おさない えりか

9のつく日エッセイ✏︎テアトル・ド・ポッシュ所属✏︎ 映画『あちらにいる鬼』『私たちの声』…

おさない えりか

9のつく日エッセイ✏︎テアトル・ド・ポッシュ所属✏︎ 映画『あちらにいる鬼』『私たちの声』 ドラマ『名建築で昼食を 大阪編』『我らがパラダイス』舞台『哀を腐せ』 ノンフィクション映像制作よんななhttps://yonnana.today/

最近の記事

いい映画は免疫力も上げてくれた

今朝は絶望的な目覚めだった。 一ヶ月くらい寝不足が続いていたため、久しぶりに目覚ましを遅めに設定して、目一杯眠ろうと早めにベッドに入った。 なのに深夜に目が覚めて、青ざめた。 喉がイガイガする。 嘘だろと思って、イガイガの時に早めに飲む薬と喉スプレーをして、朝には治っていますようにと祈るような気持ちで寝た。 でもその祈りは叶わなかった。喉がイガイガするし、鼻も詰まり気味だし、最悪だと思った。 今日の予定をすべてなしにして、明日の朝劇本番に向けて一日休むことにした。 正直、

    • 三度目の朝劇『朝日に願え』まもなく開幕

      「まさか出演できることになる」とは、というところから始まる。出演オファーの連絡をもらったのは稽古開始の約2週間前。 「よくぞ私を思い出してくれました。ありがとうございます」 という言葉に尽きた。 やっぱり当たり前じゃないから。自分のことを思い出してもらえるって。だから、素直に嬉しかった。同じ役を三度もできることも有難い話だった。 まだ観たことない方にお伝えすると、朝劇というのは朝から芝居をするという演劇。 「一日の始まりに芝居を観るとその日一日の見え方が少し変わるかもしれな

      • 息を抜いてもモヤモヤは

        結局・・・なくならない。笑 言い切ってしまいたいほどなくならない。 モヤモヤの根源が改善されない限り、モヤモヤは消えも隠れもしない。 そのモヤモヤと向き合わないといけないというのはわかっていても、モヤモヤのピーク時にそんな向き合う体力も気力も残されていない。 だからいくら時間が経ってもモヤモヤは消えない。 友達とスーパー銭湯に行ったり、美味しいものを食べたり、家でお茶を立てたり、映画を一日中観たり、漫画を読んでみたり、ひたすら寝ても、モヤモヤはなくならない。 ただそれらは、

        • 気づいたらおばあさんと並んで歩いてる

          東京で一番長く住んだ街がある。 住み始めた頃から、家の向かいに住むおばあさんとよく顔を合わせるようになった。 朝会えたら「おはよう」と言ってくれて、 夕方会えたら「おかえり」と言ってくれる。 一人暮らしの私には、それがとてつもなく嬉しくて、いつも心から沁みていた。 ある朝そのおばあさんに会った時に、どちらからともなくそのまましばらく並んで歩いたことがあった。するとおばあさんが 「時間、大丈夫?私歩くの遅いから急いでたら気にせず先に行っていいからね」 と気を使って言ってくれ

        いい映画は免疫力も上げてくれた

          桜じゃなく梅を見に行くということ

          「お花見」というと大体「桜を見ること」が当たり前のようにイコールになっていた私の人生に「梅」という花が彩ってくれた時間の話。 神戸に住む友人の最寄駅には、たくさんの種類の梅を見られる公園がある。友人は2月の半ばに梅を見に行ったことを教えてくれた。 その連絡で、私は今まで「梅を見に行く」という行為をしたことがないことを気づかせてもらった。 都内にいて「梅を見に行く」なんて、時間も心もゆとりがないとできない。だから「桜の時期に帰省できたらいいなぁ」って連絡をしていたら、急遽

          桜じゃなく梅を見に行くということ

          銭湯に行くと不思議と起きる会話

          忘れもしない、石川県珠洲市にあるあみだ湯で水風呂に初めて入れた時から、サウナにハマり、知らない土地に行って空き時間を見つけると銭湯を探すようになった。 なぜだかわからないけど、都内でもどこでも銭湯に行くと不思議なくらいにおばちゃんたちが私に話しかけてくれる。 それは目だけの時もあるし、ガッツリ会話する時もある。理由はわからないけど、お互い裸で会話する時間がなんだか心を温めてくれる。 ある地域の銭湯に行った時、まず入口がむずかしく迷子になり、番台が奥まったところにあって、明

          銭湯に行くと不思議と起きる会話

          友達の子供の名前が日本酒の銘柄

          もちろん、たまたまだし、読み方も違う。 まだ名前が確定していない妊娠中に、候補としてその名を教えてくれた。私は思わず、 「え、私が好きな日本酒の名前と同じ漢字やで!」 と言った。 しかもそれはただ好きってだけじゃなく、上京して初めてのバイト先で出会い、その味とストーリーに惚れた日本酒だった。いつか酒蔵に行きたいと思っていたくらいずっと印象に残っている。 メニューにあったら必ず注文するけど、飲食店ではなかなか出会えない一本でもあった。 かつてのバイト先でお客様におすすめを

          友達の子供の名前が日本酒の銘柄

          私が出会った奥能登

          私は2020年に初めて石川県珠洲市に出会った。 コロナ禍になり、俳優業の事情が色々変わり、このままだと精神的に良くないと思い、他にできることはないかと考え、始めたことがある。 このnoteもその一つ。 もう一つ、47都道府県の「ほんまもん」に関わる人たちに寄り添うドキュメンタリー制作『よんなな』を立ち上げた。 その第一弾が石川県珠洲市だった。 ありがたいご縁が重なって、珠洲市の人たちに出会わせてもらい、4人の方のドキュメンタリー『奥能登に生きる』を制作した。 奥能登での

          私が出会った奥能登

          中3で談志師匠に会えて

          今年は不思議と女優の方々が書いたエッセイ本を読む機会が多い。そんな時は今の私が求めてるってことなんだろうかと思ったり。 樹木希林さんから始まり、加賀まりこさん、今は吉行和子さん。家には岸恵子さんと高峰秀子さんの本が待っている。 ● 加賀まりこさんの本『純情ババァになりました。』の中にあった立川談志さんとの対談から、ある記憶を辿ることになった。 その対談で、上品の定義は「欲望に対して行為の遅いこと」とか、「よく言うんです。『俺は正しい人間だ』と。なぜならば、自分が間違っ

          中3で談志師匠に会えて

          ブルーノ・マーズの「ありがとぅ」

          があの瞬間の世界で一番セクシーだった。 先日ブルーノ・マーズのライブに行ってきた。昨年は一人でライブに行っていたため、友人と一緒なのは新鮮でテンション高め。ブルーノ・マーズを知って15年以上になるけど、生で聴ける日が来ると思わず、とても楽しみにしていたら、私は動くブルーノの虜になった。 まず、ほぼ全曲踊ることにびっくりして、ダンスのうまさに感動しっぱなし。 それで気づいた。私は耳でばかり聴いていて、歌っている姿を全然見たことがなかった。 そういえば最近耳でしか知らないア

          ブルーノ・マーズの「ありがとぅ」

          小さな私の小さな心の声

          良い年にしたい。する。しよう。 どう言ったって今はしっくり来ない。 行ったことある酒蔵たちが全壊してて今年の日本酒造られへんねんで! あそこもあそこもとんでもないことになってるねん! そんなことはそこに居ないから言ってられる嘆きや。 「こうなったら何が何でもみんなで良い年にしよ!」って誰かと手を繋ぎたくなるのは、元旦という一年で一番「おめでとう」を言う日に辛すぎることが起きたからなんかなあ。元旦からあんなに「無事」を願うことになるとは思わなかった。 2024年の幕開けから

          小さな私の小さな心の声

          一番好きな映画に出逢った2023

          「一番好きな映画は何?」という質問は非常に難しい。なので人生で一番観てる『コブラ』や『ローマの休日』とかは殿堂入り的別枠にしている。 芝居を始めてから観た作品の中で「一番好きな映画」として挙げていたものが一つあった。その映画のポスターを10年近くずっと携帯のホーム画面の画像に設定している。 その設定は今も変わらないけど、今年観た55本の映画の中でこれから「一番好きな映画」を聞かれたらこれを言おうと思う作品に出会った。私の中ではかなり衝撃的な出来事なので、その映画を今回言葉

          一番好きな映画に出逢った2023

          フットワークが軽ければいいってものでもない

          前回チラッと書いた「フットワークを意識して軽くした時期」の話。そのキッカケは今でも覚えている。大学1年の時、それまでの学生生活と違ってバイトを始めたり、学校以外で人と会う時間が増えた。誘われることが多くなったのもあると思う。 人に驚かれるけど実はかなりの人見知りだから誘うのも苦手だし、大人数がいる場所や知らない人がいる場所が得意な方ではない。どう居ていいのかわからなくなるから。 だからと言って断っていたら、漠然と人生が面白くない気がして、当時「誘いは断らずに行ってみる」と

          フットワークが軽ければいいってものでもない

          ユージ・レルレ・カワグチという人

          ある日の土曜日の14時2分。滅多に鳴らない着信が鳴った。 携帯の画面を見ると「ユージレルレカワグチ」の表示。カクシンハンという劇団の舞台に出演した時に出会った“ナチュラルボーンどこでもドラマー”だ。 ありのままで生きてる印象だからナチュラルボーン。世界のどんな場所でも演奏するからどこでもドラマー。 「ユージレルレカワグチ」 自分で登録したはずの表記に「カタカナってインパクト強いな〜」って笑いながら 「もしもし」と出た。 「おぅ!元気か!」 相変わらずの返答だった。こちら

          ユージ・レルレ・カワグチという人

          「東京」音楽が冬に合って

          「東京」「Tokyo」「トーキョー」様々な東京がタイトルに入る音楽を集め始めて130曲になった。美空ひばりさんまで遡ったけどまだまだあるだろうから、こんなにたくさんあることにさすが「東京」だと思った。それだけ印象深く象徴するものがあるってことなのかな。 東京に10年住んでもそわそわして馴染めなかった私は、「東京」音楽の歌詞にブッ刺される時がある。ただ心に刺さるんじゃなく、刺されると思って音楽を聴いてないからいつも不意打ちに「ブッ刺される」。 「東京」音楽を初めて意識したの

          「東京」音楽が冬に合って

          ラテの手つきがあまりにベテランで

          チェーン店のカフェというのはいくつもあって、何度か行くと大体頼む飲み物も決まってきがちになる。友達と行ったり、季節限定のものがあると、ちょっと揺らぐなぁってことがあるくらい。 一人であるお店に行くと大体頼むメープルラテをいつもと同じように頼んだ。 いつもと違うのは作っている方の空気だった。 作る人を普段あまり見ないようにしてるけど、この時はじっと見たくなるくらいなんだか風格がベテランだった。 何気なく入ったいつものチェーン店で、ベテランのような方が真剣な顔でミルクを注

          ラテの手つきがあまりにベテランで