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谷川俊太郎の詩集と『楽しく始める「株」1年生』


時の流れが速い

ひと月ほど前ぽつぽつと咲き始めた紫陽花が

いま道を塞ぐほどに咲き誇っている

最近、詩集を読むことが多くなった。
その理由のひとつに村上春樹作『街とその不確かな壁』がある。



子易氏は後日、どうして日常的にスカートをはくかということについて、親切にわかりやすく説明をしてくれた

「ひとつには、こうしてスカートをはいておりますと、ああ、なんだか自分が美しい詩の数行になったような気がするからです」

主要な登場人物のひとり、前図書館長の子易さんが、自身が何故スカートをはいているのか、その理由を《私》に説明するくだり)
  村上春樹著『街とその不確かな壁』224ページ


最近、図書館から数冊の詩集を借り出した。そのうちの2冊

谷川俊太郎の詩集『どこからか言葉が』の中から

「名なしのごんべえ」

(略)
名なしというのもすでに一つの名前で
ヒトはコトバですべてを名づける
それゆえ無名という特別な名は
命名以前の星の輝きを保っている
と書くのは美辞麗句に過ぎないだろうか

いのちに渇きながら私はヒトを生きる
名にこびりついた垢をこそげて


さて、
詩集を借りに行ったとき、兼ねて予約しておいたもう一冊の本が届いていた。


少し前、noteの中で、ある方がこの本を取り上げ、「つぶやき」を上げていらした。
夫が株を始めるというので、私も少しは知識を得たいと思い、
図書館に予約しておいたのだ。

初心者向けに分かりやすく書かれているし、
何より字が大きく読みやすい。
「ふんふん」と読み進めていったのだが、

やがて文字よりも数字が目立ち始めると
私の貧弱な脳細胞が拒絶反応を起こす。

頭の中で両手を広げ、「ストップ!」の姿勢をとる自分の姿が見える。
適性」の文字が本のタイトルと同じくらいに大きく、くっきりと浮かんでいる。

適性が無い。平たく言えば向いていないのだ。
私はそこで本を閉じた。

この赤い表紙の本は今、夫があちらこちらに付箋を貼りながら熱心に読んでいる。
どうやらとても相性が良さそうだ。

私はやはり、「詩の数行になる」ことをもう少し追求していたい。



お読みいただき、ありがとうございます。
ヘッダーを含め、写真はすべて星川玲が撮影。
※書籍は横浜市立図書館の蔵書です。