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読書へ誘う書評


現代詩作家の荒川洋治さんに魅せられている。
彼の詩はもとより、新聞の読書欄などで目にする書評が好きだ。


彼の書評の好ましいところを、幾つか箇条書きにしてみる。
1,ともかく明るい
2,文章が柔らかく、平坦。なのに時々詩のかほりが漂う
3,作品に惚れ込んでいる(たぶん)
4,曖昧な表現がない
5,どうしても読みたくなる

新聞の読書欄で彼の名を見つけた日はそれだけで嬉しくなるし、
読めば軽快な文章に心が躍り、「それならば」、と、たいていの本は誘われるようにして読んでしまう(今のところハズレはない)。

その彼が、新しく書評集を出したという。
そのタイトルは『文庫の読書』。文庫化された名作100点を対象にした書評集だ。

その本の書評、つまり書評集の書評が、いつもの読書欄に載った。
評者は日本近代文学研究者 持田叙子氏

文庫が大好き。軽くて安くて、年月に耐えた名作が文庫になる。
お得きわまりない。中学3年で初めて買った文庫の装いも覚えている。以来たっぷり読む。

文庫について書くのも好き。文庫愛のつよい著者の書評集はカラフルな文庫もようのカバーで包まれる。粋である。

尾崎紅葉の傑作『多情多恨』をスターターとし、最後はアメリカの読書論『本を読む本』まで。日本と海外の小説を主に100冊の文庫を解説し、批評する。

(中略)

書評には物語のあらすじを紹介する役目がある。著者はそれに努める時もあるし、あまり気にしない時もある。そこが自由でいい。

日本近代文学研究者 持田叙子氏 

毎日新聞2023年7月1日付朝刊


中公文庫『文庫の読書』

とにかく誘惑される。本が次々誘ってくる
(持田氏)

たしかに。どの本も読んでみたくなる。
読書へと誘う、極上の書評集だ。
いつも手元に置いておきたい。

しかし!
この本を、私は購入したその日に失くしてしまった。
予約した書店で受け取り、店内で少し読んだのだが、その後、どこかで落としてしまったようだ。
やれやれ。

仕方がないので、改めて購入しようと思っている。
文庫本は軽くてコンパクトだけれど
失くしやすいのが欠点⁈




猛暑の中、お読みいただきありがとうございます。
ヘッダーの写真は星川が撮影しました。