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    他のnoterさんからお借りしました。

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    「ウミガメの背中に乗って」前、後編、「風」

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珈琲をもう一杯

ある方からコーヒー豆を戴きました。 パッケージには横を向いた鳥が描かれています。 鳥の名は「ヤマセミ」 漢字では「山翡翠」と書き、 カワセミの仲間なのだといいます。 そう、 池や河で木の枝先などにポツンと止まり、私たち人間の視線を一身に集める、あの美しい鳥の〝山バージョン“とでも言いましょうか 山地や渓流に生息する鳥なのだそうです。 「山翡翠珈琲」は栃木県に在るコーヒーロースターの名称であり、 このコーヒーは、その店のブレンダーの手による「SAKURAブレンド」です。

    • きたやまおさむ著『むなしさの味わい方』

      妙なタイトルだな、と思った。 「むなしさ」は味わうものなのか その問いは、この本を予約し、手元に届くまでの4,5日間、 私の胸から離れなかった。 タイトルに引っ張られて本を買ったわけではない。 きたやまおさむさんはかつて「帰ってきたヨッパライ」という、なんとも変てこりんな曲で一世を風靡した「フォーク・クルセダーズ」のメンバーであり、作詞家だ。 私は、彼が作る曲の、特にその歌詞に強く惹かれていたのだ。 だから、新聞の読書欄でこの本が紹介されているのを目にし、 すぐに買って

      • 気になる空き地

        いつもお詣りに行く神社への道すがらに 気になる場所がある。 それは空き地で、ずいぶんと長いあいだ、草が生い茂っていた。 その草が刈り取られ、建築物の標識が建ったのは、昨年の春先の頃だろうか 標識を読めばどうやら二階建ての住宅が建つらしいが、 工事は実にゆっくりとしたペースで始まり、今に至っている(まだ完成しない) 神社へは月に一度、お詣りに行くのだから、工事現場も1ヶ月ぶりに見ることになるのだが、夏の頃は特に遅々として進まず、1ヶ月経って何処も変わっていない、ということ

        • 「孤独のチカラ」

          久しぶりに本の整理をした。 この先もう読むことはないだろうという本にさよならをするのだが ゴミに出すのは忍びないので、 ブックオフへ持って行くか図書館へ寄贈することにしている。 いつかそのうちに……と先延ばしにしてきた年鑑や図鑑も 思い切って処分する。 あとはハードカバーの単行本が少々、それと文庫本だ。 文庫本はけっこうな量がある。 目に付いた本をまとめて買うことも多く当たり外れがある。 思いもよらず面白い本もあれば、逆もあり、 冒頭の数ページで撤退、なんていうこともあ

        珈琲をもう一杯

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        記事

          谷崎潤一郎のこと

          少し前まで、谷崎潤一郎は私にとって「好きな作家の一人」に過ぎなかった。 遥か昔、高校生の頃に「刺青」など初期の作品を収めた短編集を読んだ記憶があるが、物語の内容をようやく思い出すことが出来る程度で印象は薄く、その後は「潤一郎訳源氏物語』を全巻読むものの、それは源氏物語という作品そのものに惹かれていた為ではないかと思う。 私の思いに変化が生じたのは今から11ヶ月前のことだ。 新聞の読書欄で、現代詩作家の荒川洋治さんによる谷崎潤一郎作「瘋癲老人日記」の評文を読んだことに始まる

          谷崎潤一郎のこと

          〔寒咲きの薔薇いまこそと花ひらく師走の庭よ芳しき香よ〕 この一年noteでの出会いに感謝致します 皆さまどうぞ良いお年をお迎えください

          〔寒咲きの薔薇いまこそと花ひらく師走の庭よ芳しき香よ〕 この一年noteでの出会いに感謝致します 皆さまどうぞ良いお年をお迎えください

          力(ちから)

          暖かい師走 座りの悪い椅子に腰をかけているようで 居心地が悪い。 もっと言えば、気持ちが悪い。 12月22日は冬至ですよと 暦だけが告げている。空回りをしながら。 地球は沸騰しているのだと誰かが言っていた。 悪い冗談であって欲しいと願う。 たとえ私がこの世を去った後であっても 母なる星がぐらぐらと沸騰している様など、 想像すらしたくない。 地球は美しい星であり続け 日本には折々の四季があって欲しい。 タロットカードを一枚引きます。 STRENGTH (力 ちから)

          力(ちから)

          『ロング・グッドバイ』

          久しぶりにチャンドラーの『ロング・グッドバイ』を手に取った。 ちょっとしたきっかけがあってのことなのだが、 パラパラとページをめくるうちに止まらなくなり、100ページ以上も読んでしまった。 あらためて面白い本だなぁと思う。 私が『ロング・グッドバイ』と出会ったのは2010年秋のことだ。 「出会い」なんて言えば大袈裟に聞こえるかもしれないが、 生きているあいだにいったい何冊の本を――繰り返し何度でも読みたくなる、心に響く本を――読むことが出来るのか? という風に考えたとき、こ

          『ロング・グッドバイ』

          新聞がこない朝

          つい先日のこと。 朝、いつものようにポストを開けると そこにあるはずの新聞がなかった。 「ん?」 今日は休刊日? いや、違う。 新聞は配達される……はず。 販売店へ電話をかけた。 けっこう長いあいだ呼び出し音が鳴り、諦めて切ろうとすると、 突然ピーーー」と鳴って留守電になった。 「ご用件をお話しください」 戸惑いながら「○○○の○○○です」と名乗り、朝刊が配達されていないことを告げた。 受話器を置き、こんな風に電話をするのは久しぶりのことだなと思う。 10年以上、同じ店

          新聞がこない朝

          25ヶ月連続投稿と谷崎潤一郎著「東西味くらべ」

          先日、noteから「お知らせ」がきた。 10月31日までに記事を投稿すれば、「25カ月連続投稿」です。 記事を書きませんか? つまり、あなたはだいぶ長いこと記事を投稿していないけれど、ぼちぼち書いてみてはいかが? 10月31日までに書けば25カ月連続投稿ですよ! と、いうことなのだろう。 たしかに 夏の疲れによる体調不良に加え、手指の不調も重なり、記事を書くことが出来ずにいる。 しかし、 noteの端っこの端っこにちょこんと腰をかけているような、こんな私に 25カ月連

          25ヶ月連続投稿と谷崎潤一郎著「東西味くらべ」

          短編小説『風』(2900字)

          私は幼いころから泳ぐことが苦手だった。 生まれ故郷の高知では、家のすぐそばに川が流れ 子供は皆、水遊びをして育つというのに 私には川に対する恐怖心があったのか、それとも何か別の理由からか、 川に入った記憶が一度もない。 その反動なのだろうか いつしか、プールに対する憧れに似た思いが心の中に芽生えていたように思う。 高校生になり、 とある公園の中のプールが、夏休みの間のアルバイトを募集している事を知ると、ほぼ反射的に応募し、採用された。 泳げない私に与えられたのは場内放送の

          短編小説『風』(2900字)

          読書へ誘う書評

          現代詩作家の荒川洋治さんに魅せられている。 彼の詩はもとより、新聞の読書欄などで目にする書評が好きだ。 彼の書評の好ましいところを、幾つか箇条書きにしてみる。 1,ともかく明るい 2,文章が柔らかく、平坦。なのに時々詩のかほりが漂う 3,作品に惚れ込んでいる(たぶん) 4,曖昧な表現がない 5,どうしても読みたくなる 新聞の読書欄で彼の名を見つけた日はそれだけで嬉しくなるし、 読めば軽快な文章に心が躍り、「それならば」、と、たいていの本は誘われるようにして読んでしまう(今

          読書へ誘う書評

          ラブ・マイナス・ゼロ

          こんにちは ここにボブ・デイランの『ラブ・マイナス・ゼロ』という曲があります。 古い曲ですが、名曲です。 原詩は、これでもかというほど繰り返し繰り返し独特の韻を踏み、 彼女はなんだかオオガラスのように わたしの窓べに傷ついた羽をやすめる この、ため息が出るような2行で終わります。 この曲における「0」は、引こうとしても何も引けない、おとなしい「0」ですが タロット・カードにおいて極めて個性的な「0」(ゼロ)のカードが存在します。 多くのタロット・デッキにおいて2

          ラブ・マイナス・ゼロ

          谷川俊太郎の詩集と『楽しく始める「株」1年生』

          時の流れが速い ひと月ほど前ぽつぽつと咲き始めた紫陽花が いま道を塞ぐほどに咲き誇っている 最近、詩集を読むことが多くなった。 その理由のひとつに村上春樹作『街とその不確かな壁』がある。 子易氏は後日、どうして日常的にスカートをはくかということについて、親切にわかりやすく説明をしてくれた。 「ひとつには、こうしてスカートをはいておりますと、ああ、なんだか自分が美しい詩の数行になったような気がするからです」 主要な登場人物のひとり、前図書館長の子易さんが、自身が何故

          谷川俊太郎の詩集と『楽しく始める「株」1年生』

          「中島みゆき詩集」

          心がささくれ立ちそうな日常に 中島みゆきの詩集を読む。 詞集ではなく詩集。 収められている詩は52篇 デビューの頃から最近のものまで、どんな基準で選んだのか、あるいはくじ引きをするようにランダムにピックアップしたのか これといった説明もなく、あいうえお順に並べられている。 いかにも中島みゆきらしい。 この中から私の好きな作品をひとつ。 巻末には、作家の桜木紫乃さんが「メロディーのある文学作品」というタイトルでエッセーを寄せている。 桜木紫乃さんは中島みゆきと同じ北海道

          「中島みゆき詩集」

          偏愛、偏読。されど素晴らしき読書の旅

          人は一生のうちにどれだけの本を読むことが出来るのだろうか 昨年の暮れから今年初めにかけて『カラマーゾフの兄弟』を読んだ後、ふとそんなことを考えた。 もっと早く――出来れば高校の終わり頃までにこの本を読みたかった――とも。 時間に重さがあるとすれば、若い頃の時間と、人生の折り返し点を過ぎての時間とでは、その重量には相当の開きがあるように思う。 いつ、どんな作家と出会い、どの作品を読むのか――そのことが、人生を左右することさえあるかもしれない。 そんなことを考えているうち

          偏愛、偏読。されど素晴らしき読書の旅