osaosamumumu
片側3車線の国道は夜なのに関係なく車がびゅんびゅん走っていて、夜の方が車はちょっと速く走っているように見える。 これ見よがしにエンジンを吹かす車がいれば、のっそのっそと走る長いトラックがいたり、ヘッドライトが黄色がかっていたり真白なLEDだったりする。 車が走るための道だから、自分の足で歩くには信号も横断歩道も少ない。 その分歩道橋が架かっていて、「徒歩の方はどうぞ交通の妨げにならないようにこちらをお通りください」といった具合に、鉄とコンクリートの塊がどんとある。 いっぱ
スーパーに行く時には、何を作ろうかな、ではなく、何が安いかな、と品物と値札を睨み、カゴを提げて歩く。 何を買っても、後でどうにかなると自分を信頼している(稀にどうにもならない時もある)。 ふむ、今日は茄子が安い。 茄子が安いということは、夏。 ふくふくと太った、色気のない茄子が3つ入った袋をカゴに入れ込んだ。 精肉コーナーを歩くと豚こま肉がいつもより安くて、あと鶏むね肉はいつでも安くて、とりあえずそのふたつをカゴに入れる。 他にも、"仕事から帰ってきてどうしようもないくらい
大学生の頃、スーパーの惣菜売場でアルバイトをしていた。週4日か5日、朝7:30に出勤して11:30に退勤する。たまに、16:30まで働く日もある。 だいたい私は7:29にタイムカードを切って、もうすでにせかせか動き回るパートさんたちが7〜8人いる作業場にだらっと入っていく。そんな私を誰も叱らなかった。 業者が洗濯しても取れないタレや油のシミが染み込んだユニフォームの袖をくいっと肘まで上げて、エメラルド色のハンドソープでゴシゴシ洗う。その後ブラシで爪の中まで磨き、仕上げにア
あー、おなかいっぱい。 そう言いながら彼女はお腹をさするけど、とてもいっぱいになったとは思えない、それはそれはペラペラなおなか。 テーブルには山賊焼という名前の揚げ鶏と、添え物のカットレタスがちょこん。 わたし葉っぱ食べるから、お肉食べていいよ、と、ペラペラおなかをさすりながら言うから、ありがとう、と言う。 僕ももう食欲はないけど、とても貧相な、懸賞金もかかっていないような弱々しい山賊を、胃に流し込んだ。 サラリーマン、山賊を呆気なく討伐。 わたし、最近レモンサワー覚えた
仏滅って縁起が悪いイメージだけど、週に1度は仏滅がやってくるらしい。 ふむ。今日なんだか調子が悪かったのも、仏滅のせいだ。 仏滅の翌日は大安になることが多いらしい。ふむ。じゃあきっと、明日はいい日。
散歩してたら、すごく細い道に、小さな鳥居が建っているのを見つけたよ、とか その鳥居の隣に、食紅を垂らしたように鮮やかな花が咲いていて、ちょっと嫌だった、とか 朝の電車で高校生が、ずっと高校生でいたいって話していて眩しかった、とか 近所の和菓子屋さんで、お芋のソフトクリームが食べられるらしいよ、とか 西友で売ってたドレッシングが意外と美味しかったよ、とか 多分、こういうことを文字じゃなくて声で伝えられたら、それって結構、愛かもね。
背中がじっとりする感覚で目が醒めた。 時間と温度と湿度をいっしょくたに教えてくれる箱に目をやる。 4:16、23.4℃、72%。 9歩進んで、無機質な白い便器で用を足し、加熱式タバコを熱し、吸って、吐いて。 少し湿ったシーツにもう一度触れたくなくて、少し錆びた台所へ。 昨日やけっぱちになって買った大根と、にんじんと、好んで買ったあぶらあげと、いつ買ったか忘れた白だしを、鍋に入れてぐつぐつ。 美味しい。 誰も言ってくれないから、喉と耳を別人格にして、褒めて、受け取る。
「なんかさ、もういいかなって思うんだよね。」 友人にそう漏らしたことがある。 具体的な何かではなく、とにかく全てに対して。 自分の目の前にある空気とか、温度とか、色とか、そんな曖昧なものも含めて全てに。 彼は、おそらくそれを「死にたい」と受け取った様子だった。 厳密には、「死にたい」という欲求すらも湧かないくらい、何かをしたいと思えなかった。 「何もしたくない」ではなく、「何も考えや感情が湧かない」のだった。 彼は、私の言葉を受けて、努めて感情が揺れていないような表情をし
7年前の私へ。 「そのミス2回目。1回言ったことも分からないの?」 社会人になったばかりの頃、そう怒られてすごく焦っていたね。 知らない土地で、自分の親よりも年上の人たちに囲まれて、何もかもが初めて、知らないことばかりの仕事だったね。 「少しでも早く、この職場で戦力にならないと」 熱い気持ちはあるのに、自分の頭脳が追いつかなくて苦しかったね。 「こんなこともできないなんて、自分には何もできないんだ」 そうやって思い詰めてたね。 「1回じゃ覚えられないよね。大丈夫、30回もや
いちばんの友達が結婚した。いや、正確に言えば入籍はもう少し前にしていたのだが、結婚式を挙げた。 いちばんの友達、というのはなんだかむず痒い。 友達に順番をつける気はないし、この友達がいちばん長い付き合いの友達というわけではないし。 でも、気を許せるとか、自分のことを理解してくれるとか、そういうのをひっくるめていちばんの友達と言うことにする。 彼とは小中学校の同級生なのだが、友達と言えるくらい仲良くなったのは中3になってからだった気がする。 なんで仲良くなったのかは正直覚えて
3月。この時期は毎年体調が悪い。仕事が忙しかったり、気温の変化が激しかったり、花粉がひどかったりで。8割方花粉のせいだから、休養で体調が回復するものでもないのが難点。 昨年4月に地元埼玉に帰ってきて、人と会う機会が増えた。 そうすると「最近聴いている音楽は」「最近観た映画は」みたいな話が増えてきて、すぐパッと思い浮かばずに後から「あー、あれがあった!」と思い出すこともしばしば。 なので、定期的に備忘録を残しておこうと思った。思ってから半年以上経った。最近は書きたいこと(とい
2024年2月28日〜3月6日、石川県・富山県へ行った。北陸へ行くのは、能登半島地震以降2度目。 要件としては、前回と同様に地震保険関係の仕事で。どんな仕事かはこちらの記事をお読みいただければ。 今回は、富山県高岡市を拠点とし、日中は石川県の能登町や穴水町といった“奥能登”と言われる能登半島の奥の方で業務にあたった。 地震による被害が甚大な地域で、前回1月中旬に来た時はまだ我々の業種では入れなかった地域だ。現地の職員の話によると、私が行った2週前から入り始めたとのこと。
2024年2月12日(月・祝)。さいたまマラソンに出場。初のフルマラソン出走、完走。いやはや、まさかフルマラソンを走る人生だとは思っていなかった。 せっかくなので、記録を残す。 本当は走った直後に書きたかったが、ダメージもそこそこにあり1週間経ってしまった。 そもそも。 健康に気をつけるために、身体を動かそうと思って2年ほど前からスポーツジムに通い始めた。 ただ、だんだん「毎月何千円も払うのちょっとしんどいぜ」と思うようになってきた。 そんな時に(というかその前から)マラソ
ここのカレー屋さん美味しいらしくて。一緒に食べに行きません? たぶん断られると思って、冗談っぽく言ってみた。お酒は下心がありそうで、カレーならちょっとファニーになるかなと思って。 うん、今度行ける時ね、と返ってきた。 断られた。ちゃんと大人の断り方をされた。 次の日。16時くらい。 今日、ご飯食べに行かない?と言われた。 え、今日?今日行けるんですか?と、間抜けな返事をした。 うん。今日はダメ? いや、大丈夫ですけど。 じゃあ行こ。でもカレー屋さんだとゆっくりできないから
1週間、仕事で石川県に行っていた。 自社の地震保険に加入し、今回の能登半島地震で被災された方々の住宅の被害状況を調査して被害程度の認定を行い、加入内容に応じて支払える保険金の額を試算する。すごく大雑把に言うと、そんな感じのお仕事。 金沢駅に程近いビジネスホテルに宿泊した。ホテルには、何かしらの災害対応の業務で駆けつけた人たちが多く宿泊していた。医療従事者、他県の水道局の職員などが目についた。 彼らの技術は、今の被災地が一番に求めているものなのだろう、と思う。甚大な被害を受け
なんでラブホの屋上に、自由の女神もどきの像を建てようと思ったんだろう。自由の女神があるから入ろうとは思わないし、むしろ恥ずかしいからマイナスプロモーションなのでは。あと中に入ったら見えないし。 てかなんで国道沿いにこんなにラブホがあるんだよ。 人の欲ってすごいんだな。人口の少ない郊外で、しかも繁華街でもない国道沿いにこれだけのラブホが営業出来ているんだから。 てか駐車場広いな。まあ車でしか来れないもんなこんなとこ。車で来るってことは、酒の勢いとかじゃなくて明確な意思を持って来