身が子供の頃に楽しんだ海が
彼の最後に見たかった人生の終わりだったのかもしれません。


以上となります。
こちらの記事について、
良かったら「スキ」や「フォロー」をいただけますと
めちゃくちゃ励みになります!
どうぞよろしくお願いいたします!

では、また次回!

この記事が参加している募集

おすすめ名作映画

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?