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コーヒーショップギャラン
あー、おなかいっぱい。
そう言いながら彼女はお腹をさするけど、とてもいっぱいになったとは思えない、それはそれはペラペラなおなか。
テーブルには山賊焼という名前の揚げ鶏と、添え物のカットレタスがちょこん。
わたし葉っぱ食べるから、お肉食べていいよ、と、ペラペラおなかをさすりながら言うから、ありがとう、と言う。
僕ももう食欲はないけど、とても貧相な、懸賞金もかかっていないような弱々しい山賊を、胃に流
やっぱりなんでもない
散歩してたら、すごく細い道に、小さな鳥居が建っているのを見つけたよ、とか
その鳥居の隣に、食紅を垂らしたように鮮やかな花が咲いていて、ちょっと嫌だった、とか
朝の電車で高校生が、ずっと高校生でいたいって話していて眩しかった、とか
近所の和菓子屋さんで、お芋のソフトクリームが食べられるらしいよ、とか
西友で売ってたドレッシングが意外と美味しかったよ、とか
多分、こういうことを文字じゃなくて
生活は映画のようにゆっくりと
音楽で飯を食いたかった。
良い音楽を作り続けたい、ではなく、音楽で飯を食いたかった。
自分の作った音楽でMステに出たかったし、ドラマのエンディングで流れてほしかったし、カラオケで誰かの部屋から漏れ聞こえてほしかった。
音楽を生業にしたかった。
大学卒業までにそれが叶わなかったから、音楽をやめた。自分の中では決めていたことだから、何も悔いはない。
営業、デスクワーク。自分の時間の大半を割くこれら